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第四話 ⑩ ~可愛い+可愛い=超可愛い~

 第四話 ⑩




 ケーキバイキングのお店を後にした俺たちは、駅へと歩き、司さんのライブ会場の最寄り駅へと向かう。

 その駅から歩いて数分のところに猫カフェがあるので、ライブの時間まで楽しもうという算段だ。


 電車を待つ時間も、彼女とは楽しく話をしながら待つことが出来た。

 話の内容としては、やはり捻挫の影響で好きな練習が出来ず、辛い体幹トレーニングが中心だったから心が折れそうだった。とかだった。


 足もだいぶ良くなってきたので、ランニングやシュート練習から徐々に始めていくようだ。


 来週からは自転車も解禁になるから、一緒に登校も出来ると言われた。


 俺にとってはそれが一番の僥倖だった。






 そうこうしてると、目的の駅へと到着する。


 電車を降り、猫カフェがある駅口へと向かう。


 そこそこ大きな駅で、人通りも多いのではぐれないように手を繋ぐことにした。


「えへへー。私手を繋ぐの好きなんだよね」


 と、朱里が嬉しそうに微笑む。


「朱里から結構手を繋いでくることが多いよね。俺も嬉しいなっていつも思ってたんだ」

「なんかね。恋人同士って気分になれるんだよね」


 可愛い。


 少しだけ照れくさそうにそう言う彼女はとても可愛かった。


 そして、駅から出て少し歩くと、目的地の猫カフェへと到着する。


 扉を開けて中に朱里を案内する。


「いらっしゃいませ」


 中に入ると店員さんが迎えてくれる。


「予約とかしてないんですが、二名分の空きはありますか?」


 俺は店員さんに確認を取る。


「はい。大丈夫ですよ。直ぐにご案内出来ます」

「良かったね、朱里。すぐに入れるってさ」

「うん!!多少なら待っても良かったけど、待ち時間は無い方が嬉しいよね」

「あと、すみません。保冷の効くロッカーとかありますか?」

「はい。有料になりますがございます」

「了解です。そちらを使わせてください」


 な、なんだか今日は散財する一日な気がするなぁ……


 そして、店員さんに案内され、利用にあたっての注意事項の説明を受ける。


 生き物と直接触れ合うのだ。マナーと節度を守らないといけないからな。


 そして、部屋へと入り、遂にネコちゃんたちとの触れ合いを開始する。


「……やべぇな」

「うわぁ……可愛い」


 見渡す限りに猫がいる。


 いや、これはすごいな。


 呆気に取られていると、人懐っこい一匹の猫が俺の足にすり寄ってくる。


「……か、可愛い……」


 俺はまず人差し指を猫の鼻の前に持っていき挨拶をする。


 俺の指の匂いを嗅いだ猫は、そのまま手に顔を擦り付ける。


 や、やべぇ……


「いいなぁ……悠斗」


 早速触れ合いを始めた俺に朱里が羨ましそうな顔をする。


 俺はその猫をだき抱えると、朱里の前に持っていく。


「こいつは多分人懐っこいから、挨拶をしたら朱里にも懐くと思うよ?」

「う、うん!!やってみる」


 と、朱里は猫の鼻の前に人差し指をおずおずと持っていく。


 くんくんと指の匂いを確認し、猫は朱里の手にも頬擦りをする。


「や、やったよ、悠斗!!」


 はしゃぐ朱里に、猫を渡す。


「はい。抱いてあげるといいよ?」


 すんなりと猫の譲渡が済むと、彼女は真剣な目で俺に聞く。


「猫を吸いたい」

「……なるほど」


 例のアレか。


 俺はそれを察すると、親指を立てる。


 それを見た朱里は、意を決して猫へ顔を埋める。



 すぅ…………すぅ……すぅ…………


 ず、随分と吸いますね?


 そして、たっぷりと猫を堪能した彼女が顔を上げる。


 顔には猫の毛が少しだけついていたが、気にしてないようだ。


「やばい……」


 その一言に全てが込められていた。


「そ、そうか……」


 かなり満足したらしい朱里は、その後もたくさんの猫を吸っていた。

 俺はあぐらをかいてその様子を見ている。


 可愛い彼女が可愛い猫と戯れてる。


 大正義だな。


 そうしていると、一匹の黒い猫が膝の上に乗ってくる。


 ツンと済ました表情が、なんだか詩織さんを思わせた。


 黒猫はあぐらをかいている俺の足の中に入ると、丸くなってそのままくつろぎ始めた。


 はは……気を許した相手にしかこういう表情を見せないところとか、そっくりだな。


 顎の下を指で撫でていると気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす。


 そうしていると、最初に俺に懐いてきた猫が寄ってくる。


 身動きが取れない俺の足の中に、その猫も入る。


 二匹の猫が、俺の足の中でくつろいでた。


 そうこうしていると、何匹もの猫が俺の元にやって来る。


 気が付けば俺の周りは猫だらけになっていた。


「……悠斗がハーレムを築いている」


 ……猫たらしのハーレム王


 ジトーという目で朱里が俺を見ていた。


「詩織ちゃんみたいな猫を可愛がってるのも見てたんだからね……?」


「ね、猫はあくまで猫だから……」


 そんなやり取りもありながら、俺たちは猫カフェを楽しんだ。





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