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記憶  作者: 半月
89/120

89・壁の中

「は?」

「触らないで!この空間は壁の中に人を閉じ込めるの!生き埋めにして壁に取り込まれたら死んじゃう!キャア!」

話すことに意識を向けたせいか、メイアは片腕を壁につかまれてしまった。

壁はどんどんメイアをつかまえ、壁の中に引きずりこもうとする。

「メイア!」

ミョンハクが飛び出し、なんとかメイアを壁から引き剥がした。

「ごめん・・・・・・なさい・・・・・・私が不注意だったばかりに・・・・・・。」

「何もしゃべるな!」

ものすごい早さで水面を駆け抜けるように走るミョンハクにとって走ること以外に関心を他に向けてしまうと先ほどのメイアのようになりかねなかった。

取り残されたセタとルルスはため息をついた。

「はぁ・・・・・・どうしてこうもあの二人はせっかちなのでしょうね?つまりはこの壁に触れずに高速移動できればいいってことでしょう?」

今やほとんどの記憶が戻ったルルスにとってすばやい状況把握とすばやい推理が可能になり、今まで習ってきた中でもできない魔法もないに等しかった。

「できるのか?」

セタがルルスに尋ねる。

「当然ですわ。そのために私がいるのです。東洋魔法もちゃんとれっきとした魔法なのですよ?いつも西洋魔法や西東洋魔法ばかり使われているから出番はほとんどありませんでしたけど。さあ、私の手を取ってください。」

自分の言っていることに恥ずかしさを感じ、微かに頬を赤らめながらもまっすぐにセタを見、手をセタへ伸ばす。

「ああ。こうでいいのか?」

セタはすぐにルルスの手を握る。

「あ・・・・・・。」

ルルスはすぐに顔をそらし、咳払いを一つすると「では、行きますよ?」と言って飛んだ。

四人が同じ安全な空間にたどり着いた頃、ルルスはあわててセタから手を離し、ミョンハクは息切れをしていて、メイアは反省しているのか斜め下を見て静まり返っていた。

「あ・・・・・・の、ごめん・・・・・・ね?」

メイアが気まずそうに言葉を発した。

「私が・・・・・・先走っちゃったから・・・・・・なんか私・・・・・・こういうこと。多いよね・・・・・・。」

壁に捕まれて青あざになってきている左手を押さえながら誤る。

するとミョンハクは顔をあげて叫んだ。

「んっとだ!バカ!ふざけんな!何があるからわからないんだから慎重にいくだろ!」

「だから・・・・・・ごめんって。」

また、自分のせいで迷惑をかけた・・・・・・私ってそんなに邪魔?

とメイアは思い、さらに下を向いた。

「ほんとにさ・・・・・・何があるかわからねえんだよ。何かがあったあとじゃ遅いんだ。」

ミョンハクはそういってメイアの肩を掴んだ。

メイアは顔をあげる。

「わかるよな?」

まだすこし息切れをしていた。

メイアは黙って頷く。

「心配するんだぜ?わかったならいいんだ。怒鳴って悪かったな。」

ミョンハクの表情を見たメイアは自分に驚いた。

何故ならミョンハクを見てドキリとしたからだ。

でもそれは気のせいだとかき消し、すぐに拗ねたように言った。

「ミョンハク君っていつも私のこと子供扱いするよね・・・・・・私だってルルスちゃんと同じ歳なのに、ルルスちゃんと私とじゃ全然態度が違うの。私に対しては怒鳴ったりとか・・・・・・そういう事・・・・・・多い。」

「だから・・・・・・わるかったって。」

ミョンハクは頭をかきむしった。

「メイアちゃんは気付いていらっしゃらないんですね?ミョンハクが怒るということはそれだけ本気でメイアちゃんを心配したということですよ。」

「そんなの・・・・・・じゃあ他の事は?ルルスちゃんはお姫様扱いで私はガキって呼ばれて。よくわかんないよ・・・・・・。」

「わからないならいいんじゃないですか?傍目八目って言いますしね。でも私のほうがミョンハクの態度がいいということはありませんよ。さあ、先に進みましょうか。」

ルルスは進行を促した。

「う・・・・・・ん。」

前へ前へと進む。

次に着いた場所はこれまた不思議な場所だった。

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