ケモナーの試練の塔!2
忙しくてなかなか描けませんでした
「……補習で遅れたのは悪かったけど私を置いて空の旅とかズルくない!?」
しばらく空の旅を楽しんで、一通り満足したところで試練の塔前に戻った。するとアリスが頬を膨らまして怒っているではないか。
「えーっと……それじゃアリスもまた今度行く?」
「私は……バスクちゃんがいいっ! 空じゃなくて森を旅したいっ!」
先程とは一転、喜色に富んだアリスの声が辺り一体によく響き渡る。なんたって狙いはこれだったのだ。空の旅を楽しんでいる二人に文句を言いしばらくお預けになっていたバスクに乗せてもらう。足りない頭で必死に考えた作戦だった。
「それでいいならわかった! 後で森の旅と行こうか!」
どうやら作戦は成功らしい。そもそも普通に頼めば乗せてもらえるのだが……
「それじゃさっさとクリアしちゃおっか!」
そう言って三人は、苦い思い出のある試練の塔へと入っていった。
◆
「それじゃ開けるけど……準備はいい?」
「私は大丈夫……フロスは?」
「私も大丈夫!」
最終確認として、装備、持ち物を見て、それぞれ準備完了の旨を伝える。ちなみにこのようなことをしているのはそれっぽいからと言うだけの理由だ。
「それじゃ……レッツゴーっ!!」
「「おーっ!!」」
掛け声と同時にリーフが重厚感を放ち、鈍い光でもって輝いている巨大な扉をゆっくり、ゆっくりと開く。
「……石像?」
中にあったのは、祭壇のようなものと、その中心にある石像のみだった。暗いなか唯一照らされているそれは、部屋の中でも一際強力な存在感を放ち、そこに立つ三人を動かずとも圧倒していた。
「とりあえず石像なら……攻撃してみる?」
「それなら私がやるよ、おいで、リル。ひっかけ!」
フロスの指示を受け、リルがとんでもない速さで突進していく。そして石像の前まで到達し攻撃した瞬間。石像のHP表示が現れ、少し減っているのを確認したと同時に、HPが0になった。マックスまであったはずのリルのHPがである。
「リルっ!?」
突然の出来事に、皆驚きが隠せなかった。ボステイムということもあり、リルのHPは結構多いはずなのにも関わらず即死である。一体何をしたのか、何があったのか分からないが、とりあえず一つだけ分かったことがある。
「また死にゲーかぁ……」
リーフがポツリとつぶやいてアリスが項垂れる。前回が死にゲーだったことからも予測はできていたことだが、やはりそうだと判明するのは心にくるものがある。今度は何回チャレンジすればいいのか、今のところまるで見通せないため、余計にきつい。
「あれ……フロス?」
「ゆる……さないっ!! 融合! バスク、ニスク、ポチっ! ヴェノムバイト!」
リルを倒され、激昂したフロスが最大火力でもって石像を攻撃する。
「っ!? まだまだっ!!」
先ほどと同じ現象が起こり、フロスのHPが一気に削られる。
「ちょフロス!? 残りHP1じゃん!」
HP1になろうとも尚石像を攻撃しようとするフロスを二人がかりで止める。
「……待って後HP1なんだけど!?」
「さっき言ったよねそれ!? ……ってあの石像動き出してない?」
「あ、ほんとだ……口が開いて……光って……ビームでも来るのかな?」
「私攻撃してくる! どうせ後1なら特攻しかないよ!」
おそらくあれは大きな攻撃だろう。どうせ1なら余波ですら死にかねない。幸いダメージも入るらしいので、最後にもう一発ぶち込んでおこうと言う作戦だ。
「喰らえっ! 不死の炎!!」
不死鳥の形を成して、炎が石像に突撃していく。そして確かに直撃し、石像のHPを7割まで減らしたところで止まった。
「二人ともっ! 私まだ生きてるよ!」
思わずして即死条件を見つけた彼女は、二人のところに戻ろうと……したところで、3人まとめて眩い光に包まれた。