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記憶  作者: 半月
54/120

54・作戦

無茶をするメイアを誰よりも知っているミョンハクはあえて無理矢理やめさせる方法はとらなかった。

にしても、バカって認めるとはな。突っぱねるかと思ったけど。

んなこと考えてる場合じゃねぇな。

「なぁ、昨日暴れてたやつらは?」

「今日はあらわれなかった。」

ルーナが速答した。

「戦うための作戦をたてておくべきじゃねぇの?俺は雷龍があるとしても、ルルスはわけわかんねーの呼び出そうとしてぶっ倒れるわメイアは無茶するわでなんかしら作戦はたてておくべきだろう?」

「そうですね。作戦は必要です。それとミョンハク。神を侮辱しないでいただけますか?神を侮辱することは神を呼び出した本人を侮辱すること。すなわち、私を侮辱したとみなしますよ。」

「神!?神なんか架空上の生物だろ?当時、西東洋も生まれず、平和条約も結ばれてない頃のあの最強と呼ばれた時代のなかに出てくる最強の生物だろ?それは実在しなかったって・・・・・・そんな・・・・・・長老達が・・・・・・嘘言ったってことか・・・・・・?」

ルルスはゆっくりうなずく。

「考えてみてください。平和条約はあるいみ最強にして最大の神々達を封じるためのある儀式だとすれば。平和さえ結んだなら、神々は必要なくなりますよね?神々の呼び方はのちに古書へと封印され、ときには長さえ入れなかったことがあったそうです。そんな中、前からあった予言が伝わりました。そしたらみな隠したがるでしょう?災いをもつものに教えたくはない・・・・・・と。」

「確かに。それは独学か?」

「ええ、三歳くらいのとき、禁じられていた古書保管室に忍び込んで読んでいました。杯についても読んだはずなのですが・・・・・・内容を覚えてはいませんね。もしくは記憶がまだないのでしょうか。」

「そうか。東洋は推理力に長けていて、考えをより豊かにするために学問や独学時間があったんだな。それにたいし、西洋は俊敏な動きが必要とされるから学問半分、基礎体力運動などの運動時間に半分半分で割り当てられたから独学時間もなかったぞ。」

「二人だけの世界に入らないでよぉ・・・・・・。」

メイアに突っ込まれてルルスとミョンハクはハッとする。

「・・・・・・てか、おまえ、まだ治療してたのか。」

「うん。だってこれ以上化膿したら困るでしょう?」

「はは・・・・・・おまえは無茶しすぎ。突っ走んのやめろ。」

「ミョンハク君は我慢しすぎでしょ。」

「はいはい。作戦ね。ルルスは無茶しすぎるとぶっ倒れるから無駄な魔力は使わない。メイアは何でも無茶しすぎるから少し推理力を上げたほうがいい。セタは現状だと、このままルーナさんを守り続けてくれ。」

「了解。」

「俺は雷龍で敵を倒すから、ルルスのほうは何か手伝うことありそうか?」

「いいえ。ただ、神を呼び出したあと。生け贄が本来必要なのですよ。ひとりの魔力だけでは支え切れぬ程の魔力を消耗するのです。」

「生け贄・・・・・・?」

「ええ。といっても強靱な魔力の持ち主でなければならないので、ここにはいませんけど。」

「でもでもっ。そんな魔力が必要ならいくらルルスちゃんでも数秒で倒れちゃうんじゃ・・・・・・?」

メイアが少しあわてる。

「ですから、倒れるまでの数秒で敵を倒すのですよ。メイアちゃん。」

口の横に人差し指を立てながらニコリと笑った。

「神ってそんなにすごいの?」

「あら?メイアちゃんは小さい頃、読み聞かせなどのお話はご存じありませんか?」

「三歳くらいの記憶なんて覚えてないよぅ・・・・・・。」

「では、『昔、小さな国にある膨大な力をもつ魔力者というのが集まり、その国に集まった魔力者達はそれぞれ予言、過去、未来、架空上のものに命を与え、それなりに仲良くしていましたが、魔法は分類わけされていくようになりました。そして、簡単に戦争は起こり、当時一番魔力の強い権力者同士の戦争が始まりました。それが歴史上最大で最強とされた神々の狂気。最大にして最も多い、死者と都市がつぶされたとされています。それを二度と繰り返さないために平和条約が結ばれたのだ』・・・・・・というお話はご存じありませんか?」

メイアは考えてみた。

『・・・・・・何のために平和条約が結ばれたか、知っていますか?・・・・・・と、・・・・・・を繰り返さないため・・・・・・。』

途切れ途切れにしか思い出せない記憶。

私は誰にどうしてこの時に教わったんだろう。

寂しい記憶・・・・・・大切なはずなのに。

別に悲しくはない記憶。

誰かの声。

いや、声もわからない。

出てくるのは文字ばかり。

私は一人で生きてきたんだっけ?

だって私のまわりには誰もいない。

寂しくて悲しくなる記憶もある。

でも、これを私に教えたのは誰?

思い出せないのに、悲しくない。

私は・・・・・・一人で生きてきたの?

家があって、誰もいなくて、私はずっと一人?

