表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶  作者: 半月
42/120

42・悲しき魔女の歴史 (番外編)

当たり前のように流れる毎日。


今日も西洋が東洋こっちに喧嘩売って。


何が楽しくて優劣をあーゆーふーにしてつけたがるのかかしらね。


西洋は短期だと聞くし、今や亀裂が入ってる。


分かるの。そのうちに戦争になるわ。


同じ国同士で争わなきゃいけないなんて悲しいわね。


それでも、どうしようもないか。


これが運命の定めというならば・・・・・・。


本でも返しに行きましょうかね?


あぁ、外はのどかだわ・・・・・・人間とは大違い。


木がさわさわ言ってて花たちは歌を歌いだす。


日差しがあたしの頬をさして。


心地よくて、あたしも歌いだしたくなる・・・・・・。


歌ってしまおうかしら・・・・・・。


〜♪゜・。・


ガサッ。


そう・・・・・・これが悲しき魔女となり、伝説のように伝えられている、チィ・モルキリアと西洋の出会いである。

ちなみに、チィの名しか出てこないのは書物にチィの名しか記されていないからである。

そして今、謎の扉が開かれる。


「あ・・・・・・。」

男の人が・・・・・・。

「いや失礼。いつもここをお気に入りの場所としていましてね。まるで隠れるようでたのしい。」

「ごめんなさい・・・・・・場所をとってしまったようで・・・・・・。」

「いえ。あなたさえよろしければお話でもしましょう。」

「え、えぇ。そうね。」

「綺麗なお声をお持ちで。」

「お世辞でも嬉しいです。だけど、あたしなんかより植物たちのほうがよっぽどきれいな音を奏でて歌いますよ。」

「植物が・・・・・・ですか。」

「ええ。葉も樹木も、花も、日差しさえ歌います。」

「聞いてみたいなぁ。」

「簡単なことですわ。耳を澄ませば聞こえてきますもの。」

肩をすくませるチィ

「へぇ・・・・・・。」

しばらく二人は目を閉じ、自然に身を任せた。

長い時間を経て沈黙を破ったのは男性だった。

「あなたの歌があったほうが自然も歌うようだ。いい音は奏でているけど、僕にはあなたのためリズムを取っているように聞こえるよ。」

「お世辞がお上手ですね。」

「僕はありのままを言っただけさ。えーっと、名前を聞いてもいいかな?僕はトルシオ。」

「あたしは・・・・・・チィ。」

「そう。じゃぁチィ。もう一度歌ってくれないかな?今度は自然のためにだけじゃなく僕と自然のために。」

「・・・・・・わかりましたわ・・・・・・あんまり自信ありませんけど。」

〜♪゜・゜。♪・。゜……

それがトルシオとチィとのはじめての出会いであり、16歳のことだった。

二人は別れた後、不思議な出会いだとお互いを振り返る。

チィは不思議な出会いをそのまま終わらせたくはなかった。

それはもちろんトルシオも同じだったのだが。

チィは東洋の中の住人だと思い、探してみたが見当たらない。

でも・・・・・・まさかあんなにおっとっりしている方が、東洋をバカにする短気の西洋のはずないわよね・・・・・・。

その後も何度も外を部屋の中から眺めた。

だんだんと西洋と東洋の仲が本格的に悪くなり始めると、チィは外出さえ許されなくなった。

外出が許されなくなって数ヶ月。

チィは窓越しにトルシオの姿を見た。

が、それは見知らぬ女性と歩いていた。

何なのだろうこの思いは・・・・・・。

チィには嫉妬というものが良くわからなかった。

ただひたすらに嫌だと思った。

それからしばらく、またトルシオの姿が見えなくなった。

そのたびに思いは強まった。

笑わずに自分の言ったことに耳を済ませて、聞いてくれたトルシオ。

どうしても自分には振り向いてくれないと、本を読みあさった。

そのとき同時に呪いの闇魔術も沢山目にした。

幾日も幾日も本を読みあさってそればかりを繰り返していた。

一方トルシオはお気に入りの場所に何度も足を運んでいた。

だが、そこは西洋と東洋の境い目の地。

いい加減行くのをやめろと両親に言われていた。

僕はどうかしているのかもしれない。

たった一回あっただけのチィを気にして何度もここに足を運ぶなんて。

だいたいあのときだってたまたまだったじゃないか。

おかしいよ・・・・・・。

チィ、君は西洋側だよね?

