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第一話 ⑪ ~放課後~ 朱里視点

 第一話 ⑪




 朱里視点




「ゆーこ!!ディフェンスー!!」

「おーけー!!」


 私は体育館の端で、みんなの声を聴きながら上半身の筋トレと、体幹のトレーニングをしていた。


 き、きつい……


 い、いや。わかるよ。足を怪我したら下半身は使えないから、その分上半身と普段は重点的には鍛えない体幹を苛めるのはトレーニングの基本。

 だけど、ホントきつい……っ!!


「ほらほら朱里!!サボんないの!!」


 と、部長からの激が飛んでくる。


「は、はい!!」


 くぅ!!これなら普段の走り込みとかミニゲームとかの方が100倍楽だよぉ!!




 と、普段は鍛えない部分を重点的に苛め抜いた私は、部活の時間が終わったら安堵のため息を吐いていた。




「つ、疲れた……」

「あはは。お疲れ様朱里」


 ぐったりとしているを、ゆーこちゃんが労ってくれる。

 すると、そんな私に部員のみんなが集まってきた。


「ねぇねぇ朱里!!朝のすごい話題になってるよね!!」

「通学路のど真ん中でチューするとかやるじゃん!!」

「な、なんで知ってるの!!??」


 あの時間はみんな朝練で居なかったのに、なんで知ってるの!?


「これこれ!!」

「とぅいったーでバズってるよ!!」

「う、嘘でしょ!?」


 そう言って見せてきた動画を見て私は愕然とする。


『通学路の中心で愛を叫ぶ』


 とか言うタイトルで、悠斗と私のキスシーンから、私のビンタまで動画で流れてた。


「ご、五万いいねと三万リツイート……」


 私は顔を真っ赤にしながら俯く。


「コメント見る?」

「見ない……」


 そんな勇気ないよ……


「まぁでも、昨日みたいに黒瀬さんが桐崎くんと付き合ってるーみたいなのよりはマシじゃん?」

「そ、そうだけど……うぅ……」

「でもいーなー。私もここまで愛してくれる彼氏欲しいなぁ」


 確かに、ここまでされたら悠斗の愛を疑うとかそう言うのは無い。

 でもやっぱり、恥ずかしいのは恥ずかしい!!


「とりあえず。悠斗にはお詫びとして、ケーキバイキングを奢ってもらおう」


 美味しいケーキ屋さんを見つけてたけど、値段が結構高かったんだよね。

 今度のデートで連れてってもらおう!!


「あ、あそこのケーキ屋さん?美味しそうだよね!!行ったら感想教えてよ」

「うん!!悠斗に全額払わせてやるんだから」

「あはは。朱里が激おこだ」


 笑うゆーこちゃん。

 私も笑ってる。


 昨日とは違って明るい空気が更衣室の中に流れていた。


 こういう空気になれたんなら、悠斗のやり過ぎな行為もすこしは許してあげようかな。






 なんて思ってたけど、





 この一件はものすごい所まで波及していた。



 お母さんに電話して、学校まで迎えに来てもらい、家へと帰る。

 お母さんには、いろいろとあったけど、学校では上手くいったよ。


 と話していた。


 しかし、事件は夕飯を食べている時のテレビのニュースで起きた……


 私は焼き魚の骨を取りながらとりあえずテレビに映してあるだけのニュースを見ていた。


『今日のバズ動画』


 と言うタイトルでニュースコーナーが始まった。


 な、なんか……嫌な予感がする。


『今日のバズ動画のコーナーです。このコーナーでは視聴者がとぅいったーに投稿した動画を紹介するコーナーです』


 …………。


『本日のバズ動画は。こちらです』


『通学路の中心で愛を叫ぶ』


「ああああああああぁぁぁ!!!!!!」

「ど、どうしたの!!??朱里!!!!」

「いきなりそんな大声出してどうした?」


 怪訝な顔をするお母さんとお父さん。


「消して!!今すぐテレビ消してぇ!!」


 私はリモコンを探すが、時すでに……


「あら?悠斗くんじゃない」

「ほう。これは今朝のことだね。頬に紅葉がある」


 微笑ましそうにテレビを見る二人


「ああああああああぁぁぁ…………」


 私は頭を抱える。





『俺は!!二年一組の桐崎悠斗は!!二年一組の藤崎朱里を!!世界で一番!!愛してまーす!!!!!!』


 チュッ!!


『わあああああ!!!!』


『ゆ、悠斗のバカぁ!!!!』


 バシーン!!




 今朝の一幕がテレビに……全国放映……



「あらあら。若いっていいわね」

「ふふふ。桐崎くんもなかなかやるなぁ」


 と、概ね好意的な両親。


『高校生の二人ですね』

『いいですねぇ。私もこう言う青春を送りたかったです』

『彼氏さん。かなりガチで叩かれてましたね』

『いやー彼女さんの気持ちも分かりますよ?』

『まぁこうして全国に放送されてしまったわけですが、彼氏さんがまた叩かれないことを願いましょう』


 な、な、な、……


「だってさ。朱里。もう悠斗くんを叩いちゃダメよ?」

「まぁ、思わぬ形で交際が広まってしまったな」


 と、言うお父さん。


「こんな形は想像してなかったよ……」


 私はガックリと肩を落としながら、残りの焼き魚を摘んで食べた。



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