「メイアちゃん?」

「あ、うん。ごめん。なんかね。聞いたことあるかもしれないけど、どうしても思い出せない記憶があったから。」

「どうしても・・・・・・思い出せないこと?」

「うん。一つはね。絶対思い出したい記憶。でね。もう一つは大切なんだけど薄いの。あんまり必要としてない記憶っていうのかな。」

「私もあります。」

「俺にはないな。」

「はぁ。何、おまえら戦うごとに記憶が戻んの?記憶喪失?」

いきなりミョンハクがルルス、メイアの会話に交ざり、その後にあまり状況把握ができていないセタが入ってきた。

セタから見ればこの三人は変な感じがするのだ。

お互いの関係は強く結ばれているはずなのに何かが抜け落ちてる。

記憶が無くてカード(記憶)を探すというが、そのカードは記憶だけではなく、魔力を秘めている?

おかしな奴らだな。

みんなそれぞれが欠点をもっていてそれぞれがそれをカバーしてるのに、無意識で。

なのに無条件で守って。

それなのに、大事な関わりあいや、大事なつながりが見えてないっつーか、抜け落ちている。

特に・・・・・・なんか感じるのはルルスだ。

メイアやミョンハクは感情をよく態度や顔にだす。

だけどルルスは違う。

ルルスは自分の感情をあまり表には出さない。

だけど、こいつらの関係せいにはよく気付いていて、たぶん自分だけ孤立したような気分になるんだろう。

わからない。

よくわからないけど、俺と同じ匂いを感じる。

まぁ、実際匂いがするわけではなく、感覚的に・・・・・・だけどな。

わかるよ。

はたから見れば一発で・・・・・・こいつら三人の関係性が強いことくらい。

自分に居場所がなくなるような窮屈感。

だけど、もともと俺は居場所なんかなかった。

神、疫病神、悪魔。

呼ばれた名は数知れず。

自分には何の関わりもないのに、他人のはよく見えて嫌になるけど。

「・・・・・・セタ?どうかしましたか?」

「いや、なんでもない。」

説明してくれたらしかったが、セタ、からしか耳に入らなかった。

今は慣れてしまった自分の髪の毛の色も。

こいつらといれば変じゃないと思える。

「どうでもいいけど寝るぞ。明日に備えて体力温存するんだろ?」

いきなりルーナが話って入った。

各自解散したが、寝付けなかったセタは一人、崖へむかった。

そこには先客がいた。

「・・・・・・メイア?」

「セタ・・・・・・君。」

「いやいや、一番寝てなきゃいけないやつだろ、おまえ。」

「あ。うん。でも、考え事しだしたら寝れなくなっちゃって。」

「ふーん。そう。」

・・・・・・長い沈黙。

「あ、あの。人工呼吸してくれたの、セタ君だったよね。ありがとう。」

「あ、あぁ。」

そうだ。

俺、こいつと・・・・・・。

考えたら顔が真っ赤になった。

最後のほうは人工呼吸するのがあたりまえになってたけど・・・・・・。

はぁ。

「・・・・・・セタ君の髪の毛・・・・・・きれいだね。」

「あ?」

「ルルスちゃんの髪の毛もきれいなの。昼間ね、見ると青く光るんだよ。だけど、セタ君は夜の月明かりじゃないとわからない。緑色だ・・・・・・。」

「あぁ・・・・・・俺、もともと黒髪じゃないから。」

「え・・・・・・?」

「俺の元々の髪色は緑。旅をはじめる前に祈願を願って染められたんだ。」

「じゃあなんで黒が抜けないの?」

「なんでだろうな。おまえ達みたいに時間の流れをずっと止めてきたのかもしれないし、時の流れと歩み方が違うからかもしれない。」

「じゃあ、思考や外見は同い年でも、自分達の国や世界に帰ったらまったく違う年かもしれないんだね。」

「そうだな。極端な話、どちらかが生まれてなくて、どちらかが年寄りってこともあるだろうな。」

「実感なんてこれっぽっちもないけど・・・・・・すごい旅をしてるんだね。私たち。」

「そうだな。」

長い長い沈黙ののちに、寝息が聞こえた。

「メイア・・・・・・おいおい。こんなとこで寝んなよ。風がもろにあたるだろうが。」

ほっとくか?

いや、仲間・・・・・・だしな。

しょうがねぇな。

やれやれと思いながらメイアを抱え、木の根元でおろすと、自分も疲れて寝込んでしまった。

『師匠。師匠!次はどんな依頼が?』

『んー悪霊がでて困ってるという町にいかなければいけないね。』

『師匠!僕もつれていってください。』

『ダメだ。まだ推理力が足りないだろう?』

『師匠はいっつもそういう!僕だって勉強してるんだ。使い物になるかならないかは実践で試してくださいよ。』

『いいか。“セタ”、これはお遊びじゃない。おまえの価値はおまえが決めることではないよ。他者が決めることだ。自惚れてはいけないよ。おまえは賢い子だから、私が何をいいたいか・・・・・・わかるね?』

『・・・・・・師匠のケチ。』

それはセタがやんちゃだった頃の記憶。

どこか頭の隅に埋もれて今は思い出しもしない小さな小さな思い出のかけら

ちなみに余談だが、セタの瞳のいろは薄緑に青を混ぜた色。

その瞳には青の色素がおおいのか、母譲りだといわれた。

でもなぜか、セタには母の記憶がなかったし、師匠ちちおやもそれについては触れようとしなかった。

だからセタは母親を知らない。




身近なものの真実と重荷まで背負うのは酷か。


それとも後に真実を知るのが酷か。


どちらの酷がより残酷か。



わからぬまま進む。


真実への・・・・・・旅路。


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