47・記憶と魔力の形
今回はいつもよりもっとグロテスクなシーンがありますので、血を想像するのも嫌な方は読まないほうをおススメいたします。
「じゃあ、消えた記憶のカードは・・・・・・魔力のカードでもあったってこと?」
「だろうな。」
「おい、それよりあっちだだれかあの龍二匹を止めないと。」
ルーナが突っ込んだ。
「んー。ここの守りはセタ君よろしくね!」
メイアは一目散に白蛇へとむかった。
巨大な白蛇は近づけば近づくほどどれだけ不利かに気付かされる。
でも、巨体な分、素早さに欠けていた。
メイアは一目散に首辺りをさした。
グサッ。
小さく刺さった音がした。
白蛇はゆっくりとしかし鋭い目でルルスをにらみつけると首を上下左右に激しく動かした。
小さい立場のこちら側としてはひとたまりもない。
剣を抜き取り、空中を一回転して、四つんばいの格好になりながら空中で止まる。
横から蛇の尻尾が飛んでくるが間一髪でかわし、蛇の小さな目を小さな剣で貫いた。
蛇は激しく息を吐きだしながら体をくねらせる。
もはや「シュー」ではなく、「ビュー」という激しい突風の音にしかなっていない蛇は貫かれた左目からなぞの液体を漏らし、右目でメイアをとらえると牙をむきだした。
毒液を飛ばしてくる蛇は自分の身の回りの物を腐敗させていく。
それでもメイアにむかい毒を噴出し、暴れ狂っている。
だんだんと避ける体力もなくなってきて、盾を使い、逃げることを決めた。
“我は・・・・・・するものぞ・・・・・・”
何かが聞こえてきたのでメイアはその不思議な声に耳を傾けた。
“我は完璧なる傍観者、この地を守り、神の役割をするものぞ!それを愚弄するか!この虫けらめが!よくぞ我の聖なる器を汚してくれたな!”
あまりの気迫に押しつぶされそうになりながら否定の言葉を紡ぐための言葉を探していた。
「ケホッ・・・・・・違うよ。あなたは・・・・・・神じゃない・・・・・・。」
“神を愚弄するか!虫けらの分際で何がわかる!”
「だって・・・・・・あなたはこの地を守護する神といってるけど・・・・・・見て?この腐った景色が・・・・・・守っているように見える?街の人々はあなたに退いてほしいといってる。そんな神って・・・・・・ある?」
“虫けらどもめ!我の存在の有り難さもわからぬとは己の価値もわからぬのだろうな!”
「己の価値は他者が決めるものです。自称神様・・・・・・あなたはわからやずではないでしょう?神ではないんです。ただ巨大なだけですべての虫けらと呼んだ人間も・・・・・・あなたが腐らせた自然も・・・・・・あなたが神だとは思っていない!巨大なだけですべての権力を握れると思わないでください。自惚れは・・・・・・自分を傷つけるだけにすぎない・・・・・・から。」
メイアの体はふらふらしてきていた。
まだ魔力が足りない。
このままでは魔力の消耗が早くなり何もしなくてもこちらがつぶれてしまう。
あ・・・・・・やばい。
これいじょう盾を使いながら空中に浮いてることは・・・・・・きつい。
すると、蛇の巨大な尻尾がメイアに命中した。
メイアは地面に叩きつけられ、すべての骨という骨が悲鳴を上げた。
尻尾に命中した腕はぶらさがったまま動かない。
強く打たれた頭もちゃんと司令を送れない。
強く打たれた背中は苦しいくらい石が食い込んで、木で作られた傷は皮膚が引き裂かれ、血肉が剥き出していた。
それでも大蛇は体をくねらせどこともかまわず尻尾をぶつけ、荒れ狂い、我を忘れていた。
“我が神ではないだと!?己の価値おも他者なしでは見いだせない虫けらが我を神とは認めぬと!?笑わせるな!我は神だ!己で己の存在価値は見いだせる!”
するとだんだんと龍と蛇の姿は消えていった。
「神は・・・・・・一人では・・・・・・成り立たないゲホッ!・・・・・・神は・・・・・・他者からの・・・・・・信頼を・・・・・・得ないと・・・・・・。」
顔も髪の毛も、無残さや酷さまですべてを体全身で映し出すようにメイアは意識を失った。
それは体力も魔力もすべての限界を表していた。
ぐしゃぐしゃのボロボロ。
そうして深い・・・・・・深い眠りについたメイア・・・・・・。