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第三話 ④ ~新学期・仲良し四人組は今年も同じクラスを希望する~

 第三話 ④


「おはよう、悠斗!!元気してたか!!」


 自転車を停め、朱里さんと並んで歩いていると、後ろから背中をぶっ叩かれた。

 こんなことをする男を俺はひとりしか知らない。


「ってぇな!!何すんだよ健!!」


 振り向きざまに180cmを優に超える大男の胸に拳を叩き込む。


 こいつの名前は武藤健(むとう けん)


 去年のクラスメイトで、学級委員として馬鹿なこいつに何度と無く勉強を教え、何度と無くノートを写させてやった。


 一念発起した俺に初心者でも出来る身体強化のトレーニングを教えてくれたってのもあるが、差し引きではかなり俺に借りのある.....まぁ友人だ。


「朝から彼女とイチャイチャしてるのが見えたからな!!からかってやろうと思ってよ」


 俺が叩き込んだ拳なんか気にもせず、健はニタニタと笑いながら言ってくる。


「はぁ.....なんか朝から疲れたよ」

「あはは、おはよう武藤くん。今日も元気だね」

「おはよう藤崎さん。どうだい?こいつはなんか変なことしてきてないか?」

「おい健。変なことを聞くなよ?俺は紳士に決まってるじゃないか」

「何言ってやがんだこのむっつりすけべめ。お前のパソコンのフォルダの.....」

「健。それ以上言ってみろ?今年は助けてやんねぇぞ」


 余計なことを言い出しそうな健に少しだけ凄むと、


「ごめん!!それは勘弁!!悠斗さま!!今年もお助け下さい!!」


 両手を合わせて平身低頭する大男。


 こんなんが野球部のエースかよ.....


 まぁ、実力がすげぇのは認めてるけど。



「ねぇねぇ悠斗くん?」

「なに、朱里さん」


 大男から視線を切り、朱里さんへと目を向ける。

 そこにはちょっとだけジト目の彼女が、


「えっちなのはいけないとおもいます」


 と、言われたので、


「男は多かれ少なかれみんなえっちです」


 と返す。

 エッチなのは隠すことではないぞ!!


 と、堂々とした態度が良かったのか、


「あうぅ.....」


 と、彼女が顔を赤く染める。


 あ、ヤバい。ちょーかわいー


 なんて思っていると、


「あー!!いーんちょー!!うちの朱里を辱めるな!!」


 と言う言葉と共に俺の背中をぶっ叩かれる。


 朝から二発も叩き込まれた俺の背中.....


 俺をいーんちょーと呼ぶ女の子はひとりしかいない。


「.....おはよう、佐藤さん。誤解を解いておくけど、俺は別に朱里さんを辱めてなんかいないよ?」


 背中を擦りながらそう言って振り向く。

 後ろに居たのは女性にしては背が高いショートカットの女の子。佐藤優子さんだった。


「というか佐藤さん。俺は学級委員であって委員長では無いよ?」


 なんだろう、この台詞は一年間言ってきた気がする。


「まぁまぁ細かいことは気にしないでよいーんちょー」


 この台詞も一年間聞いてきたよ.....


「それよりさ、いーんちょー!!ラスバト強いんだって?」


 ラストバトルスタジアム 通称ラスバト


 先日俺がゲームセンターでやっていた格闘ゲームだ。


「まぁ、人前でプレイしても恥をかかないレベルかな」


 と、俺が返すと


「ほぅ.....確かあの日ふたりが行ったゲーセンはゴッドランド。あそこはかなりレベルが高いし、そこで恥をかかないレベルとなると.....」


 と、少しだけ嬉しそうに呟く佐藤さん。


「よし、いーんちょー!!今日が終わったらこの四人でゲーセン行こうよ!!バスケ部も野球部も今日は部活休みだし!!」

「いいな!!悠斗、久しぶりに一緒に遊ぼうぜ!!」

「はぁ、まぁいいよ。今日はバイトも無いし。朱里さんは平気?」

「私も平気だよ!!よーし、今日はみんなで遊ぼうか!!」





「「「「おーー!!!!」」」」




 野球部の武藤健

 バスケ部の佐藤優子さん

 同じくバスケ部で俺の彼女藤崎朱里さん

 そこに俺を含めた四人で居ることが、去年は多かった気がする。


 そう言うのを先生が配慮してくれてると嬉しいなあ


 そんなことを考えながら、四人で新クラスが張り出された紙を見に行くのだった。

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