62・ずっと長い間
次に移動した町はどう見ても人は住んでいなかった。
錆びれて寂びれて・・・・・・建物の外壁なんか、触れたとたんにすこし崩れてきた。
するとルルスの気が戻ったらしくいきなり叫んだ。
「メイアちゃん!」
「・・・・・・なぁに?ルルスちゃんどうしたの?」
「あ、あれ?ここは?」
「新しい世界だよ。とても人が住んでるようには見えねぇな。」
セタがつぶやく。
「・・・・・・こんな世界は初めてだ・・・・・・おい、こんなところに隠し扉があるぞ。地下行きみたいだけどな。」
ミョンハクがぼさっとしている三人にむかってしゃべりかけた。
四人は地下に向かって歩いてゆき、その地下でも驚く光景を見る。
「明かりがほしいな。」
その瞬間にパラパラッという紙のこすれる音と同時に光のつぶがあらわれた。
わけがわからずに三人はお互いの顔を見合わせるが、メイアだけは反応しなかった。
「メイア・・・・・・おまえがやったのか?」
ミョンハクが尋ねる。
「そうだよ。今、本を読んで。」
「読めたのか!?この暗やみのなか!」
「知らないよ。見えるものは見えちゃうんだから。」
いたって冷静なメイアの声にみんな驚くばかり。
「メイアちゃん・・・・・・呪文が聞こえませんでしたが・・・・・・。」
「手で書いたんだよ。呪文。」
「そうですか、ありがとうございます。」
そうして奥へ奥へと進んでいく。
「行けば行くほど暗くなるな。明かりは強くならないのか?」
「あるよ。明かりを付ける場所。」
すると、光の何つぶが頭上にあがり、火が灯され、それがランプであることがわかった。
ずっと先まで続いている。
すると大体が浮かび上がってきた。
並んでいる個室、みな扉は壊れ果て、なくなって、たまに白骨化したどくろがうかがえる。
「ねえ、メイアちゃん、あの光はまるで自分の意志があるようですね。」
「・・・・・・あれは“ホタル”っていう生きものを真似したものなんだって。」
歩いていくたびに光が灯されていく。
「だからあんなに自由奔放なんですね。」
クスリとルルスは笑った。
「そうかもね?」
メイアは肩をすくめた。
「ところで、いつからその暗やみの目を・・・・・・?」
「わからない。最近だよ。夜も昼も見えるの。ねぇ、みんな、そこの部屋大きいからやすもう。むやみに歩いていったってわからないでしょ?」
いきなりセタやミョンハクに話し掛けたメイア。
話を逸らしたのだ。
「そう・・・・・・だな。」
みんなが眠りに就いた頃、メイアは一人、起きていた。
たびたび眠れなくなることがある。
こんなときは・・・・・・そうだ、本を読めばいいんだ。
パラパラとページをめくる。
それでもまだ約半分以上はまだ開かない。
最近はよく分からない魔法でもできてしまうようになった。
とくにそれで成果を出しているのは光と闇の魔法。
・・・・・・得るものがあれば犠牲がある。
考えが変わってやっとわかった。
私ってほんとわがままだった。
ミョンハク君の言ったとおりだった。
いろんなことが起こってきてしまいました・・・・・・さぁ、どうなってしまうんでしょう?
自分が自分じゃなくて、今まで作り上げてきた自分という存在が否定されたときって、怖いですよね。
第一、自分が悲しみにくれてるとき、他の相手を思いやる人なんて早々いないですよね。
ここまで読んでくださってありがとうございました。