Ep51︰『屍とその背』
お久しぶりです、お待たせ致しました。
51話更新です楽しんでいただけると幸いです。
「よし。じゃ、出発しようか。2人とも」
「ええ、行きますわユキト様」
ユキトの言葉にそう答えるシアン。
「よし!! さっきの模擬戦でなんか僕勇気出てきましたよ!! さ、お二人共行きましょう!!」
__2人の背中を押して、移動の催促をするリミィ。
「ひゃっ、リミィちゃん。そんな急がなくても……」
「ふむ、驚いた。リミィ何故、お前そんなにやる気になってるんだ?」
「……何でしょう、手応え? ですかね。ユキトさんとの共闘で僕、この人とならやれるなって思ったんです」
「なるほど、そうか。ともあれリミィが自信を付けてれたようで俺は嬉しいよ」
『「おー!! 凄いッスねユキトサマ。あのこしぬけリミィちゃんをその気にさせるなんて」』
__アリアが出現し、ユキトにそう言う。
『まあな』と片目を閉じユキトは瞳で返事を返した。
この褒め言葉に対し、ユキトも満更でもないらしくその言葉を素直に受け取る。
『ふーん、やるわねこの子。面白いわ』
『『わかってくれるっスか! お姉ちゃん!! さーっすが私の認めたユキトサマー、へぎっ!!』』
『『あんまり調子乗らないのアリア』』
冷めた目で二人となった自分の妖精を、眺めるユキト。
「はぁ、厄介なのが2人になった訳か……アレイスもめんどくさい奴らを残してくれたものだな……」
「ユキトさまー? 行きますわよ?」
シアンがそう声をかける。
「ああ、すまん……今行く」
アリアとウォタルに戻れとユキトは彼女達にアイサイン。
__ポワッ。
2人の姿がたしかに消失したのを確認したユキトは二人の待つ場所へと急いで走っていく。
「さあ!! 行きましょう!!ユキトさん」
「ああ、」
3人はクリスタルを獲得するのを目的に敵の捜索を再び開始する、そしてマギア・ルームで休息を取ったからか、身体が軽く今、敵を発見した場合体力、魔力の面で有利を取ることが出来、3人は3人とも戦闘へのモチベーションは最高潮であった。
3人が今思うことはただ1つ、より強い相手と戦いたい__ただそれだけだった。
敵の捜索はシンプルな方法だった。
3人は別方向へと別れ。空、海、陸での捜索となっていたリミィは空へ、シアンは海岸の方へ、ユキトはリーダーを務める都合上、何処へでも駆けつけることの出来る陸を。
__しかし。捜査は難航し、人1人見つける事が出来ずにいた。
「いーーないッスねー、ユキト様」
「私も手を抜かずに探したわ。でも、近くに人の気配は無さそうね」
「……やはりか」
__フィン。
ユキトは懐から光る鉱石を取り出しそれを胸元に掲げ、同じこの光る鉱石をもつリミィ、シアンと『魔法通信』を図る。
『『聞こえるか、リミィ、シアン』』
『『わ、この声はユキト様っ!! はい、なんでしょうか!!』』
『『こちらも聞こえていますよユキトさん』』
『『お前達、俺の居る所へ帰ってこい。何かがおかしい……きっとここら周辺には敵はもう__いない』』
『『な、なんですって!! 昨日、あんなにユキト様の探知魔法に引っかかった人達がいたのに!?』』
『『ああ、そのハズなんだが、俺たちが休息していた昨日__何かが起きた』』
『……信じられませんね、何が起きたんでしょうユキトさん』
『俺には心当たりがあるっちゃ、これはただ俺の感なだけだ、だから念の為に『サーチ』の魔法を今、発動して何が起きたかだけ確認する、お前らは俺の元へと帰還しろ』』
『『はい!! 了解ですわ』』
『『お願いします!!』』
ユキトが敵探索の為、『サーチ』の魔法を無詠唱で『黒の魔導書』より発動する。
精霊に願い、発動に必要な通常魔力の二倍を注ぎ込み、いつもより正確な『サーチ』魔法を発動する。
__フイィイイン!!
『ユキトサマ、カイセキカンリョウ、シマシタ』
「良くやった、ありがとう」
そして、解析が完了した段階で仲間達も合流する。
__シュン、シュルル。
「戻りましたわ、ユキト様」
「僕もです」
上空より『浮遊』の魔法で上空から帰還する2人。
「ああ、おかえり、2人とも。今俺の『サーチ』の魔法の解析が終了した、3人で確認しよう」
「ええ!!」
「はい、」
周辺の情報を持ってきたユキトの精霊達は自らの形を変化させ、いつもの様に魔法文字に変化し情報をユキト達へと伝えた。
「__なっ。これは……」
『ユキト様!! ……これって』
サーチの情報を確認したシアンが、慌てた様子でユキトにそう声をかける。
「なんですかこれ……僕らが休息を取っていた、昨日一日で何が起きたんです!?」
「やはり俺の感が的中してしまった様だな、間違いない。こんな事をする奴はただ一人__」
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燃え盛る草原に1人の少女、彼女の美しい金髪が炎と共に風に揺られ煌めく、周りには戦意を失った生徒達がまるで屍の様にバタバタと倒れている、数えたところ2桁、何チームもがこの少女に挑戦しそして脱落したのであろう。
その少女の目に映る『クリスタル』の山、彼女はこれが目的だったのであろう。
佇んでいたその美しささえ感じさせる少女は口を開き、一言だけこう告げた。
『私の勝ち、約束通りこれは貰っていくわね__』と。