66・なぞが呼んだ謎
ここ数日であからさまに変わったメイア。
その能力は前々から開花しつつあった。
ただ、それでもたいして今まで通りで変わらなかった理由はメイアの性格にあった。
メイアは無自覚のうちに自分のなかの自分を制御していたのだ。
何より、新たに仲間になったセタの存在は大きかった。
精神的にも救われたのだろう。
そうしてメイアは一人の娘としてセタに恋をした。
だが、三人の意見はだいたいまとまってもそれに反発するのはメイアだけだった。
―――そんな自分に嫌気がさした。
分かり切ってはいたの。それでも犠牲は少なければ少ないほどいいと思った・・・・・・だけど、ミョンハク君に追い討ちかけられてみてわかった。
私の考え、あまかったね。得るたびに犠牲はいつも生まれてた。
戦争だったり、奪い合いだったり。
時には木だってたくさんの犠牲になった。
そうだよ。
私たちは次に進まなきゃならない。
そう思ったら自分にやけに冷静になって、客観的になった。
その時に思い返してわかったの。
私、いつの間にか夜も目が冴えてる。
それまでは、暗やみに目が慣れたんだと思ってた。
それくらい自然に、当たり前に受け入れていた。
ルルスちゃんに言われて再確認した。
私の目は普通じゃない。
そう思ったら再び怖くなった。
今まで忘れていた、自分だけが違うんじゃないか、ここにある温もりもすべて消えてしまうんじゃないかっていうあの時の恐怖を思い出した。
あのルーナさんの二度目の旅、あの白蛇に叩かれて死にかけてから睡眠時間もだんだん減ってきていることに気付いたの。
・・・・・・恐い。
私、本当は生まれてきてはいけない存在だったんじゃないかな。
過去の記憶でものけ者だったけど、それ以上に怖いの。
だけど、それは皆に心配させるから、足を引っ張ることになるから絶対口にしてはいけない。
また、そんなふうにいきなりキリッとし始めたメイアを心配しているのはルルスやミョンハクだった。
メイアちゃんは私のせいでお変わりになられてしまったのでしょうか?
でも最近私も変です。
ここ最近、おかしいんですよね・・・・・・。
妙に眠くなったり、今のメイアちゃんを見て、不思議とこうなるべくしてなったのだと妙に納得してる自分がいたり、私もこうなるのだと思ったりして・・・・・・変ですよね・・・・・・。
一方ミョンハクでは・・・・・・。
最近、メイアの顔つきが変わった。
何かに耐えてるんだろうが、何でなんにも言わない?
昔なら泣き付いてきた時もあったじゃないか。
肩を震わせて何かに恐がって。
今のメイアが大人だというなら、耐えることが大人なら・・・・・・俺は大人になんかなってほしくない。
メイアに大人になってほしくない。
ただのわがままなんだろうか?
でも、メイアが変われば変わるほど、遠くに消えてしまいそうな気がする。
手に届かないどころか、今ここに仲間として存在するメイアという存在すら消えてなくなってしまいそうな気がするんだ。
何で俺たちは特に変わらないのにメイアだけは進化を遂げてくんだよ?
わかんねえよ。
なんでメイアなんだよ?
なんでメイアだけなんだよ?
何があいつをああさせてるんだよ?
セタは黙り込んだみんなをみてまた一人、黙り込んでいた。
何かがかわっていく・・・・・・ルルスもメイアもきっと・・・・・・。
「なあ、人形ってよる寝るのかなあ。」
「寝ないだろ。」
多少の食べ物を口にほおりこみながらセタの疑問にミョンハクが答える。
すみません、勝手に思いついたサブ台詞?置いていきます。
これからちょくちょくあると思うので、興味があるかたは読んでやってください。
「どうしてそうなのかとか、追い詰めるつもりはない。ただ、守る。それだけだ。」