記号の迷宮
「編み物は得意ですか?」
立野くんが、博士の奥さんに尋ねた。
「ええ、もちろん!」
彼女は自信満々こたえた。
「これなんですが……。近所のおばちゃんが難しい難しい言ってて」
「どれどれ……」
!!!!!
「どうしたんですか?」
「イギリス編みは私も編めないのよおおお!!!」
博士の奥さんはどこかへ逃げていった。
「この記号はイギリス編みか」
難解な記号。
きっとホームズも解けないだろう。
立野くんは研究室に行った。
博士がホワイトボードにXとYをごたまぜにして書いている。
「なんですか?それ」
「メンデルの法則じゃ。しかし、これでは解けん」
「遺伝子の法則ですよね?なんの生物ですか?」
「マル」
「マル?」
黒猫のマルが、三匹仔猫を産んだのだが、アカキジ、ミケ、とどめにシャムだった。
「全くわからん」
「オスの遺伝子とマルの遺伝子の両方の組み合わせの中にあったとしかかんがえられないですねぇ」
「立野くん。きみもそう思うかね?」
「遺伝子の螺旋模型見ましょうか?」
「人間のしかなかっただろう?」
「あれ?あれは全生物に当てはまらないんですか?」
「わしら、高校から学び直しじゃな」
「そうですね……」
二人はしょんぼりした。