じゃなかったらこっちにこないよね?

よく分からない・・・・・・分からないんだ・・・・・・もう。

そんなとき、チィは必死で探していた。

トルシオの心を捕まえるための方法を。

それが、恋だと気づいたばっかりだった。

そんなときだった。

ついに長同士の争いあいが始まったのだ。

始めは無視。

次は口で言い争い。

その次が西洋VS東洋の魔力争い。

でももう、その時点で争い合いではなかった。

その時点で戦争だったのだ。

チィはやっとの思いでその魔法を見つけ出した。

―――――

“一般公開禁止”

この魔法は時に命を落とすことがある。

要注意するべき上級魔法である。

失敗すればその場で自分の命はなくなり、成功すればそれなりの対価を支払うことになる。

対価は寿命。

最上級魔法である巨大な神々は寿命の変わりに魔力だけでいいものもあるが、この魔法は確実に寿命をすっていく。

“悪魔との契約”である。

時間は特に設定はないが、魔法をかける本人に見られてはならない。

見られると、その場で魔法は使えなくなり、再び魔法をかけることはできなくなる。

ちなみに、一度悪魔との契約をすませた者は二度と悪魔の契約に関する魔法は使えなくなる。


“ただし、例外なのは相手の命と引き換えに死神との契約は可能”


・・・・・・チィは魔法を覚えるために何度も読み返した。

ただ、一番最後に書かれた小さな注意事項だけ忘れて。


“注意


お互いに思いあっている相手にこの魔法をかける場合、魔法はきちんと成立できずに相手が死のふちをさまようか、一生消えない傷を背負うか、最悪の場合死にいたる”


