67・否定
「だよなあ、じゃあさ、今夕方じゃん?なのになんで物音一つしねぇのかなあ。」
「え、もう夕方ですか?時の流れが早いですね。」
「ねえ。変な音するよ?行こう・・・・・・なんか、嫌な感じがする!」
メイアが走りだし、それに皆がついていく。
バアンッ!
扉が開く音が鳴り響き、“そこ”には黒い何かが人形からカードを抜き取っていた。
ご老人はもうすでに動かなくなっていた。
「なんてことを!」
ルルスが悲鳴に近い声を揚げ、メイアは影にむかって走りだした。
が、影は後ろを振り向き、消えた。
丁度、影に攻撃をしようとメイアが真後ろに回り込んだ瞬間の隙にだ。
残されたのは人形の残骸と骸、一つにメイアのカード一枚だった。
「これで後残るは60枚でしょうか。」
ルルスが呟くが、他は考え込んでいた。
今の黒い影はなんだ?俺たちのカードで何をする気だった?
ミョンハクは考え込む。
メイアは流れる記憶を何故か否定していた。
見たくないと思ったのだ。
ただ、漠然と時間だけは流れていく。
ここにいても仕方ないと、休む態勢に入ったのはセタだった。
それに吸い寄せられるかのように皆休む態勢に入っていく。
メイアはただ一人、寝ずに、夜空を見上げていた。
それに気付いたのはミョンハクただ一人。
「まだ寝ないのかよ?」
メイアはわかっていたような顔で振り向くと、つぶやくように言った。
「やっぱりあたった。」
「は?」
「いくら何でも直感が鋭すぎる・・・・・・。」
「いいことじゃねえか。旅するうえではな。」
「そうだね。」
しばし沈黙・・・・・・。
「何で何も言わない?」
「え?」
「眠れねぇ理由があんだろ?」
「や、やだなあ、ないよ。」
「ねえわけないだろ。」
「・・・・・・何で?」
メイアは俯く。
「は?」
「何で気付くの?」
メイアは少しミョンハクが怖かった。
どんなに強がってもすぐばれてしまう。
だから、距離をおいたほうがいいのかもしれない。
誰にも・・・・・・心配かけたくないし、仲間の足を引っ張ることはしたくないから。
「んなん、気になるからだろ?・・・・・・仲間が。」
そういって顔を剃らしたミョンハク。
「ただの恐怖。だから大丈夫。」
恐怖って・・・・・・前にメイアがガタガタ震えてたやつか?
あの時なんか自我保ってるかわからないほど何かに震えてたじゃねえか。
「恐怖って・・・・・・おまえ!そりゃ大丈夫じゃねぇだろうが!」
「平気だよ。」
「いつからだ?」
「だいぶ前からだよ。」
月が陰る。メイアの表情が読み取れない。
メイアは俺の方を見る。
「そんな怒った顔しないでよ。」
俺の表情がわかるのか?月明かりさえなくなったのに?
「怒るだろ!おまえだって怒ったじゃねぇか!」
俺が肩をおかしくしたときも、足をおかしくしたときだって・・・・・・!
「ああ・・・・・・あの時?ごめんね。私、バカだったよね。あんなことでむきになって怒ったりして。」
バカ?
あんなこと?
おまえにとってあんな事だったのか?
「・・・・・・おまえ、大分かわったよな。」
「うん。そりゃそうだよ。」
「おまえにとって、あれは、あんな事だったのか?」
「そうじゃん。一方的な考えで怒ったんだよ?」
「・・・・・・そうかよ。俺は少なくとも本気で心配してもらえて、嬉しくもあったけどな!」
「・・・・・・え?」
ミョンハクは個室に戻ると、怒りを抑えて眠りに就いた。
メイアはその場を動かずにいた。
「だって・・・・・・変われといったのは君たちでしょう?」
闇と古びた壁に苛まれ、メイアの声が、跳ね返り、こだまする。
ルルスちゃんにため息をつかれ、みんなはいつも感情ばかりをぶつけて先を考えない私を鬱陶しく思ってたんでしょう?
だから考え方をかえたのに、みんなどうして今の私を否定するの?
否定するの――…‥?
何に関しても否定を受けた気がしてメイアは何故か意識を失った。
柱に寄り掛かり、寝ているようにしか見えないメイアを雲間から除いた星たちが照らしていた。
翌朝、太陽が出てもメイアは目を覚まさなかった。
ここ最近、誰よりも目覚めが早かったメイアだが、皆が起きて集まりだした今でさえ、起きずにいた。
作「しばらく休んでてごめんなさい!!?コーナーです。今回は急いでいるので、ラノ、アル、ハス、カザネコロさんにきてあただきました。」
ラノ(以下略:ラ)「え、あの。」
アル(以下略:ア)「初めまして。」
ハス(以下略:ハ)「え?」
カザネコロ(以下略:カ)「初めまして・・・・・・なぁ?」
作「おわぉ・・・・・・強烈。」
カ「だろうね。」
ア「カザネコロ・・・・・・この人、信用してもいいの?」
ハ「あいつらと同じじゃないの?」
カ「あいつら?」
ラ「いきなりの訪問者・・・・・・。」
作「わかった。わかった。何も聞かない。もう帰っていいよ。私はメイアみたいに身軽じゃないからね。構えられて、おまけに攻撃されたんじゃたまんないよ。」
そうゆうわけで、今回は作者の身を守るために中止いたします。
この世界がおわったらこの四人の物語です。
どうぞお楽しみに。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。