43・生きるために戦う
ついた異世界は早々戦争をしていた。
食糧危機に貧し、ついには全員がすめる土地もなく、科学は発展していない。
あちらこちらに飢え死にした人、領地争いで殺された人の山になっていた。
「ひどい匂い・・・・・・。」
ルルスが鼻に手をやる。
花など咲いていない。
人の血で赤茶に塗り潰された町。
ある村人達が5人に気付くと切り倒しにやってきた。
「てぇやぁぁあぁあ!」
それに立ち向かうのはたった四人。
メイアは必死で自分の身を守りながらルルスを援護していた。
ルルスはあまり体術を知らないため、敵の的に誰よりもされやすかった。
きっても切っても血塗られてゆくばかり。
「ちっ。キリがねぇっ!」
「みんな!手をつないで上に飛ぶよっ!」
メイアの一言で、一瞬にして空へ舞い上がると、山の方へと急いだ。
山の天辺までにはさすがに人はいなかったが、山は崖としかいいようがなく、切り崩された岩はむき出しになり、それはおろか土は流れ、露出しすぎた山は植物の一本も生えてはいなかった。
「ひどい・・・・・・こんなのひどすぎるっ。」
「でも、これがこの世界の現状ってわけなんですよね。」
冷静に答えるルルス。
「旅が・・・・・・進まねぇな。何のために今ここにいるんだかが・・・・・・よくわからなくなってきやがった。」
「母国、いや、あの国を守るためでしょう?古き言い伝えには三人しか出ていませんでしたけど。」
「国にいい思い出がないんだ。大切な何かも・・・・・・だんだん実感が薄れてくる。」
自分の手を眺めるミョンハク。
「つまり、それは・・・・・・過去をなくしたら新しく築けばいいってこと?」
「まぁ、簡単に言えばな。」
「おい。よくわかんねぇんだけどさ、現在を見ろよ。殺されるか生きるかのどっちかだぞ?飢えたこの国のやつらは俺たちを殺そうと今、山を昇っている。」
セタに言われ、下を見ると崖をはい上がってきていた。
「幸せに暮らすために何かを奪い取り、領地を確保しようとする。それが広がって、ついには幸せの欠けらも消えたような状態だな。」
セタは傍観者のようにつぶやき、メイアの方をむいた。
「さて、どうする?また、おまえの力で逃げるか?」
「カードがありそうなところとかあるかな。」
「おい。見ろよ!」
ミョンハクが声を上げる。
「あの山だけ緑が豊富だ!」
「馬鹿が。あそこは毒の森と呼ばれているんだぞ!」
どこからか声が聞こえたがかまわずに飛んでいった。
難関1。
山のふもとに茨。
難関2。
毒蛇。
難関3。
急な上り坂。
難関4。
一番天辺に竜が住んでいる。
赤い竜に白い毒蛇。茨に咲く青いバラ。
そして山自体が妙な気配を漂わせていた。
「茨は俺が切り裂く。だから次は毒蛇を倒せる奴が用意しておかないとあれだけの数相手におれらは全滅するぞ。」
ミョンハクが言った。
「では、私が魔法呪文、切り裂く・・・・・・で蛇さんはよろしいでしょうか?」
ルルスがうなずきながら話す。
「んなことしないで上から行ったら?」
「馬鹿。あれは最強なんだぞ?気付かれないように下からいって不意を突くしかねぇだろ!」
ミョンハクがメイアを怒る。
「じゃあ私は竜?」
「不意をつくるための囮ってとこだな。」
ミョンハクがうなずく。
「一人じゃ危なすぎるだろ。俺もいくよ。」
「え?」
セタのことばにメイアが驚く。
「どうせ俺、何もないしね。二手に分かれて奴の不意をついたほうがいい。」
「まぁ、その通りかもしれないな。」
ミョンハクが渋々うなずいた。
メイアは何も答えなかった。
セタ君ってことばよりずっとやさしくて、調子を狂わされてしまう。
そんなセタ君だからこそルルスちゃんが話し掛けるのかな。
正直、二人が話しているところを見ると・・・・・・妬けてしまう・・・・・・。
なんでだろう。お似合いだなって思うと・・・・・・やっぱり苦しくなる。
あとで・・・・・・ミョンハク君に相談してみよっかな。
一方ルルスは・・・・・・。
セタをとられてしまうのではないかなど考えるなど・・・・・・最低ですっ。
でも、気付いてしまいました・・・・・・セタと話しているととても楽しいです。
ミョンハクとはまた違った気持ち。
きっと、これが好きって気持ち。
でも、嫉妬など外に出してはいけませんね。
仲間割れしてしまったら元も子もないですよね?
