Ep05『呪縛の霧、深淵の洞窟』
叔父に別れを告げ、森を抜け前へ前へと進んだユキトは深淵の洞窟へと続く魔法式で封印された穴を発見したきっと、リグレッド叔父さんが他の者を危険にさらさない為にここを封印したんだ。
「はは、人想いの叔父さんらしいや……」
そして、ユキトはその封印式を解除する為に近ずき解除の封印魔法を詠唱する。
__フィィイン。
よし、解除できた。
強大な『魔法力』で封印されていた入口だったが元々エリートでオーバースペックな学院生だったユキトにはダンジョンマスターの封印式の解除など容易だった。
解除されたその穴を覗き込むと案の定中は真っ暗で何も見えなかった。
__が。
ユキトは動じる事無くそのままその穴へそのまま 飛 び込んでいく。
「よっと、ほう……なるほどここが『深淵の洞窟』」
ユキトが無事着地し、洞窟の周りを見渡した。
ユキトが1人飛び込んだ先は外界の光を一切遮断した薄暗い空間が広がっていた。
「当たり前だが、無音で不気味なとこだなここからは一人……か」
1人でこの洞窟抜けるする事を決心する。
真の目的であるこの洞窟を抜けた先にある難攻不落ダンジョン『レガリアウォール』これを攻略する為に。
言わばここはユキトにとっては前座である。
ソフィーを見返す位の魔法力を手に入れるには……規格外のマジックアイテムが必要だその為には、上級マジックアイテム『レボルアイテマ』があるかも知れないと噂されている没落し廃墟と化した死霊蔓延る呪いの廃王国『レガリアウォール』に絶対行かなきゃいけない。
俺の未来の為に……
ソフィーの未来の為に。
__『レボルアイテマ』……ソフィーが求めるそれさえ有れば。きっとソフィーは俺の事を見直すハズだ。
回復特化の魔法使いであるソフィーはそのレボルアイテマをずっと欲しいと口にしていた。
ソフィーのことを考えていた俺が急に現実に引き戻される。
それは、この洞窟の空気が非常に薄く呼吸が困難であったからだ。
「っく!! 舐めていた……この洞窟、酸素が薄いそれに……」
地面が自分の足を掴んでいるかのように感じる。
足が重い……ゆっくり歩くのがやっとだこんなゆっくり歩いてたんじゃ帰ることは愚か前に進む事も億劫になってくる。
__マズイ……このままじゃ。
身体をどうにか適応させなければ。
(この身体の重さ……まさか呪縛の魔法……この『深淵の洞窟』全体に呪縛の魔法がかかっている?それに視界が…… ここを抜けるためにも術者か呪縛の発生原因を追求しないとこれは厄介だぞ)
呪縛の霧を受け、ゆっくりと進む急に目の前が中明るくなってくる。
ユキトはそれをランプ代わりに辿り前へと進んで行く。
「ありがてぇ、これで無駄に魔法力使うからランプ代わりに炎の魔法を使わずに済むな……」
「『光る鉱物』か……へぇ……重いから何個も持ってけないがこりゃ、使えそうだ……保険に1個持っていくか」
__ボゴッ。
重い身体を無理やり動かし、光る鉱物を慎重に採掘した。
そしてそれをユキトは首にかけた小型のアイテムボックスへとしまい込む。
※ ※ ※ ※ ※ ※※※※※※※※※※※※※
その後、何十分か前へ前へとユキトは進んだ。
身体を適応させる為、無理をしてでも前へ前へと足を運ばせる。激流する川を逆らって進むかのような圧力と強烈な負担が身体に襲いかかる。
__そして。
そんな負荷のかかったユキトの目の前に高速で何かが飛び込んできた。
「なッ!? マズイ……!!」
高速でこちらへ飛び込んでくる物体の距離が刻一刻と近ずいてくる。距離が近ずくにつれ球体のそれを目視で確認する事が出来た。
「くっそ!! 身体が全く適応出来ていないこの状況で魔物かだが、この球体状の生物は……下級魔族の『スライム』」
「っく!! スライムくらいならこの『全体呪縛魔法』下でも何とかなる、ハァ……!!」
ユキトは重いく視界が定まらない呪縛の霧の中敵から繰り出される攻撃を避けるため、その場から跳躍し両手を広げ魔法式を展開する。
(よし、かわした!?)
__ピュギュイイ!!!
呪縛のせいで覚束無くゆっくりとした跳躍であったがただ直進してくるスライムの突進攻撃を交わすには十分だった。
スライムは元いたユキトの足元に着地し、新たに突進攻撃を開始する。
__が、もちろんユキトもそれに応戦する短縮魔法を詠唱し攻撃魔法を発動する。
「魔法式展開……リミッター解除、爆ぜろ!! ファイゼ・バースト!!!」
__バゴーン!!!
ユキトの炎系魔法はスライムを正確に捉え、スライムの細胞を燃やし尽くす。
「……スライム如きにリミッターを解除した中級魔法は勿体なかったが念の為だ……この呪縛下で舐めプは命取りになる」
『……っな!? 生きている……だ、と?』
__ピュギュイイ!!!!!
焼き尽くされたと思われたスライムの肉体は再構成をし、たちまち生き返り、すぐ様高速でユキトへさっきと同じ突進攻撃を連続で繰り返した。
__ビュン!!
「……この鈍い痛み……そしてこの素早さ……このスライム……まさか!? ただのスライムじゃない!?」
__ビュン!!
『ピュギュイイィアア!!!!』
「ぐっ……グハッ!!」
高速で攻撃を繰り返し、ユキトの頬や腕に攻撃し傷を付けていく。
頬からは肉が裂け血が滴り固く特殊なスライムから受けた鈍く重い痛みが痣となって身体に浮き出る。
そのスライムはユキトの推察通りただのスライムでは無く洞窟に内包されていたマジックアイテムを取り込んだ特殊なマジックスライムであった。
アンチマジックアイテムである『バリアント・シールド』を取り込んだ為ほぼ魔法を無効にする鉄壁の魔法耐性、硬く強い身体を持ちユキトを追い詰める。
「フン!! 面白い…… 下級魔族のスライムでさえこの洞窟じゃ厄介な敵か……魔法攻撃がダメなら」
__フォオオン。
ユキトは身体の適応が追い付いてきたのか以前より素早い動きで俊敏に着地し、地面に手をあて目を瞑り魔法式と魔法陣を組み合わせ詠唱と合成を始める。
『魔術師達が織り成す数多の神聖な星々よ、我が命に答え土と鉱物を融合し我に力を与えたまえ……』
__ヒュォオオン!!
ユキトが高速で詠唱を唱えるとユキトの触れていた土と念の為採取しポケットに入れていた鉱物を魔法式にて融合させ剣を合成する。
___……ジャキン!!!!
「行くぜ、マジックメタスライム!! 魔法がダメなら魔法で作った物理の剣をお見舞してやるよ」
そう言って、作ったばかりの剣を振りかざした。
『ン……ピュギュイイ……、ピッピギュイイ!!!』
動揺を見せるスライムであったが、ユキト向かい再び素早い突進攻撃をしかける。
「行くぜ……ハァ!!」
ユキトは魔法で合成した剣を大きく振りかぶりスライムを迎え撃つ。