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ケモナーの決着!終

「行くぞーっ!」

「「「おーっ!!」」」


3人で一斉に掛け声を上げ、そして試練の塔へと足を踏み入れる。これが最後になりますようにと願いながらだ。


「よし……それじゃあリーフは少し遠くにいて、いつでも打てるように構えてて!」

「オッケー!」


そう会話を交わして、リーフはフロスたちのさらに後ろへと配置につき、気配を消す。


「フロスは……うん、もう準備できてるね!」


フロスもリルを召喚して既に準備万端だ。


「アリス……今回でかとうね! ていうか絶対に勝ちたい!」


フロスはアリスに己の胸の内を告げ、そしてリルの上にまたがる。


「うん……! 勝とうね、これで! これが最後にしようっ!」


アリスもフロスに応えて、フロスに背を向けてゆっくりと入り口へと歩いていく。

 何度めかのスカル・センチピードの登場、慣れたもので5〜6度目ともなればかわして攻撃を加えることも容易だ。


「フロス!」


いつもの流れである。アリスが登場と同時に攻撃を加え、次の攻撃への指示を出す。


「よし! リル頼んだよ!」


リルが遠吠えを響かせ、スカル・センチピードへと向かっていく。ここまでも前回と同じ流れだ。


「アリス!」


ただここで違う点は一つ、サイクル速度が今までよりも速くなったことだった。3人で回していたところを2人で回すことにより、息があいやすくなり、結果としてサイクル速度が上昇するという現象が起きているのだ。

 つまりスカル・センチピードのHPが減少する速度は先ほどよりも早くなっていた。


「フロス!」


どんどんとサイクルを回していき、確実にダメージを与えていく。反撃する隙すら与えられないほどに二人の連携は早く強力だった。


「すっご……」


それは仲間であるリーフすらも止まって眺めてしまうほどに速くて美しくすらあった。


「リーフ! もうすぐだよ!」


連携の合間を縫ってフロスはリーフにも声をかける。


「わ、わかった!」


二人の連携に見惚れていたリーフはフロスの声で現実に戻され、急いで矢を構える。

 すでにスカル・センチピードのHPは6割を切っていた。リーフの出番が来るまでは後30秒もないだろう。このまま見惚れてたらやばかったな……と、リーフは心の中で声をかけてくれたフロスに感謝した。


(二人は頑張ってくれた……あとは私が決めるだけ……っ!)


確かな決意を胸に、ゆっくりと矢を番える。矢を一発放つのに30秒弱……十分すぎる時間だ。


「リーフ! あと少しだよ!」


残りHP5.2割……5.1割……5.0割……


「「今! 【クリスタルショットウィンド・オブ・スラッシュ!】」


敵HPが5割を切った瞬間、二人で同時に後ろへと引き、魔法を放つ。ここも先ほどと同じ構図である。


「「リーフ! あと任せたよ!」」


スカル・センチピードへと魔法が届くその刹那、たしかにリーフには聞こえた。二人の声が、確かに感じた、あとは託すと言う意思が。


「任せて二人とも……! これで終わりよ、このクソボスめ! くたばれっ! 【狙撃ッ】」


二人の放った魔法へ数瞬(すうしゅん)遅れてリーフの放った矢が追いかける。


「「いっけぇーっ!!」」


二人の声が第1層へと響き渡る。そしてその声が木霊した直後、クリスタルショットウィンド・オブ・スラッシュがスカル・センチピードの体にぶつかった。

 しかしギミックが発動し、再びHPが残される。そして反撃の狼煙を上げるかの如く吠えたスカル・センチピード。


「落ちろっ!」


しかしその瞬間、無慈悲にも後撃ちされたリーフの矢がたしかにスカル・センチピードの頭を綺麗に穿った。


「グギャアっ!? ぎゃぁ……」


断末魔を上げて、スカル・センチピードは倒れて、そしてポリゴン片となり消えていった。

 しばしの間空間の中に沈黙が走る。


「やっ……た?」

「やったよ……! 私たちやっと勝ったんだよっ!」

「やったよっ! アリスにリーフ! 私たちやったんだよ!」


最初に沈黙を破ったのはリーフの困惑したかのような声、未だ勝ったという実感が湧かなかったのだ。

 しかしフロス、そしてアリスの喜びにより、ついに勝ったんだと実感することができた。ようやく長い戦いに終止符を打つことができたのだ。

 3人揃って歓声をあげ、みんなで抱き合う。フロスはついでにリルを呼び寄せ、3人揃って次はリルを抱きしめもふもふし出した。


「あ……結構いいかもしれない……」

「目覚める? リーフも目覚める!? いいよね、もふもふはいいよね。私はーー」




リーフの小さな呟きをフロスが聞き流す筈もなく、耳に入れた瞬間リーフはと顔をずいっと寄せて布教を始める。


「お、落ち着いて!? 一瞬堕ちかけたのは確かだけど……私は堕ちません!」


一瞬堕ちかけたリーフだ。そのまま放っておけばうっかりフロスの仲間入りするかもしれなかったが、フロスの熱烈な布教により逆に萎えてしまった。残念ながらフロスのケモナーを増やしたい! という熱い思いが逆にケモナー候補を減らしていってるのである。


「えー……残念だな……まあ気が変わったらいつでも言って! 私がケモナーの、もふもふのなんたるかを教えてあげるっ!」

「う、うん……機会があったらね?」


最近は少なかったこともあり忘れていたがリーフは確かに思い出した。イカれたフロスの恐ろしさを。


「まあ布教はその辺にして早く出るよ!」


アリスの言葉にフロスは我に帰りリーフに軽く謝る。


「いいよ? それより早くでよっか!」


フロスの勧誘を躱すことができて少しだけ安堵したリーフであった。

これで試練の塔第一層はラストです。かなり引き伸ばしちゃった感はありますね……

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