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第二話 ⑥ ~部活動の予算決めがまだ終わってない……って言われました~

 第二話 ⑥




「さて。早速なんだけど君たちの知恵と力を借りたいんだ」


 俺と詩織さんは、『副会長』と『会計』と書かれた席の椅子に座る。


 もっとふかふかの椅子を想像してたけど、みんなの椅子ってパイプ椅子なんだ……

 会長ですらパイプ椅子なんだな。


 なんてことを考えていると、


「君たちは部活動の予算を我々生徒会が決めている。という事を知っているかな?」

「はい。なんとなくは」


 と、俺は頷く。


「そして、この予算の元になるお金は、全校生徒から毎月500円。会費として頂いている」


「はい。知ってます」


「そして、その生徒から集めたお金と前年度繰り越し金、文化祭などの収益金、OBからの寄付。これらを合算した金額が、予算総額になる」


「はい」


「そして、その予算から、卒業生とかに渡すものを買う本部費や各委員会の活動費、運動部の遠征費、整備費、文化部と運動部の予算これらをどう割振るか。これが我々がやらなければならない火急の仕事だ」


「……まさか」


 俺は嫌な予感がした。

 そして、その予感は当たる。


「来週の五月にはもう、各部活の予算を決めて審議をしないと行けないんだけど、まだ出来てないんだ」

「……え?不味くないですか」


 俺は思わず言ってしまった。

 来週ってもう、四日くらいしかないぞ?


「しかもね。去年までは『前年度繰り越し金』が100万円ほどあったんだが、それを使い切ってしまっていて。ほぼ0円なんだ……」

「……あの、去年の予算総額と今年の予算総額を聞いても良いですか?」


 俺の質問に、蒼井さんは


「去年の予算総額は前年度繰り越し金を足して約900万円。そして、今年はそれが無いから約800万円が今年の予算総額だ。100万円は足りないんだよね」

「え?でしたら100万円分各部活で割り振って減らせば良いのでは?」


 なんて言う詩織さん。


 そんな簡単な話ではない。


「部活動の予算はかなりデリケートな話題でね。去年より減らす。なんて言おうものなら、各部活の部長やらから猛反発さ」


 最近はそうした部活動費の増額によって、繰越金がどんどん減っていって、今年はもう無い。って話なんだよね。


 と蒼井さんは悲しそうに言った。


「でも、実際のところ。無い袖は振れません。卒業生へのプレゼントや各委員会の活動費、遠征費や整備費は削れない金額の部分ですよね?となると部活動の予算をある程度削る必要がありますよね?」


 と、俺が蒼井さんに聞くと


「そこで、どうしたもんかなと。君たちに知恵を求めたんだよね」


 このままだと、この100万円を稼ぐために、僕が夜の街で身体を売ることになってしまう。


 なんてことを冗談のように言う蒼井さん。


 ふむ……身体を売る。


 いいアイデアかもしれない。



「蒼井さん。いいアイディアですね」

「ええぇ!!!???」


 俺のその言葉に、蒼井さんが両肩を抱くようにして後ずさる。


「き、桐崎くんは……僕に本気で身体を売れというのかい……?」

「……悠斗くん。なかなか酷いです」

「……ひぃ」


 三者三葉の避難の目に、俺は苦笑いを浮かべる。


「いや、違いますよ。身体を売るのは蒼井さんではないです」

「……え?じゃあ誰が身体を売るって言うんだい?」


 俺はその問いにこう答えた。








「部活動をしている部員の皆さんにですよ」

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