Ep33『転移。穹に浮かぶ島、スカイド・サンクチュアリ』
__フィイイイン。
ケイト先生が発動した古代魔法文字でうめつくされた魔法がクルクルと回り、そして青白く発光しながら魔法陣の範囲を拡大していく。
やがてその魔法陣はA,B,Cの全クラスの生徒を包み込み、予め学院の教師によって用意されていた『魔法試験』の会場へと転移を開始する。
「やはりケイト先生のマナの総量化け物級だな……ソフィーいつ見ても素晴らしい」
「ええそうね、マナ自体の総量は私あんまり自信ないから羨ましいわ」
「はは、そうだなソフィーは長期勝負型の魔法使いと言うより、前線型の短時間近距離制圧型の魔法使いだもんな」
「ええそうね、でもマナの保有量はいくらあっても困らないじゃない? ならもっと欲しいなって」
相変らずの魔法に対する意識の高さ、彼女はいくら現状が良くても常にそれに満足する事はなく常に上を目指しているそう、彼女は向上心の塊だ。
そして、意外と何にでも他人の持っている才能や個性を誰よりも羨む正確であるその、『負けず嫌い』の性格が彼女を常にトップへと導くのだろうか。俺はそんなにソフィーを尊敬している更に、その姿勢を近くで何時も見ているせいか、その意識の高さを彼女から学びたいとも思っている。
あぁ、やはりソフィーが居るから俺は常に努力出来るのかもしれない。
この彼女に対する好意としての純粋な好きの気持ちと、1人の魔法使いとしての尊敬の念が混同したこの気持ちが常に俺のモチベーションを高めてくれる。
1度振られた彼女の隣りで再び忘れられぬ『好き』の気持ちを再実感するユキト。
『君がいるから頑張れる』と言う想い。それが思わず口から出てきてしまいそうになって、この秘めたる気持ちをそっと胸にしまった。
「ねぇ、ユキト? 寝坊?」
「あ、いやごめん少し考え事をしていてだな……」
「そう? それなら良かったわ。 て言うかユキトなんかニヤケて不気味なんだけど……」
__しまった。ついソフィーへの気持ちが溢れて彼女が隣にいるだけで口角があがり、それに伴い俺の心拍が上昇する。
「すまんなソフィー、お前がいる久しぶりのこの当たり前の学院生活が楽しくてな」
俺はソフィーの言葉に思わず、動揺しそうになったが自身の今の気持ちを偽らずに彼女へ告げた。
「そ、そう? それなら良かったけど。ふふ、ええ私もよ、やっぱり学院の生活にはユキトが居なくっちゃ」
まさかの発言。
ソフィーもユキトが休学していたこの1ヶ月の間退屈していたせいか、彼女もユキトのこぼした気持ちによりそい同調し、その意見に共感する。
そんな会話を2人がしていると、いつの間にか魔法陣の拡大が完了し、クラス全員の転移が可能な範囲まで広がり、ケイト先生の一声で全員を指定の場所へ転移する事が可能となった。
「よし、転移の準備完了しました。皆さん準備はいいですか? それでは会場へと転移を開始します」
2学年生全てに投げかけた質問に対し生徒達は各々返事で返答しその経をケイト先生へと伝える。
「オーケイですね? 皆さん それでは転移します、ケイト・ゲノル・ゲノガードが『命じる』天に続く空に願う。高貴なる我の魂に従いその願いを叶えよ、ー発動。転移魔法『ムーヴァ・ルールゥ』」
__ブォオオ。
__……フィイイイン。
生徒達を包む魔法陣がケイト先生の詠唱をトリガーとして強く光り輝いた魔法陣に書かれた魔法文字がまるでバクバクと脈を伝うように震え、やがて天から青い光が降り注ぎ一瞬で俺達は『試験会場』であるその空間へと瞬間移動する。
当たり前だが、ケイト先生の長距離『転移魔法』が成功し、魔法陣がバラバラに砕け落ちる。
「着きましたよ、皆様。ここが私達教師が今日の為用意した特設『実技試験』会場、さあどうぞここなら、あなた方がこの日の為に高めてきたその魔法の闘志を実践だと思って学友へと、思い切りぶつけて暴れて構いませんよ……」
ケイト先生は不気味にそのメガネを光らせそれをクイクイとしながらそう、自慢げに生徒へここで全力を出せとそう告げる。
俺達生徒は初めて連れてこられたこの実技試験会場の景色を見渡す。
周りを見渡すとそこは辺り一面に広がる海岸と海。そしてこの場所から見るに遠いいが、森も見える。さらに俺の視界ぎりぎりに小さく映る研究所の様な機械的な場所も目視で確認した。そして下を見下ろすと、空の景色が広がった。どうやらここは浮遊している。成程、ここは教師達に造られた人工の浮遊した島であろう。
「はは、これじゃさっき先生が言っていたステージって言うのも比喩じゃなく本当に直接の意味だったって事になるな……ここか俺達のバトルステージか面白い、どうやって攻略してやろうか」
「うわぁ……凄いココ。この島、空を飛んでるのね? ユキト見て、アレ私達の学院じゃない? へー!! 学院近くのこんな上空にこんな場所が建設されていたなんて……」
ソフィーがこの空の景色に興奮し目を人一倍輝かせる。
「ああ。エリクリウス学院のこの技術。流石としか言い様が無いな」
「ええ、燃えてきたわ!!」
「ああ、教師が用意したであろうこの場所。どんなギミックや試験内容が待ち受けているか、楽しみで仕方が無い」
「ふふ、私達どちらがこの学院トップかを周りにしらしめるちょうどいいさいっこーーの舞台ね? ユキト」
「フン……絶対に勝つからな?覚悟しておけ、ソフィー」
「模擬戦の『魔法勝負』じゃ負けちゃったけど、実戦ではそうはいかないわよ?」
二人の天才と賢才が睨み合い、天空の魔法試験会場で激しいヒバナを散らす。
「やっべ、おいあれ見れよ ソフィーさんとユキトだぜ……今日の試験でも激しい一二争いを……くぅ、それをこの目で見れるなんて」
「ああ、ヤバいな……エリートを羨むのもいいが、Cクラスとは言え、俺達もエリクリウス学院の生徒の端くれ俺達も負けずに頑張るぞ!!」
「ああ!! この最高のステージで暴れてやろうぜ」
「「「おー!! 」」」
天才と賢才の2人が間接的に2学年全員を鼓舞した。___今日の試験は過去一、激しいものとなるであろう。
この美しい島の景色に興奮し、ガヤガヤと騒ぐ生徒達。
__そして、その騒ぎは教師の一声で鎮まる。
「ええ。それでは。 皆様これより魔法の実技による試験を開始します引率は2学年教師代表の私ケイト・ゲルス・ゲノガードが努めます、それでは試験についての概要を話します。1度しか言わないのでしっかり聞いて下さい 『おほん、』それでは__」
ついに始まる魔法の実技試験__、各々が今日の為に努力してきたハズだそれを思い切りぶつけられるこの日、学院の皆は国を守る戦士になることを目標とし『魔法騎士』を目指し、この重要な試験に望むのであった。