チィはどうしても魔法をかけたくて、何度か脱走を図るが、何度も止められ、それでも脱走を図り、成功させ、出会った場所に向かった。


トルシオはそこにいた。

だが、知らない女性と一緒だった。

もめている様子だが、チィには何を言っているか良く聞こえない。


―トルシオたちの会話―

「トルシオ、いい加減にして!ここが限りなく東洋に近いのは知ってるでしょ!?」

「だからなんだよ?僕にはよくわからないよ。何でそんなに東洋を嫌うんだ?彼ら、あるいは彼女らが何をした?」

「そう・・・・・・じゃぁ悪いのは全て西洋のせいだといいたいのね?」

「違う!だからどうしてそう白黒つけたがるんだよ?向こうにだっていい奴はいるかもしれないじゃないか。お互いをたいして理解してないのに決め付けるのはおかしいよ!」

「あぁ、トルシオ、お願いだからここには来ないと言ってよ!」

「別にいいじゃないか。ここは僕の大切な思い出の場所なんだから!どうして君もそう僕に絡むんだい!?」

「何で分からないのよ!?あなたが好きだから、心配だからに決まってるでしょう!?」

「へぇ・・・・・・そりゃ初耳だ。じゃあ少しは僕の気持ちも考えて欲しいね。」

「どうしてそうひねくれるのよ!」

その頃、チィが耳にしたのは「あなたが好きだから・・・・・・」だけだった。

チィはとられたくないと強く願い、呪文を唱え始めた。

魔法は無事に終了したらしく、家に帰るとそのまま倒れた。

その後、トルシオがどうなったのかは知らない。


―魔法をかけた直後のトルシオたち―

「ねぇ、お願いだからもう帰りましょう?」

「分かったよ。言うとおりにすればいいんだろ?」

「トルシオ・・・・・・。」

「言っておくけど、これからもここにはくるからね。」

「も・・・・・・。」

その瞬間目にしたのはトルシオが柔らかな光に包まれている姿だった。

それが睡眠薬かのようにトルシオは目をつぶると、光は消え倒れた。

「え?ちょ・・・・・・トルシオ?トルシオ!!」

そのままトルシオは高熱を出した。

「あぁ、どうしよう。あんな東洋の近くまで行ったからだわ。誰かっ!誰かトルシオが!!」

その頃、チィは深い眠りの中にいた。

そのままトルシオは長い間高熱を出し、今日直らなければ死に至るという結果を出されていた。

そして長もトルシオの様子を見にきたが、手ほどきの仕様がなかった。

ただ「おぉ、何故このような一般公開禁止の悪魔との契約魔法がかけられているのだろう」と驚くことしかできなかったという。

ついに長い間、疑問は解けないままだった。

チィ、君はやっぱり東洋の人なのかい?

「・・・・・・ち・・・・・・。」

そのかすかな声に両親がすがりつくように手をとった。

「なんだい?何がいたいの?どこかいたいの?」

「あぁ、やっぱり無理にでも止めるんだったよ。事が起こってからではもう遅い。」

違う。

僕は幸せだった。

あそこにいるだけでも良かったんだ。

チィがくるまでは・・・・・・。

わがまま言うと、今チィに会えないのが少し残念だ。

だけどごめんね。父さん、母さん。

僕そんな辛くないけど、そんなに悲しませて・・・・・・。

チィ、君にもっと色々聞いておけば良かった。

どうしてあんなに木々がざわめくのかと。

どうしてあんなに日差しが優しくなるのかと。

君は誰だったんだい?

妖精ではないだろう?

「・・・・・・チィ・・・・・・。」

そうしてトルシオは息を引きとった。

「トルシオ・・・・・・?トルシオ!トルシオ!!」

「チィって誰だい!?そうか、東洋のやつだな!?」

その事件が起きた数日間で東洋の長の血筋を引く、長の息子暗殺事件がおこり、自体はますます深刻化していった。

トルシオの両親は徹底的に東洋の人間を調べ上げ、ついにチィにたどり着いた。

チィはトルシオの両親に無理やり連れ去られ、西洋の長の前に引きずりだされた。

「な、なんなんですか?」

「なにじゃないよ!トルシオを殺したのはあんただろうが!」

「な・・・・・・何ですって!?私はトルシオを殺してなんかいません!第一彼は西洋ではないはずです!」

「とぼけんじゃないよ!!トルシオれっきとした西洋の・・・・・・あたしたちの子だよ!!!」

母親のすごい剣幕にも負けじとチィは声を張り上げた。

「本当に知らないったら!!」

「長、どう思います?まだすっとぼける気ですよこの東洋人が!」

チィの髪の毛をわしづかみにしてチィの頭を振り回す。

「やめて!痛い!痛いわ!!」

「いたいじゃないよ!トルシオは、トルシオは死んじまったんだよ!!」

「嘘よ!トルシオは死んでないわ!死んでなんかないわ!」

「なら返せ!返して!今すぐ返してええぇぇぇぇ!!!」

チィの髪の毛を離し、泣き崩れた母を見て、チィは何がなんだか分からなくなった。

「・・・・・・トルシオが・・・・・・死んだ・・・・・・?」

長はチィをみてぎょっとした。

何の魔法をかけたかは分からないが、死に貶めたかったわけではないことは明白な顔をしていたからである。

「教えてください。誰でもいいわ。教えて!トルシオは・・・・・・トルシオは死んだの?」

あたりは静まり返る。

母親の泣き声だけを残して。

仕方なく長は静かにうなずいた。

その瞬間チィの目にはその目には絶えられないほどの涙を溜め、その後小さく「嘘よ・・・・・・。」そうつぶやいて大粒の涙を流した。

「うそよ!嘘よ!トルシオは死んでないわ・・・・・・死んでないったら!あたし、あたしまだ何も。何も言ってないのに!そんなのってないわ!嫌よ!」

取り乱して叫びまくるチィをみてチィのそばにきた人がいた。

それはチィが魔法をかけたあの日、トルシオと一緒にいた女性ひとだった。

「嘘よ・・・・・・嘘よ!」

そんなチィの頬を思いっきりひっぱたく。

バシィン!!

