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大魔法賢者の一双 〜ー天才魔法使いと賢才最強幼馴染の2人ー〜  作者: うわのそら
第一章 Ⅱ ロスト・シャトー《レガリア》
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Ep20『帰還、フロールン家』


『アリア!! おい、アリア!! ふざけているのか? 出てこい! 何処にいるんだ!?』

ユキトは自分の周りをぐるっと見回り、消失したアリアを探す。


__まさか、マナの枯渇で本当に消えてしまったのか。いや、契約者の俺が生きている限りアイツ自身のマナが無くなっても死なないはずだ。


※__……ダメだ、アリアの気配を感じれない。


本当にアリアはマナの枯渇で存在を保てなくなり、跡形もなく消えて、消失してしまったのか?


ユキトは頭を巡らせ、知識として頭に入れている『妖精』の情報と概要を頭の引き出しから引っ張る。



『妖精』その存在の元は「精霊」であり、「精霊」は契約魔法使いと戦闘や人間的な行動を共にしある一定の成長をトリガーとし、進化系である『妖精』へとクラスが上がる。



__確か妖精は契約者以外の人間の目に映らず、またこちらの妖精が契約者以外の人間に物理的な干渉を直接することは出来ない。しかし、俺が他の者に契約権を共有する事でアリアへの干渉は可能となる。


そして今問題なのはアリアの消失の原因である。


妖精消失の原因は()()を除き大きくわけて2種類。


1つは。

・契約者の死亡による存在の消失。


常に契約者とマナを共有し存在を維持している妖精は契約者が死んでしまうと、妖精も共に死んでしまう。これは妖精自身だけのマナでは存在が保てない為妖精が消失してしまうのである。


2つ目。

・一方的な契約者による妖精との契約の破棄。


つまりはこんな妖精いらないと、契約者側から妖精を捨てる事が契約者と妖精の間にはこれが許されており、これを行ってしまうと妖精は契約者とのマナの共有続行が不可能となり、存在が保てず消失してしまう。


そしてどちらにも当てはまらない今回のユキトのケースを彼は自分を俯瞰しながらアリアの存在場所を考察する。


「何どちらともに俺は当てはまっていないはずなのに……アリアとのマナの共有は続いているなのに何故」




アリアは先の2人で発動した、転移魔法に要したマナの消費により完全に彼女の体内にマナが無くなったのだが、その場合俺のマナを共有しそれを消費しながら存在を保つのだが……なるほど。


簡単な話だった……アリアが消失した理由など深く考える必要など無かったのだ。


予想以上に俺の身体、精神は疲れていた……。


無休の連戦だったからな、そして最後に黒の魔導書を経由し、放った『転移』の魔法も長距離だったからな、、まさかこんなに俺自身のマナも……枯渇しているなんて。



「すこし、眠らせてくれ。 ……少し、少しだけ……うっ」

身体全身が痛い足が鉛のようだ。ピリピリと足が痺れ視界が揺らぎ、瞼をあけるのを維持する事すら困難で、自室の寝具を目の前にしてプツンと意識が途切れその場で倒れ込んでしまう。



___ …… …………バタン。



そのままユキトは意識を失い明日の朝まで目を覚まさないのであった__。






※ ※ ※※ ※※※ ※※※※※ ※※ ※※※※



翌朝__。





「ユキトサマ!! ユキトサマぁあ!!」


声が聞こえる……聞きなれたキンキンした黄色い声だ。


今覚めたばかりで訛っている重い瞼をゆっくりと開け、その声の主を視界に入れ何者か確認する。


「黒い、……羽」

視界いっぱいに広がった幻想的で美しい黒く煌めくソレに思わず言葉がこぼれ、口に出してしまう。


「ひゃーー!! ユキトサマ起きたっス!! よかっだあああ、びえぇええん 死んじゃったらどうしようかって私、私」

涙をうるうるとうかべ俺の名前を呼ぶ消失したハズの俺の妖精アリア。


「……うるさい、声……、、」

続けて発した言葉はうるさいと言う意思表示。

寝覚めに聞きたくもないキンキンとしたうるさい声、先程目に入った美しい羽を持つ妖精から発せられるとは思えないその声に俺はいらだちを覚える。



__……が、「無事でよかった、アリア余り、心配させるなよ?」


「ええ、もうなんとも。私は元気ですよ? ユキトサマ」

楽観的なアリアの表情がいつもより今は大人びて見える。今はそのアリアの顔が……美しいとさえ思える。


「……お、おぉう」少し照れるユキト。


『フヒ!』


「あ?」

神秘的な妖精らしい美しく儚げな表情を浮かべたアリアであったが一転、神秘的な存在と思えないくらいに不気味なニヤケ顔で頬を赤らめるアリア。



「ふひひ見てましたよ、見てました! 何だかんだで、私が居なくなったら心配してくれちゃってー!」


「あ?」

__ブチッ。

前言撤回このふざけた妖精に与えるマナなど、ナシ。


「ひゃあ!! ちょ、ユキトサマ、ユキトサマ死ぬッス!! 死ぬッスーー〜ぐるじぃ。くるしぃよお!!!」


俺がアリアと共有している自分のマナを絞り、次いでに一時的にだが、アリアのマナも徴収してやった。


ふざけた俺の妖精を分からせる、いわゆるお仕置と言うやつである。



「ギブ!! ぎぶ!! ぎぶあっぷーーーッスー〜!!」


「分かった、分かったから止めるよ、止める」


「ハァハァ……ちょっとふざけただけじゃないスかー〜ユキトサマ冗談通じないスね……」

アリアがそんな不満を言いながら俺を睨む。


「冗談はあんまり好きじゃないな、が。小煩いお前と居るこの日常は最近少し面白いなと思って来たりしているがな?」


「え、あっはは! きゅーにそう言うことダイレクトに言われるとて、照れるっスね。えへへ」


「ふ、はは。だなとりあえずこれからもよろしくアリア」


「ええ、勿論。これからもよろしくお願いしますユキトサマ」


俺が差し出した手をアリアが優しく握り頬の方に近ずけ、俺にそう言う。


何処かその儚げな表情を抱えるアリアの瞳に決して、零しはしない透き通った雫の様な涙が映った気がした。


そんなうるさくも俺の日常に欠かせなくなりそうな存在が一人増え、これから始まる俺にとって新たな学院生活に__胸を弾ませる。


ただいま、我が家フロールン家。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アリアーよかった… [一言] さぁ!いよいよですね!
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