ケモナーのお友達!
「かーすみっ! おはよっ!」
霞が朝学校に行くために、一人で歩いていると後ろから声をかけてくる人物がいた。彼女の名前は春野奏。霞のクラスメイト兼親友だ。
「あ、奏! おっはよ!」
霞も奏に挨拶を返す。そのまま合流し談笑しながら二人で学校へ向かっていく。
「んみゃーお」
話している二人の前に1匹の野良猫が現れる。
「モフモフだぁ!!」
ケモナーでかつモフリストの霞はすぐに反応。トテトテと猫の元まで走って行きしゃがみ込む。
「あはは、霞ほんとに好きだね」
いつもぶれない霞の行動に奏は苦笑いをする。
「もっちろん! モフモフは私の人生って言っても過言じゃないよ! それじゃ猫ちゃん、学校行かないといけないから……ごめんね!」
霞は猫用のおやつを置いて奏と共にその場を後にした。
「あ、そういえばさ、面白いゲーム見つけたんだけど一緒にやらない?」
先程のモフモフでゲームの件を思い出した霞は奏に一緒にやらないか?と問いかける。
「えー……霞ってモフれるかどうかで面白いか決めるじゃん。まあ聞くだけ聞くけど……なんてゲーム?」
「えっとねー確か……ASOっていうゲームだよ! どう?」
「ASOかー……結構有名じゃん、でも意外だね。あれあんまり霞が好きそうなゲームじゃなさそうだと思ったんだけどなー、私もやろうと思ってたけどモフモフ要素ないから声かけなかったんだよ」
霞の価値観に合わせると絶対に合わないゲーム、そう考えた奏は霞に声をかけず一人でゲームを始めようとしていた。
「え? モフれるよ? モフるまでずいぶん大変だったけど今じゃ満足のいくほどにモフれるようになったよ! それより奏もやる気だったの? なら一緒にやろ!」
ゲーム仲間ができた! と喜ぶ霞。しかしそれに奏は唐突に謝ってくる。
「ごめん! 実は……私1週間後に講座内テストあってさ……そこまでは出来ないんだよね」
「あー、そういえばなんか言ってたね。そっか……それじゃ1週間で先進めとく!」
「ほんっとごめん! 恨むなら倫理の田中恨んどいて!」
「うん、倫理の授業全く役に立ってないんだね」
霞の指摘にあははと苦笑いする奏。しかしこれはしょうがないことなのだ。態々テスト期間外にテストを組む田中が悪い。奏は自分自身にそう言い聞かせた。
「あ……運動着忘れた。ごめん奏、運動着貸して! 半袖半ズボンでいいから!」
急に思い出して奏に向かって頭を下げる霞。
「んもう、これで何回目よ、そろそろ先生にも怒られるよ?」
「あはは、もう忘れないよ」
「ん? その言葉一昨日聞いた気がするんだけど……まあいいや、気をつけてね?」
「ごめんごめん、ほんとありがと!」
今日も一日が始まった。彼女は学校があまり好きではなくなった。何故なら、モフれるのが奏だけだからだ。というか奏は奏でモフるのは楽しいが、やはりケモナーとしては獣をモフりたい。つまり何が言いたいかというと……
(早くゲームしたい!)
完全にゲームに魅せられていた。