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第四話 ④ ~三回目のデート・外出すると奴にエンカウントする運命なのか?~

 第四話 ④




 軽く駅前を歩くと、カラオケのチェーン店へとたどり着く。

 他店舗だが、会員カードを持ってるので、余計な手間も無く入室出来るだろう。


 俺たちは店に入り受付に向かう。


「二時間でいいかな?」

「うん!!」


 俺は時間の確認を済ませると、受付の呼び鈴を鳴らす。


 すると、カウンターの奥から店員さんがやってきた。


「お待たせしました」

「いえ、大丈夫です」


 俺はそう言うと、会員カードを出す。


「二時間を二人でお願いします。機種にこだわりは無いですが、彼女の足が少し悪いので、一階の部屋でお願いします」


 俺がそう言うと、


「ワンドリンク制になりますが、ドリンクバーは付けますか?」


 と、聞かれたので


「二時間だけどつける?」

「うん。そんなに高いものじゃないし、付けようか」

「そうだね」


 俺は確認を済ませ、


「二人分でお願いします」

「かしこまりました」


 店員さんはパチパチとパソコンを操作して登録を済ませる。


「そちらの道の奥にある、108号室になります。機種はDAMです。ご注文の際は部屋の電話をお使いください」


 コップをふたつと、伝票を渡しながら店員さんが説明した。


「了解です。ありがとうごいます」


 俺は、店員さんからコップと伝票を受け取り、コップをふたつ朱里に渡す。


「先に部屋を確認しておくね。悪いんだけど飲み物お願いしてもいいかな?」

「いーよー。悠斗は何飲む?」

「烏龍茶をお願いしようかな」

「おっけー」


 俺は朱里に飲み物をお願いすると、108号室へと向かう。


 特に迷うことなく到着すると、部屋のエアコンの温度を調整する。


 カラオケの部屋は少し冷房が効きすぎてることが多いので、こうして先に温度を調節しておこうと思ったからだ。

 前回のデートでも、水族館で肌寒そうにしてたので、温度をすこしだけあげておく。


 ジャケットを脱いでハンガーに掛けると、朱里がコップをふたつ、両手で持ってやって来た。


「ありがとう、朱里。俺の分は持つよ」


 俺はそう言うと、朱里から烏龍茶の入ったコップを受け取る。


「うん。ありがとう悠斗」


 そして、二人で部屋に入る。

 すると、朱里が部屋の温度に気がついたようで、


「もしかして、温度調節してくれた?」

「うん。前のデートの時とか少し肌寒そうにしてたからね。カラオケの部屋って少し寒いよね」

「えへへ。悠斗のそういうところ、好きだなぁって思うよ」


 にこっと笑う朱里に、俺は頬を染める。


「あ、照れてる」

「い、今のは破壊力が強かったよ」


 と、俺はしどろもどろになりながら言う。


「よ、よーし!!歌おうか!!」


 俺は恥ずかしさをかき消すように、パネルを手に取る。


「ふふふ。悠斗のそういうところ、可愛いよね」

「お、男に可愛いは褒め言葉じゃないからね!?」


 そう言いながら、まずは履歴100を確認する。


 お、この曲は俺が得意なやつだ。


 履歴から持ち歌を見つけると、俺はそれを登録する。

 そして、いつも入れてる採点機能を一緒に登録する。


「じゃあ俺から歌うね。音痴では無いとは思うけど、あまり期待はしないでね?」

「これで、めちゃくちゃ悠斗が音痴だったら面白いんだけどね!!」


 なんて言う朱里に苦笑いを浮かべる。


 すると、俺が好きなみんなが知ってる最近のJPOPのアニソンのイントロが流れ始める。


「あ、この曲知ってる!!悠斗から借りた漫画のアニメのオープニングだよね?」

「そうそう。好きだから結構聞いてたんたら歌えるようになってたんだよね」


 と、俺は言いながら歌い始める。


 うん。大丈夫。ちゃんと声は出てるし、音程も外してない。


 歌いながら朱里を見ると、笑顔で手を叩いてくれてる。


 良かった。楽しんでくれてる。


 そして、俺は一曲を歌い切った。


「お疲れ様悠斗!!めちゃくちゃ上手いじゃん!!」

「あはは。得意な曲を選んだだけだよ」


 点数を見ると92点だった。

 よし。全国平均よりは上のようだ。

 上には上がいるのは知ってるし、素人がこのくらい出せるなら良い方だろう。


「よーし。じゃあ私も歌っちゃうよ!!」


 と、朱里が入れたのは最近のアイドルの曲だった。


「あ、俺この曲好きなんだよね」

「えへへー。じゃあ頑張っちゃうね!!」


 彼女はそう言うと、身振り手振りをしながら曲を歌っていく。

 可愛い。まじ可愛い。何この天使。え?こんな可愛い女の子が俺の彼女なの!?


 歌の上手さもあるが、朱里の振り付けと笑顔に俺はもうやられていた。


 そして、曲が終わると俺は拍手をしていた。


 点数は96点だった。


 全国平均よりはかなり上だった。


「えへへー。どうかな?結構上手く歌えたかな?」

「歌の上手さも凄かったけど、振り付けとか笑顔とか可愛すぎてやばかった」

「そ、そうなんだ……そこまで言われると照れるね」


 なんてやり取りをしていた時だった。


 バン!!


「うお!!??」

「えぇ!!??なに!!」


 部屋の扉が叩かれる音に俺たちは驚く。


 そして、その音に振り向くと、


「……うそだろ……?」


 三十代くらいのおっさんが、小窓からこちらを睨みながら扉の前に居た。


 連コイン……死体蹴りおじさん……


 な、なんでこんなエンカウント率高いんだよ……



 せっかくのデートをまたもや邪魔をされ、俺は大きく肩を落とした。

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