馬鹿みたいですね。
セタは私のものではなくて、セタが何をしようと、何を選ぼうと私には関係ないことなのに。
「おいっ。何してんだよ!急がねぇと俺らを殺しにこようとするぞ!」
ミョンハクがぼーっとしていた女子二人にむかって叫んだ。
事実、下からは人が群がり、山をはい上がり、余計な考え事などしている時間はなかったのだ。
「ごめんっ!」
メイアはあわててみんなの手を取り、毒山のふもとへ飛んでいった。
山のまわりには誰もいない。
まず、ミョンハクが茨を切り裂く。
その次にルルスちゃんが入り、風をつかって毒蛇を瞬殺。
メイアが先頭をきり、山を上っている間にたくさんの骸をみた。
「ここまで人が・・・・・・きてたんだね。」
ぱっと上を見上げた瞬間おどろいた。
「ひぁっ。」
竜の足が目の前にあったのだ。
「よし、作戦実行だなっ。」
セタとメイアはお互いを見合わせるとうなずいて走りだした。
竜はゆっくりと頭をもだげると、暴れだした。
そこにルルスが抵抗をできないように、ミョンハクは切り掛かった。
頃合いを見計らい西洋魔法でメイアがチャンスを狙う。
その間にセタは決壊をはっていた。
格闘すること30分。
竜は倒れ、赤いカードに、白い毒蛇は白いカードに。
そして、最初の茨。青いバラとともに青いカードになった。
ドックン。
山が脈打っていた。
ドックン。
「危ない気がする・・・・・・みんなで空中に非難しようっ!」
四人がそらにあがった瞬間、山は崩れはじめた。
約10分間。
山は跡形もなくなり、大地に碧が芽生えはじめた。
他の人たちが山や別の場所に群がる間、四人は山だった場所の中心におりたった。
「俺の・・・・・・カード・・・・・・?」
セタが不思議そうに山の中心部空中に浮いていたカードを手にする。
そんな四人に近づいてきたお婆さんが一人いた。
「ありがとね。」
「いえ、私たちは何もしてませんよ?」
「あら。じゃあ毒山と呼ばれる山がなくなったのはあなた達のおかげではないと?」
ニコニコしながら話し掛けてくるお婆さん。
「そのお話、詳しくきかせていただけますか?」
ルルスが胸に手を当ててきく。
「そうさね。今まで土と水で生きてきたからみんなのようにはならなかったね。みんな飢えては倒れ、餓えては倒れ、ついにあの山ができてから植物も育たなくなった。その山に妙な生きものは住み着くし、茨がはい上がって壁になっていたし、ついには弱肉強食。年寄りや子供、女にやさしくない生きていくための戦争が始まったのさ。死者の肉を食べ、骨をしゃぶり、土に顔がつきそうな暮らしが始まり、裕福な場所は襲われ、蹴落とされ、すべてはあの山がおかしくなりだしてからだったんだ。」
「災い・・・・・・ですか。」
三人はよくわからなくなっていた。
なぜ災いと呼んだくせに英雄とされ、祭り上げられ、困難な道を進まされなければならないのか。
それに、親の記憶が戻らない二人にはなおさらわからなかった。
濁った視線が突き刺さるばかりで受け入れてくれる相手なんかいなかった。
なのに、世界と命がかかっている。
・・・・・・そして、自分の命さえ。
作「今回のゲストさんは皆さんお待ちかね(まってない?)セタ君です!」
セタ(以下略:セ)「・・・・・・。」
作「もう、やだなぁ無愛想すぎるよ。」
セ「るせ。」
作「本当はセタって名前じゃないんだもんね?」
セ「何でそれを?」
作「知ってますよ。知ってますとも。作者だもん。」
セ「なんか聞き飽きた台詞だな。」
作「あれ、そんな言ってたっけ?」
セ「俺は他の奴らみたいに簡単には行かないぞ。」
作「ただ単に疑り深いだけでしょうが。」
セ「当たり前だ。まず始めは何事も疑え。だ。」
作「ふーん?あの三人は信用してんの?」
セ「あぁ、ほとんど馬鹿だと気づいた。そんな奴らに構えてみろ。こっちが振り回されて疲れる。」
作「ルルスも?」
セ「あいつ、いつも寂しそうな顔するよな。作者だろ、何とかしろよ。」
作「あら、あなたが気づいてないだけでメイアも寂しがりやなのよ?」
セ「アイツにはあれがいんだろ。」
作「ミョンハク?」
セ「そう。」
作「あら、だったらルルスにはあなたがいるじゃない。」
セ「は?俺?」
作「まぁメイアにもあなたのときがあるけどね。」
セ「何が言いたい?」
作「ん?その先(未来)をどれだけ信じていられるか、そして、現在をどれだけ信じられるかそこが重要ね。はい、今日はここまでまた来てね。」
セ「は?」
終了いたしました。ここまで読んでいただいた方に感謝です。