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記憶  作者: 半月
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6・儀式

―――時は、否応なしに過ぎる。

そして17歳をむかえ、古き言い伝えまであと残すところ2ヶ月を切った。

二ヵ月後の二月にはいつものもまして大きな月が出る日が年に一度ある。

だが、今年は一世紀に一度。あるかないかの大きな月が空に上がる。

大輪の月。

昔の条約を確認するための儀式。

いつも盛大に祝われる平和の日。条約結束再確認式のようなもので、平和になったこの国をいつまでも保てるようにのお祭りだ。

毎回主演は、セイ家とサントラー家で、セイ家、サントラー家は生粋の血として正装をし、条約確認時になると、即座に周りに集まり、セイ家、サントラー家の長老達が手に取る(さかずき)を見守るのである。

そして杯は長老たちの手によって。

また、月は天高く、杯の天辺に上るころ、条約をセイ家、サントラー家が互いに口にしこの村はずっと平和・・・・・・なはずなのだ。

ただ、今年はそう簡単に行かなかった。

メイアがいたからだ。

今年は古きによる予言の年。

メイア、ルルス、ミョンハクを主演に無事を祈られる。

勇者となるか、英雄となるか。はたまた国や世界ごと滅ぼす災いを呼ぶものになるかは、誰にもわからない。

今年の祭りには用意されるものがたくさんあった。

セイ家にはセイ家にしか伝わらない正装がある。

また、サントラー家にもサントラー家にしか伝わらない正装がある。

だが、メイアは?

そう。シャルス家は生粋の血などない。

シャルス家だけしか伝わらない正装・・・・・・なんてものはないのだ。

それに、正装はきちんとした魔力をおびた服であるからこそそう簡単に作れるものではなく、セイ家、サントラー家にしか伝わらない正装があるのだ。

メイアは正装のことと、あともう一つの事が気がかりだった。

あともう一つのこことは・・・・・・杯。

いつもお祝いに使われる杯は二つ。魔力が込められているからこそ割れることなく長い月日形を残し続けてきた杯。

その杯を杯の魔力の波長が合わない人間が触れると、その人間は神経をおかされ、パニックに陥る。

まれなケースでは死にいたるときもあるらしい。

―――これは以前、杯の魔力がどれくらいのものなのかと中途半端に知識を持ったものが調べるために盗みだそうとしたときに起こり、わかったことだ。

杯の魔力はお祭りの日に一番上がる。

特に儀式の最中は。

杯をたった一つ、触れることさえ、持つことさえ命懸けなのだ。

そしてお祭り当日。

いつもにもまして大きい月。

月がすべてに魔力を降り注ぐかのような不思議な夜。

いつも盛大ににぎわっているお祭りはいつもよりずっと静かだった。

用意されたメイアの正装は西洋とも東洋ともない不思議な服装だった。

スカートのようでスカートではないスリット入りすぎなものの下に七分丈のズボン。

寒そうなくらい肩だしの長袖。

おへそあたりくらいの長さしかない服は両脇に小さなスリットが入っていて、風邪をひきそうなくらいの勢いだ。

また、ルルス、ミョンハクの衣装もいつもの正装ではなかった。

ルルスの胸元には月と太陽の刺繍。

東洋魔法を代表するマークだ。

そしてウォーマーネック風に長い襟に飾られたフリフリ。

そして、硬そうな黒皮のベストのようなものがぴっちりと上半身だけにあり、月の光に照らされて鋭く光っていた。

ひらひらのロングスカートは前後左右の長さが違い、斜め切りにされていた。

ポニーテールに結ばれた髪はやはり腰まである。

ミョンハクは・・・・・・と言えば、立派な剣を背負い、メイアやルルス同様、よくわからない衣装を着ていた。

丈の長い洋服に謎の模様が入ったベルト。両腕と両足に入ったスリットで多少は動きやすそうだが、剣はきっと重たいだろう。

胸元には火龍のマーク。

西洋魔法を代表するマークだ。

赤や緑にまとめられた西洋。

青や黒にまとめられた東洋。

メイアの胸元には縦からつるがツバサのように延びたわけのわからないマーク。

白生地にさまざまな色の刺繍といった感じの西東洋。

不思議な儀式の舞台。

三人が上がることはないはずの聖なる舞台。

その舞台(せいなるぶたい)に今、メイア、ルルス、ミョンハクの三人がそれぞれ魔力をおびた衣装をまとい、舞台に立つ。

さて・・・・・・今回も結構ほのぼのだったかもしれません。

ごめんなさい。

でも、このあとすぐ旅になりますのでお楽しみに。

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