第四話 ⑦ ~新学期・俺の気持ちと彼女の気持ち~
第四話 ⑦
「いやぁ、楽しかったね!!」
最後に四人でプリクラ撮った後、ゲームセンターを出ると笑顔で朱里さんがそう言ってくる。
「うん。楽しかったね。俺も久しぶりにハメを外してはしゃいじゃった気がするよ」
「お前らカップルと俺と佐藤のペアで戦ったバスケのシュート対決は盛り上がったな!!」
「あの対決負けたの悔しいんだけど!!意外といーんちょーなんでも出来るよね」
健とバッティング対決をした後、後ろにあったバスケマシーンでシュート対決をすることになった。
俺たちのカップルと健と佐藤さんのペアで別れて対決をした。
男女とバスケ部が上手い具合に別れる感じになって戦力的にも互角かって所でなかなか盛り上がった。
結果は俺も何とか活躍出来て二人に勝つことが出来た。
「ははは、野球もバスケもちょっとかじってたからね。でもまあ俺単独だと健にも佐藤さんにも負けてたからね。朱里さんと一緒に戦ってリベンジ出来て嬉しかったよ」
「悠斗くん。あの時すごい頑張ってたよね!!隣でガシガシシュート決めてたから、私も負けないぞーって思ってたんだー」
朱里さんはそう言うと俺の腕にしがみついてくる。
「えへへーそれまでもかっこよかったけど、最後に一番かっこいいとこ見せるなんてずるいぞー」
「そ、そう言って貰えると嬉しいよ」
「ラブラブね」
「なんか俺も彼女欲しくなってきた」
朱里さんのいい匂いと柔らかさを味わっていると、後ろから少しだけ恨めしそうな声が聞こえてきた。
そうこうしてる内に、自転車が停めてある場所に到着する。
スマホを見ると時刻は十七時だった。
「結構いい時間だし、そろそろ解散しようか」
と俺が切り出すと、
「うん、そうだね。私もそうしようかなって思ってた」
と朱里さんが同意を示す。
「おっけー!!それじゃあな悠斗、また明日な!!今日は楽しかったぜ」
「あぁ、俺も楽しかったよ、また明日」
自転車で通学してる健は自転車に跨ると、颯爽と帰っていった。
あいつ体力あるなー
「バイバイ朱里、いーんちょー。私もそろそろ帰るね!!」
「うん!!ゆーこちゃん、また明日!!」
「佐藤さんも気をつけて」
健と反対方向に自転車を漕ぎながら、佐藤さんも自転車で帰っていった。
「それじゃあ朱里さん。家まで送るよ」
「ありがとう悠斗くん」
朱里さんはそう言うと、俺の手をぎゅっと少し強めに握ってくる。
「朱里さん?」
「ようやく二人きりになれたかなって……」
恥ずかしそうにそう言う彼女
可愛い
「えへへ。別に楽しくなかったわけじゃないよ?みんなで遊ぶのはテンション上がったし。だけど、それとは別にこうして二人きりになれるのもやっぱり良いなぁって。そう思ったの」
「ありがとう、朱里さん。実は俺もそうなんだ」
やっぱり見知った人が居ると照れが先に来て、こういうことをするのを少し躊躇ってしまう。
「短い間かも知れないけど、二人きりの時間を堪能しようか」
「うん。ありがとう、悠斗くん」
俺はそう言うと、彼女と一緒の方向へ自転車を走らせた。
そして、二十分ほど自転車を走らせると、彼女の家の前に到着する。
「あーあ。もう着いちゃった」
「ははは、どうしようか。またあの公園で少し話す?」
「ううん。今日は我慢しようかな。また明日会えるし」
「うん。わかった。席も隣だしね」
俺がそう言うと、少しだけ寂しそうに頷く。
どうしたんだろう。その表情に少しだけ違和感を覚えた俺は聞いてみることにした。
「どうしたの、朱里さん。何気になることでもあった?」
そう切り出すと、
「あのね、悠斗くん……あまり、聖女様と仲良くなり過ぎたらやだよ?」
「え?」
「ううん!!何でもない!!またね!!悠斗くん!!」
彼女はそう言うと、急いで家の中へと消えていった。
その様子を見て俺は、やっぱりどんな理由であれ彼氏が自分以外の女と仲良くしようとする姿は見たくないよな。と改めて思ったのだった。
「佐藤さんからも忠告されてたし、あの場ではあぁ言ったけど、黒瀬さんとの事は少し考えた方がいいかもしれないな」
俺はそう呟くと、駅に向かってて自転車を走らせた。