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記憶  作者: 半月
56/120

56・未知なる力

メイア、ミョンハク、ルーナがいないあいだに起きた二人。

「あ・・・・・・セタ。おはようございます。」

「メイア達は?」

真っ先にメイアちゃんですか。

「知りませんわ。調べてみましょうか。」

「その手があったか。」

そしてさっそく探した。

すると・・・・・・。

「お二人は一緒にいらっしゃるようですね。」

「端末本体番号は・・・・・・ダメだな。つながんねぇや。」

「内線同士でのメールは可能でしょうか?」

「あー、たぶんできるけど・・・・・・やつら見ないと思うよ。」

「では、無駄に動かず、待ちましょうか。」

「だな。」

セタが深くうなずく。

しばしの沈黙。

「・・・・・・ねぇ?セタ。セタはメイアちゃんがお好きですか?」

「は?ん、まぁキライじゃないよ。ミョンハクってのも、最初は嫌だったけど最近ではそうでもないことがわかってきたし。ま、相変わらずわかりにくいけど。」

「そうですか・・・・・・あ、あの。わ、私は?」

な、なんてことを聞いているのでしょう。私は!

ほら、セタも困った顔をして――…‥?

「ルルス?」

どうしましょう・・・・・・。

私はどうしてしまったのでしょう。

「は、はい。」

「はじめは何だか気難しそうなやつだなって思ったな。けど・・・・・・なんか。今は特に。」

何も感じないってことですかぁ・・・・・・?

「そう・・・・・・ですか。」

沈黙。

「・・・・・・あのさ、何で俺なんか旅仲間に入れようとしたわけ?」

「え・・・・・・っと、それは・・・・・・ですね。お告げがあったのですよ。新たな仲間が増えるというお告げが。」

「俺じゃなかったかもしれないじゃないか。」

「いいえ!・・・・・・いいえセタは仲間だとみたときから確信してしまいましたから。」

「そっか。あのさ、その体の模様・・・・・・なに?」

「私の醜いあざを隠すと同時にこの身を祈願されて掘られたタトゥーです。」

「醜い・・・・・・あざ?」

「ええ。右肩と左肘に蝶の模様があるのですけど、その模様はもともとあざだったのですよ。四方に、そして特に上にすこしのびているあざ。それが蝶にかわったのだそうです。」

「へぇ。」

それ以外にお互いについて特に触れなかった。

セタの横でルルスは鼻歌を歌い、セタは空を見上げながらボーっとしていた。

小さな小さな幸せの歌。

その小さな光が輝きを失わぬように光は、守り守られて、次へ次へと進んでいく。

自分達がなにものなのかも知らずに、輝きを放ち闇も孤独も完璧などない世界に色々なものを抱えて・・・・・・。


ガサッ。

「メイアちゃん!?」

「・・・・・・あ。ルルスちゃん。」

「と、ルーナさん!ミョンハクもいきなりいなくなるのはやめてください!」

「え・・・・・・だって。寝てたから・・・・・・。」

「寝てたから・・・・・・じゃないです・・・・・・?ルーナさんが湿気ているのはなぜですか?」

「朝風呂だ。」

ルーナが笑う。

「髪の毛もこんなにしてしまって・・・・・・。」

ふぅっとルルスがため息を盛らすと、アイテムをいきなり剣に変えた。

「ルルスちゃんの杖が!」

「ええ。本でわかったのですが、どうやら大きさも使い方も自由にかえられるみたいです。ただし、西洋みたいに振り回せる剣ではなく、短剣ですね。東洋は体術は苦手ですし、長剣を振り回す体力もそんなにないでしょうし。」

