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第八話 ③ ~詩織さんとの関係性について、クラスメイトからはいろいろと聞かれました~

 第八話 ③




 挑発的な詩織さんに少しばかりの『おしおき』をした後は、いつものように二人で並んで読書をしていた。


 俺は詩織さんから借りたミステリー小説。

 詩織さんはライトノベルを読んでいる。


「……ふふ」

「……どうしたの?なにかツボに入るようなシーンがあった?」


 隣で笑い声を上げた詩織さんに、俺は問掛ける。


「いえ。先程まではあれ程甘美なひと時を過ごしたのに、少ししたらこうして二人で並んで読書をしている。その差に笑いが出てしまいました」

「あはは……確かに」


 俺はそう言うと、詩織さんに続ける。


「そうだね。でも俺はこうして君と並んで本を読む時間は好きだよ。沈黙も君となら楽しめる」

「……ゆ、悠斗くん」


 顔を赤くする詩織さん。うん。可愛いね。


「そ、その……私も悠斗くんとキスをしたりとかもドキドキして好きですが、こうして過ごす落ち着いた時間も同じくらいに好きです……」

「そう思って貰えてるなら、俺も嬉しいよ」


 そんな会話をしていると、二人だけの教室に少しずつ人が増えてくる。


 そして、やはり聞かれたのは『詩織さんとのツーショット写真』についてだ。


「なぁ、桐崎!!黒瀬さんとのあの写真はなんなんだよ!?」


 と、一番に聞いてきた石崎に俺は答える。


「元々俺と詩織さんは二人で出掛ける予定でいてね。これに関しては朱里も了承してる。出掛けた先でちょっとオシャレなメガネが欲しいな。と思ったんだよ。そしたら知り合いの妹さんがメガネ屋をオープンしたみたいでな。足を運んでみたらあまり経営が上手く行ってないみたいだったから、買っただけじゃなくて、あぁやって二人で写真を撮って、広告も兼ねてアップしたんだよ」


「……な、なるほど」


 石崎は微妙な表情をしながら言葉を返した。


「桐崎くんはお出掛けって言ってるけど、黒瀬さん的にはデートな感じだったんでしょ?」


 とクラスメイトの女子からの質問に、詩織さんは笑顔で答える。


「えぇ、そうです。悠斗くんとのデートはとても楽しく過ごせました。彼はとても紳士的で、私をエスコートしてくれました」


 そして、詩織さんは黄色い声を上げるクラスメイトに続けた。


「そして、デートの最後に悠斗くんに勇気を出して『告白』をしました」


 シン……


 教室の中が静まり返る。


「ふふふ。悠斗くんには振られてしまいましたが」


 と、詩織さんは笑顔でそう言う。


「ふ、振られた割には仲が良い様に見えるけど……」


 そんな声に、詩織さんは笑って答える。


「『私を悠斗くんの彼女にしてください』と彼に告白しましたが、『彼女には出来ない』と言われてしまいました。ですが、悠斗くんは言ってくれました」


『詩織さんはとても大切な女性』だよ。と。


 その言葉に、クラスメイトが息を飲む。


 俺がそれを補足した。


「俺は以前。詩織さんを『大切な友達』と言ったけど、彼女と時間を過ごすうちに、その考えは変わっていったんだ。そしてある出来事を経て、それは劇的に変化したんだ。まぁ……その出来事に関しては少し伏せさせてもらいたいかな……」


「桐崎にとって、黒瀬さんってなんなんだよ?」


 と、石崎に言われる。


 あはは……そうだな、この際だから言っておくか。


「朱里と付き合ってなかったら、本気で惚れて付き合ってた。結婚して生涯を共にしていた。そのくらい大切な女性だよ。だけど、俺は朱里と付き合ってる。だから絶対に彼女や嫁にすることの無い女性。ただ……」


 俺はそこまで言ったあと、笑みを浮かべる。


「俺以外の男に指一本だって触れさせたくない女性。だね」


 俺のその雰囲気と言葉にクラスメイト全員が言葉を失った。

 詩織さんだけが嬉しそうに笑みを浮かべていた。


 そんなクラスメイトに俺は続けた。


「そういう訳だから、詩織さんに手を出そうとするなら俺は絶対に許さない」


「く、黒瀬さん的にはそれでいいの?」


「えぇ。私は現状には満足してます。皆さんにはナイショですが、悠斗くんからは『いろいろ』いただけることになってますので」


『いろいろ』ってなんだよ……


 そんな声が聞こえてきたけど、説明するのも難しいよな。


「とりあえず。納得はしてくれたかな?」


 俺はそうクラスメイトに言った。


 すると、全員が声を揃えて言葉を放つ。





『出来るわけないだろ!!!!!』




 あはは……だよなー

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