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第四話 ⑦ ~三回目のデート・ケーキバイキングでは予算のことについて聞かれました~

 第四話 ⑦





 特に迷う事無くケーキバイキングのお店へとたどり着いた。

 外観はとてもオシャレなお店で、一時間食べ放題のバイキングの他にも、持ち帰り用のケーキもある。


 バイキングでは、ケーキだけでなく、肉まんやミニラーメンなどちょっとした食事系もあるので、甘いものが苦手な彼氏が甘いもの好きな彼女と来たとしても楽しめるような形式になっている。人気店だ。


 カラン。と店の扉を開けて朱里を先に店に案内する。


「いらっしゃいませ」


 店員さんがすぐに来て出迎えてくれる。


 うん。良い店だ。


「十二時で予約していた桐崎です」


 俺は店員さんにそう言うと、


「お待ちしておりました。席に案内します」


 くるりと踵を返して、席へと案内してくれる。


「ありがとうございます」


 俺と朱里は店員さんに着いていき、指定された二人用の席に腰を下ろす。


「ご注文はご予約されていたバイキングと飲み放題のセットでよろしいですか?」

「はい。それでお願いします」


 俺がそう言うと、店員さんは伝票を二つ。机の下に入れる。


「ドリンクバーはあちらになります。その隣にバイキング形式のケーキなどがございます。時間は只今より1時間でございます。多少の食べ残しは構いませんが、あまり多くなる場合は別途料金が発生致します。あらかじめご了承ください」


「了解です」

「大丈夫です」


 俺と朱里が頷いたので、店員さんが微笑む。


「それではお楽しみください」


 そう言って店員さんは去って行った。


「じゃあ時間も決まってるし食べて行こうか」

「うん!!」


 俺と朱里は早速バイキング形式のケーキへと足を運ぶ。


 そこには一口サイズのケーキが沢山並んでいた。


「おーすげー」


 初めて来たけど、こんだけのケーキを見ると心が踊る。


 俺は好きなマロンケーキといちごのショートケーキ、そしてチョコレートケーキを皿に載せる。


 そして、ケーキを乗せた皿を自分たちのテーブルに乗せ、飲み物を取りに行く。

 さすがに甘いものが多いので、ホットのブラックコーヒーを用意する。


 コーヒーを手にテーブルへと戻り、席に座ると朱里もやってくる。


 載せていたのは春のさくらんぼを使ったケーキと、俺と同じマロンケーキといちごのショートケーキ。

 飲み物はアイスティーだった。


「さくらんぼのケーキは美味しそうだね」


 俺がそう言うと、朱里はニコッと笑う。


「季節のケーキがオススメって聞いてたからね」


 なるほど。司さんへの差し入れの参考にするか。


「よし。じゃあ食べようか」

「うん!!」


 俺たちは、いただきます。と声を揃えてケーキを食べる。


「……うま」

「美味しいね!!」


 マロンケーキから食べたが、甘すぎずしっかりと栗の風味が残った味わいだった。

 これが食べ放題のクオリティか……


 まぁ、大人一人 一時間 2980円なら納得か。


「悠斗、はい!!」


 朱里がさくらんぼのケーキを俺の方に出してくる。


「あーん」

「……うん」


 ちょっと恥ずかしいけど、せっかくの好意だ。


 俺は口を開けてケーキを食べる。


「……どう?美味しい?」

「うん。とても美味しいよ」


 俺はニコッと笑い、お返しにチョコレートケーキをひと口分フォークに載せて朱里に差し出す。


「あーん」

「……う、結構恥ずかしいね」

「……でしょ?」


 俺はにんまりと笑いながらそう言う。


 朱里は少しだけ悩んだけど、意を決して口を開く。


「……ん」


 俺のフォークを目を閉じて彼女がくわえる。


 えろ……


 おっといけね。


「うん!!チョコレートケーキも美味しいね!!」


 俺の邪な心など露知らず、朱里は舌鼓を打つ。


 そんな、彼女の表情を思えば、この場所の代金を払う程度、むしろご褒美だろ?みたいに思えた。




 そして、彼女はケーキを中心に、俺は肉まんやラーメンを絡めながらバイキングを楽しんでいると、朱里が少しだけ真剣な表情で俺に聞いてきた。


「ねぇ、悠斗」

「……なに?」


 その表情に、何となく朱里が何を聞きたいのかを察する。


 ただ、デートの時にするような話題では無いと思っていたので、俺から口にすることはしないと決めていた話題だった。


「デートの時にする話題じゃないのは分かってる。でも、気になってるんだよね。その……予算会議のことなんだけどさ」


 やっぱりな。


「うん。俺から話題に出すのは辞めようとは思ってたけど、朱里から聞かれたら話そうとは思ってたよ」


 俺はニコッと笑ってそう答える。


「……ごめんね。詩織ちゃんだけ知ってて、私が知らないってのが……嫌なんだ……」

「うん。わかったよ」


 俺はそう言うと、コーヒーをひとくち飲む。





「今までのことと、これからのこと、今俺と詩織さんが何をしようとしてるか。そう言うのを全部話すよ」

「ありがとう。聞いたことは他言しないって約束するよ」

「うん。そうして貰えると助かるかな」




 そして、俺は朱里に予算会議のことについて話し始めた。

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