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記憶  作者: 半月
81/120

81・道

しばらくすると、メイアは手をたたき、声を少し張り上げた。

「ここだあ!」

メイア以外の三人はいきなりの声にびっくりし、固まる。

「何がだ?」

ミョンハクが真っ先に誰もが聞きたいであろう事を聞いた。

「ここの先、何があるか知ってる人、いる?」

メイアが指差したのは洞穴の奥深くだった。

「行き止まり・・・・・・だろ?」

ミョンハクが推理をたてた。

「自分の目で、足で、それは確認した?」

「いや、推測だが。」

「つまり、この先を誰も知らない!」

メイアの顔が輝きはじめる。

「こんな暗いところに・・・・・・入っていくのですか?」

「その通りです!さあ、行ってみよう!」

「・・・・・・嫌!」

ルルスが異常なまでにその案を拒絶した。

「ルルス・・・・・・ちゃん?」

ルルスの体が震えはじめる。

ガタガタガタガタ

その体を抱き締めるようにルルスはうずくまった。

怖い・・・・・・暗闇が・・・・・・あの何も見えない漆黒の闇が・・・・・・!

怖いんです。

とても怖い・・・・・・私は行きたくありません!

そんなルルスを明かりが回る。

ルルスは顔をゆっくりと上げた。

そこにはメイアが得意とする光と闇魔法の光が灯っていた。

前にホタルという生物の明かりを元にしているとメイアちゃんは言っていましたね・・・・・・まるで自分の意志があるようにふよふよと・・・・・・でも確実に私のまわりを回っている・・・・・・優しい光・・・・・・。

ルルスがゆっくり光の前に手を出すと、本当に生きもののようにルルスの手に止まり、しばらくすると再び飛んだ。

ルルスは立ち上がった。

「光なら出せるよ。この先を照らしていけばいい。それでも怖い?行きたくない?なら、行かなくてもいいよ。無理には誘わない。私は私一人でも大丈夫だから。」

メイアは洞穴の奥底を見つめながら言った。

それに対し、ルルスは、深呼吸をすると・・・・・・答えた。

「・・・・・・怖いです。いくら光があっても、怖いものは怖い。」

ルルスの答えにメイアは無理だと思い、進もうとした。

「ですが!私だっていつまでも子供なわけではありません。恐怖に立ち尽くしたり、足がすくんだりするかもしれません。でも、それでも前に進むのが私達でしょう?」

メイアはルルスの方向を振り替える。

「足止めしている時間はありません。一刻の猶予ゆうよももはやあまり残されてはいないでしょう。役たたずかもしれません。でも、皆さんの足はひっぱりたくありません。だから行きましょう。」

これが今のルルスにとってどれだけの勇気だったことか・・・・・・。

メイアは少し目を潤ませ、ニコリと笑いかけると元気よく声を発した。

「さあ行こうか!」

一歩ずつでいい。変わっていけたら恐れる未来図だってもしかしたら変わるかもしれない。

だから私はあきらめない。

暗やみの中をずんずん歩いていく。

「おーい、メイア、あんまり先歩くなよ。明かりがないんだから。」

セタがメイアを呼び止めようとする。

「私は光がなくても大丈夫だもん。」

「おまえが大丈夫でも、俺たちは大丈夫じゃないの!おまえの姿だけ見えなかったら探すだろ?」

先頭きって歩いていたメイアは足を止めた。

それってもしかして心配してくれてるの・・・・・・?

顔が赤くなって暗やみの中をさっきより早いスピードで歩きだした。

「ちょ!おい!メイア!」

セタが走りだした。

きゃー!追い掛けてくるー!?

メイアも自分の顔が見られないように走りだそうとした瞬間・・・・・・。

ズルッ!

「ぅわぁ!」

「おわっ!」

鈍いゴスッという音が響き、あとから二人が追い掛けてきた。

メイアは恐る恐る目を開けた。

セタがギリギリのところでメイアを引っ張ったらしく、セタが下敷きになっていた。

「わわわっ!」

驚きのあまり飛び起き、あとずさる。

「ってぇ・・・・・・。」

後頭部の辺りを手で押さえ込み、セタは起き上がった。

「何があった!」

「大丈夫ですか!?」

後半組は少し息切れしている。

メイアはさっきのことを思い返し、再び赤くなる。

口が!

口が近かった!

セタは仰向けに倒れ、メイアはうつ伏せだったため、顔同士が向かい合っていたのだ。

「ぅ・・・・・・あ、あの・・・・・・ご、ごめんね?怪我とかない・・・・・・?」

そろりとセタに近づく。

「頭を少し打っただけだ。」

メイアはあわてて後ろに回った。

首の付け根あたりにうっすらと血がにじんでいた。

軽い掠り傷だが、メイアは自分の体から血の気が引いたのを感じていた。

すぐに傷に手を当てる。

「あ、あの・・・・・・本当にごめんなさい・・・・・・大丈夫?痛かったよね・・・・・・?」

「や、別にこれくらいなんてことねぇよ?」

傷はすぐにふさがり、再び四人で歩きだした。

「こんなに長いなんて・・・・・・。」

ルルスが声をもらす。

「本当にな。」

それに反応したのはミョンハク。

身長差が20センチくらいの二人が歩くと、男と女の子って感じになる。

意外にお似合いだなぁ・・・・・・とメイアは前を向きながら後ろを感じ取っていた。

そして歩くだけの時間が続いてから数時間後、得体の知れないところに来た。

真っ暗でただっ広い空間に大きな球体が上下に吊されているような状態だった。

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