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ケモナーの二層への切符!

「それじゃ第二層行こっか!」


一度第二層へのボスを倒した者は、次からは特殊なアイテムなどは使わずにいつでも第二層へと転移することができる。フロスとリーフはこの条件を既に達成していた。そう、二人だけは。


「ちょっと! 私まだ行けないんだけど!?」


テストで赤点を取ったが故に行くことが出来ない者、ここに一人。アリスである。


「うん、頑張ってボス倒してね! ちなみに額ど真ん中狙うとすぐに倒せるよ、それじゃ行ってらっしゃい!」


そういい、二人で先に二層へ転移しようとすると、アリスが突然叫び出した。


「わああ!! 待って待って! 私を追いていくなんて酷いよっ! 手伝ってくれてもいいじゃない!? そりゃ補習だったんだから自業自得だとは思うよ、それでもさ、薄情じゃない!?」


そう、はっきり言って彼女の自業自得、別に弱点さえ知れば一人でも倒せるのだから二人が態々付き合う必要はない。しかし、それはあくまで理屈だ。ごねにごねた理屈に過ぎない。理屈とは別に感情というものがある。アリスの必死に懇願する姿を見て、二人の不合理な部分、感情が……


「「一人で頑張れ!」」


どうやら動かなかったらしい。アリスの必死になって行った懇願は、ただの二人も動かすことができなかった。


「そんなぁ……この薄情者っ!」


あまりにも薄情すぎる。アリス抜きで話を進めようとするフロスとリーフに彼女は憤慨した。


「……リーフ、どうする?」


アリスの必死の懇願に、フロスの心が若干揺らぐ。どうやら結構迷っているらしい。


「……手伝って早く終わらせた方が良くない?」


「それもそうだよね、それじゃ行こっか」


フロス達がそう結論付けると、アリスはパッと表情を明るくした。先ほどの怒りがまるで嘘であるかのように消え失せたのだ。


「二人とも……! それじゃあボス攻略……行ってみよう!」


一気に元気を取り戻したアリスは意気揚々とボス退治へと向かっていく。



「いやあああああっ!! 生首いやっ!」


そう叫んで、フロスの腰に抱きつくアリス。


「ちょっと離してくれない!?」


そんな彼女を無慈悲にも拒絶するフロス。


「何やってんのさ……」


それを苦笑いしながら見つめるリーフ。


「……」


黙って佇んでいる(?)生首。状況はただただカオスだったのだ。

 アリスは怖がりである。本当に怖がりである。低クオリティなホラーゲームですら絶叫してしまうほどの怖がりだったのだ。そんな彼女が浮かぶ生首などというものを目にしたらーーこうなるのは必然であった。


召喚(サモン)! リル!」


こうなったらアリスの説得は不可能、そう考えてフロスは実力行使に出た。逃亡である。フロスはリルに乗って一気にアリスとの距離を開けた。


「わあああっ! 待ってよ! 待ってってばーっ!」


後ろからアリスの叫び声が聞こえて来るがフロスはその一切を無視して、アリスからの逃亡を図る。逃亡先はボスの目の前だ。


「リーフ! 援護お願い!」


このまま一気にボスを仕留める気だ。ボスを倒すためには額に一撃当てる必要がある。しかしその一撃を当てようとすると、必ずと言っていいほど三本の刀が邪魔して来るのだ。故に先に刀を壊す必要がある。


「おっけーっ! 三連撃(トリプルショット)!」


フロスに言われるがまま、リーフは三本の刀を同時に狙い打つ。


「ナイス! リル行くよっ!」


矢が当たり壊れかけていた刀に、リルが同時に攻撃を加えることで刀の破壊に成功した。


「リーフ! そのまま額に矢を撃ち込んで!」


今ならば邪魔するものは何もない。勝ちを確信したフロスがリーフに大声で指示を出す。


「分かった! 【狙g】ーー」


「わーっ!! リーフーっ!」


しかしそのまま終わる……ことはなく、アリスがリーフに抱きつき、リーフはその驚きでスキルの発動を解除してしまった。


「ちょっとアリス!? 離してくれないっ!?」


「だって怖いんだもん! 絶対に離さない!」


「ちょっ……フロス! あと任せる!」


腕にしがみつかれているため、リーフは矢を射る事ができない。そんな状況を鑑みて彼女はフロスに全てを任せることにした。また、諦めたとも言える。


「分かった!」


リーフの状況を目にし、即座に理解したフロスはただ一つだけ大きな返事をしてそのままボスを撃破しに行く。


「リル! 頼んだよ!」


刀を失ったボスはもはや恐るるに足らず。リルの一撃でそのまま葬り去られることとなった。一悶着あったものの、アリスも無事二層への切符を獲得したのだ。

投稿し忘れてました笑


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