ケモナーの新ボス邂逅!1
「どっかにボスの心当たりある?」
「んー……ごめん、特に心当たりはないかな」
嘘である。この女、フェンリルというボスがいるということを知ってる上であえて知らないと言っていた。全てはただフェンリルを倒したくないからである。
「そっかー……知らないのならしょうがないよね……ってあれ? その装備ってボスドロップじゃないの?」
いきなり核心を突かれてフロスは大いに焦った。
「えーとね……あの……その……そ、そう ボスドロップってソロかつ一人目じゃないとダメなんだよ!」
この窮地に、フロスは虚偽の設定を作り出した。
「ほんと……?」
「わ、私が嘘つくわけないじゃんっ!」
「まあいいけど……それなら一緒に探そうか。どこ探す?」
「んーと……そうだね……洞窟とかに隠されてそうじゃない?」
「そんなありきたりなところじゃすでにだれかクリアしてると思うんだけど……」
「それならあんまりなさそうなところ?」
「まあそれが一番いいかな?」
二人はとりあえず方針を決め、あまりダンジョンなどが配置されていなさそうなところ……今回は砂漠を探索することにした。
「……ねえ、いくらダンジョンが配置されていなさそうなところって言ってもさ、見渡す限りの砂漠っていうのはないと思うの。ほんとに何もなくない?」
アリスはさっそく疑問を感じていた。いくらあんまりないようなところを探すといってもいくら何でもここまで何もないところを探さなくてもいいのではないかと。
「何言ってんの! こういうところの地下にダンジョンがあるっていうのはファンタジーもののセオリーじゃん!」
「それだとさっき言ってたあまりダンジョンなどが配置されていなさそうなところじゃないじゃん」
「……」
フロスは気まずくなったのかアリスから目をそらし一言。
「いいからずべこべ言わず探しに行くよ! そういう細かいことは気にしないの!」
そう早口で捲し立て早足に前へと突き進んでいく。
「まあいいけど……それにしてもなかなか見つからないね……どうする?」
「ゆっくり探そうよ今日は休みでまだ時間あるんだから」
「それもそうだね、今すぐに必要ってわけでもないんだし」
そこからおよそ1時間、何もない荒廃したところをゆっくりと歩き、どんな小さなものも見逃すまいと細心の注意を払ってひたすら探していくが何の成果もなくいったん二人は立ち止まった。
「どうする?なかなか見つからないしそろそろ別の場所探しにいく?」
すでに1時間と30分ほど探していたアリスは、何もないこの荒廃した砂漠にみきりをつけていた。
「そうだね、そろそろ砂漠はあきらめよっか……」
そんなアリスの言葉に、フロスは少し落ち込みながらも賛同する。願わくば地下ダンジョンなどがあってほしいと考えていたがどうやら諦めたらしい。
「おっけー、次はどこ探す?」
「やっぱり森の中? それとも王道のどうくーー」
フロスが言葉を完全に言い終わる前に砂地獄が発生し、途端に二人を飲み込んだ!