ケモナーの依頼失敗!?
「まずペットの捜索から行こっか」
三人で集まって、先にどっちから行くかを話し合った結果、より簡単そうなペットの捜索から取り掛かることにした。なんでも見ればわかるらしい。
「それじゃあ私は街の南側から探すからリーフは東、フロスは西をお願い。それで見つからなかったら最後は北に行こ!」
「アリスちょっと……」
アリスが一通り方針を決め、皆に伝えたところまではよかったが、リーフは何か不満だったのか、アリスを読んで二人で話し出した。
「ペットの捜索だよ? フロス一人にして大丈夫なの……? 絶対「もふもふだぁ!」とか言って戯れてる未来しか見えないんだけど……」
「あ……うん、大丈……夫じゃないね、急いで探し行くよ!」
一方その頃、フロスがある西側では
「おーい! タロちゃーん! 出ておいでー!」
フロスはまだまじめに探していた。名前からして恐らくはもふもふなのだろうが、彼女は犬に慣れていたのだ。何せ毎日ポチやリルと触れ合っているのだから。今更そんじゃそこらのもふもふに浮気するなどあり得ない、という絶対的な自信があった。毎日野生のもふもふを見る度に目を輝かせて抱きつきに行っているのは気にしてはいけないのだろう。
「タロちゃーん! 怖くないよーっ! 出ておいでぇ!! たろちゃん! でておいーーえ?」
次の瞬間、フロスの目の前には【タロちゃん】という名札がヒレにつけられていた巨大な空飛ぶ魚だった。
困惑し硬直していると、タロちゃんは大口を開けてフロスの方に向ける。そしてその口には、巨大な火の玉が浮いていた。
「ひぇ……きゃああああ!?」
もちろんフロスは、一目散に来た道を戻った。
◆
「アリスゥゥゥ!! リーフゥゥゥ!!! タロちゃんが! タロちゃんが!!」
フロスが顔をぐっちゃぐちゃにして走ってくる姿に
「「フロス!? 一体何!?」」
二人揃って声を上げる。
「タロちゃんが魚で、火の玉で、それを私に向けて来て! めっちゃ臭くて!」
「ごめん、日本語でお願いしていい? とりあえず一旦落ち着いて」
「……う、うん……」
フロスは後ろを振り返り、タロちゃんが追ってきてないことを確認して安堵する。そして徐に口を開いた。
「ふぅ……とりあえずタロちゃんは見つけた……けど逃げてきちゃった」
「逃げてきた? なんで……?」
「……空飛ぶ魚が大口開けて火の玉撃ってこようとしてきてたら普通逃げるよね? ……正直タロちゃんって聞いてもふもふを想像してたのもダメージ大きいのかも……」
なんだかんだでやはりもふもふを期待していたフロスの落胆は想像絶するものである。二人も察したのか「あー……」とでも言うかのような微妙な表情をしていた。
「というかあれを捕獲とか無理だと思うんだけど!? ……諦めない? 依頼なんて失敗でいいから諦めよ! と言うかもうやだ! あれなんか臭いし会いたくない!」
「あー……どこにいたの? とりあえず会ってから決めよ、リーフもそれでいい?」
アリスの言葉を受けて、フロスは二人を案内して再びタロちゃんに邂逅することとなった。そして、近くでその姿を見たフロスを除く二人は、即刻依頼放棄を決意したらしい。
現在の3人のランク【銅】 ポイント0




