ケモナーの決着!5
「それにしても本当にどうする?」
「うーん……他にまだ攻略方法あるのかな?」
攻略の糸口を掴んだにも関わらずなかなかクリアすることができずに3人は心なしか落ち込んでいるように見えた。
「とりあえず今分かってるギミックあげてこうか、まずは魔法攻撃禁止」
「それからデバフ禁止? らしいけど」
「あとは連続攻撃禁止」
「あとは時間をかけ過ぎたらだめ」
3人は口々に第1層のボスがもつギミックをあげていった。
「んー……やっぱり地道に攻撃して行くしかないよね……」
リーフは少し考える素振りをし、結果的には他に攻略方法は見つけられない、と言う結論へと至った。
「んー……でも魔法攻撃禁止ならわざわざ弱点に設定されてるはずないじゃん? 結構ダメージ入ってるっぽいしやっぱり魔法攻撃は使う場面があると思うんだよね……」
そこにフロスは自身の考察を交え、リーフ達に提案する。
「あー、そうかも! それならさ、ある程度削ったところで魔法攻撃を使うって言うのはどうかな?」
「確かにそれなら……よし! 試してみよ!」
まずはどれくらい削ることができるのかを確認しなければならないはずだが、1回めの挑戦時にすでに使っている為ある程度は予測できる。およそ半分削った辺りでアリス、それからフロスが同時に放てば削り切れるだろう。
「アリス、それからフロス、魔法攻撃を同時に使うことってできる?」
リーフは考えをまとめ、二人に問う。
「うーん……少しはズレると思うけど大体同時に撃てばいけるんじゃない?」
そこに代表してアリスが答える。
「よし! それならこれで行こうか! まずは私とアリス、それからリルちゃんで少しずつ削る、それで半分削った辺りで二人同時に魔法を撃つってことで!」
「おっけー! フロス、ちゃんと合わせてよ?」
「任せてっ! それじゃ行こっか!」
大方の作戦は決まったらしい。3人で再び試練の塔へと足を進めた。今度こそスカル・センチピードを下すために。
◆
「何回来ても嫌な雰囲気だねー……」
第一層の持つ無機質で、それでいて少し悍ましい雰囲気は何度来ても慣れないものだ。
「本当に慣れないもんだよねー……」
「よし、早く倒してこんなとこ抜け出そっ!」
「「うんっ!」」
3人の目的は一致していた。第1層のボス、スカル・センチピードを倒してこの嫌な雰囲気を放つ試練の塔を一刻も早く抜け出すことだ。
「それじゃあ準備はいい? もう出しちゃうよ?」
ボスを出現させるのを担当するのはアリスだ。フロスとリーフでは初撃を避けることは叶わない。もしかすると初撃を喰らうとステータスがアップするのかも知れないのだ、態々喰らってあげることもないだろう。故に初撃を避けることができるアリスが適任なのだ。
「私たちは準備OKだよ!」
リーフは弓を構え、そしてフロスもリルを召喚し既に準備万端だ。
「それじゃあ行くよっ!」
二人の準備が完了していることを確認して、アリスはゆっくりと出口へと近づいていく。この行動こそがスカル・センチピードの出現条件なのだ。
「来たっ! アリス避けて!」
上から降ってきたボスを避け、ついでに一撃加えてから彼女はリーフとフロスの元へと戻る。
「それじゃあ作戦通りにっ!」
「リル! 頼むよ!」
フロスもリルに指示を与えて、ボスへとけしかける。今度は間違っても魔法を使わないと心に決めながらだ。