杖型の先が鋭くなった剣は、たちまち小さくなり、ルルスの手に納まるちょうどいい大きさに変わった。

「・・・・・・わぁっ。」

ルルスは何も言わずに腕まくりをした。

「髪をすきますからね?大丈夫ですか?」

「え?あ、あぁ。」

シャッシャッという音が響き、ルーナの髪がまとまっていく。

サラサラサラ。

ばらばらだった髪の毛の切り口がそろえられていく。

「メイアちゃんもあとで(そろ)えましょうか。私は髪型を変えましょうかね。」

「へ?」

「女だけでも変装をするのですよ。ルーナさんだけでも異国に逃げてもらって私たちは戦えばいい。そのために異国までは私の空中歩行でいきましょうか。」

「えっ。」

でも・・・・・・と言い掛けたとたん、ルルスが止めた。

「大丈夫です。倒れませんよ。」

マントを羽織り、ルルスは髪をほどいた。

「では、男性お二人には残っていただいて、私たちは行きましょうか。」

三人が手をつないだとたん景色が飛ぶように消えた。

数秒で異国に辿り着き、何食わぬ顔で「ひどい傷を負ったの!助けてください。」といってルーナを預ける。

「なぁ、また戻ってくるよな?いきなり消えるなよ?」

「・・・・・・わかりました。必ずとは言いきれないかも知れませんが全力を尽くします。」

そしてまたルルスは一瞬にして飛び、降り立った。

山についた時、見上げた空は・・・・・・きれいだった。

「きれいだねー。」

メイアが何となく人差し指と親指をくっつけて長方形を作り、空を見上げた。

カシャッ。

「・・・・・・カシャッ?」

メイアが驚いているあいだに目の前に画像があらわれた。

空の画像だった。

「・・・・・・え。」

「撮れるんですね。」

思わずルルスに指を向ける。

カシャッ。

「ちょっ!メイアちゃん!」

メイアはその画像を保存した。

「ひどいですー。消してください!」

「ルルスちゃんのその髪型なかなか見れないし。」

「もぅっ。」

ゴゴゴゴゴ・・・・・・。

いきなり国中がゆれだした。

白蛇、紅龍、蒼龍三体揃ってのお出ましだ。

「ルルス!メイア!いいか!?無駄な体力は使うなよ!」

ミョンハクが叫んでそれぞれに散らばる。

メイアはまた剣で立ち向かい、いろいろな業を組み合わせることに決めた。

ルルスは神を呼び出し、ミョンハクは雷龍を呼び出した。


一番最初に消えたのは紅龍と神、ルルスペア。

神が一瞬にして紅龍を引き裂いたのだ。

ルルスは地面にガクリと倒れこむように座り込んだ。

胸の辺りをつかみ、荒々しい息を吐き出している。

冷や汗が首を伝う。

落ち着かない。苦しい。

それはまだ戻っていない記憶の一つ。

“神を呼び出し、神に気に入られたものはその身を神の宿り身とされ、魔力が足りないものは魔力の代わりに命、つまりは寿命を削られる。削られないためには生きてる生け贄を用意し、神の使い手と魔力を共有する。”

カード(記憶&魔力)がまだ完璧に戻っていないルルスが神を呼び出し、その身に宿すことは危険であり、未熟すぎる魔力で命は削られる。

・・・・・・のだが、ルルスには寿命を削られるという後遺症はみられなかった。

体力魔力共に異様なまでに消耗されただけだったのだ。

それはつまり、ルルスには驚異的な何かが隠れているから後遺症がでないだけの話で今苦しいルルスにとってまだ何もわらないし、そのことについては同じく驚異的な何かをもっている仲間も気付いてはいない。

そして今だに戦い続けているのはメイア。

蛇の尻尾攻撃を飛び回りながらかわしていく。

剣で白蛇の体を切り付け、一瞬にして弓にかえると弓矢を次々に飛ばす。

白蛇がのたうち回るとブーメランにかえ、白蛇の頭を狙い、投げる。

“おのれ、虫けら分際がこざかしい!”

メイアは飛び回りながら蛇の周りの六ヶ所に杭をさしていく。

ついに高く飛び上がると白蛇の真上から杭を三本力一杯投げた。

白蛇は片目がつぶされ、もうすでに見えてはいない状態だったが簡単に杭を避けた。

“バカめ。そんなのが我に当たるとでも思ったか。”

蛇は高らかに笑うとメイアをにらみつけた。

メイアは高く飛んだ位置から地面に肩膝と片手を付けた状態で急落下した。

痺れる手と足でふらっと立ち上がると、蛇にむかって笑った。

“なんだ小娘が。その笑みは負け惜しみか?”

確かに状況的にはメイアは圧倒的不利な立場にいた。

でも。

「・・・・・・違うよ蛇さん。さっきの杭、避けてくれてありがとう。」

そういってメイアは何かを白蛇側に投げ入れた。

とたんに光が発され、六角形の星のなかに三角形があらわれた。

「六つ星三角形。」

“な、なんなんだこれは!”

光が線となり、白蛇の影が地面から消え、闇が白蛇の体を縛り上げていく。

一般家庭育ちだったメイアには結界などしらなかった。

“消えるのはいやだぁぁぁあぁああっ!”

卑屈な叫びだけが残り白蛇は消えた。

「メイアちゃん!」

「メイア・・・・・・おまえ・・・・・・今のどこで知ったんだ?」

「ルルスちゃん!ミョンハク君!あのね、本で知ったの。」

本とは翻訳をしているあの本のこと。

メイアはたまに本を見ているのだ。

「あぁ、どうりで光と闇の魔法だと思いましたよ。」

ルルスは妙に納得していた。

メイアはアイテムを戻すと、小さくしてズボンのポケットに入れた。

ルルスは髪飾りと一緒にキーホルダー状にしてついていた。

ミョンハクは服についている。

セタは翻訳機があるのかさえわからない。


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