物凄い音とともにチィは床に倒れこみ、たたかれた頬を押さえていた。

「嘘なら返してよ!私のトルシオを返して!!」

その後、トルシオの両親は長にチィの死刑を申込み、「本来なら自分たちの手で骨のかけらさえ、いいえ細胞まで存在しないくらい抹消してやりたいところだけど。」と言い残した。

だが、「東洋というだけで殺しはできない。十分な証拠もなければ見たのは光だけだという。それに魔法の種類が分からないのでは話しにならない。だから牢屋に閉じ込めて話を聞きだすことにする。」

そうしてチィのろ牢獄行きと拷問の日々は続いた。

しばらく何も食べさせてもらえない日々が続き、チィは一日に何度も何度も鞭打ちにあった。

それでもチィは何も知らなかったから何も言いようがなかった。

太い木の棒でたたかれたこともあった。

死のふちに何度も断たされた。

チィの体にはもう沢山の傷が会った。

そんなチィの姿を時には野ざらしにされて笑いものともなった。

いっそ殺してくれと何度も願った。

もう、その頃には拷問に抵抗する力さえなかった。

そしてある日、拷問中、強く頭をたたかれ、チィはおかしくなった。

いや、精神的にはもうすでに異常だったのだが。

チィは昔の記憶をまざまざと思い出し、禁断の闇魔術まで思い出していた。

トルシオの心をつかむために沢山読みあさった本。

その魔法を自己流に組み合わせては1人で牢屋の中、くすくすと笑って闇魔術の言葉をぶつぶつとつぶやいた。

当時の長、ハイルアル長老。長老といってもそんなに年はとってはいなかった。

チィが牢獄でたまたまその名を聞いたのは、番人たちの会話の中でだった。

「ハイルアル長、甘いよな。東洋の奴らなんて皆殺しにしちまえばいいのに。」

「しかたねぇだろ。俺たちはただの番人なんだから長の仰せのままに、で人形やるしかねぇんだからよ。」

遠くで聞こえたその声にチィはニタリと笑ってその名を繰り返した。

「ハイルアル・・・・・・ハイルアル。」

ぶつぶつと闇魔法がつぶやかれ、その部屋はチィが撲殺されるんじゃないかと思うほどに殴られて、血が沢山飛び散っていた。

その血でチィの牢屋一杯に闇呪文を書き連ねるとまた呪文をつぶやきだし、そのたびに笑っていた。

[汝がわたしを呼びしか。]

「ふふ、ハイルアル、ハイルアル長。」

[殺すのか?]

「ふふ、ふふふ。」

[契りは成立なった。その魂、闇の前に消えうせたり。]

「あぁ。死んじゃった。長、死んじゃった。あは。あははっ。フフ。楽しいなぁ。」

次の日、長は無残なすがたで発見され、チィの牢獄は闇魔術であふれかえり、そこには“ハイルアル死す”と記されていたことから闇の魔女となずけられ、後に死刑に処された。

西洋に嫌われ話しに残り、東洋には“悲しき魔女事件”として名を馳せることになった。

記録は今も、お互いの歴史を物語り、一般教養として知られているが、真実は語られないままである。

一般教養の最後の行にはにはこう記されている。

“魔女は最後まで知らないと言い切り、どのようにしてあのような事件が起こったのかはなぞのままである。”

っと・・・・・・。

どうだったでしょうか?

はじめっから書き始めたらたったこれだけを書くだけでも三日かかってしまいました・・・・・・。

いやはや・・・・・・まさかこんなにかかってしまうとは思っていませんでした。

私って案外一日中小説を書いてるのかもしれませね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