41・真実
「おわぁっ!」
玄関を開けた瞬間にある少女が立っていた。
「お久しぶりだね?」
にこっと笑って首を傾けるショートストレートの髪の毛の女の子。
「え?ナナ・・・・・・?ナナ?生きてたんだ!生きてたんだね!」
「うん。こっちの世界ではね?」
「何いってるの。今、生きてるじゃないか。ここは現実・・・・・・でしょう?」
ナナは静かに首を横に振ってから哀しげに笑った。
「逃げて?」
「何、言ってるんだよ。」
ルミアから笑顔が消える。
ゆらっ。
ミョンハクが後ろを振り向いた。
そこにはルミアの母親・・・・・・ではなく、影が立っていた。
「逃げろ!ルミア!ここは別世界であり別時間だ!早くしないと俺たちが引きずり込まれちまう!」
ミョンハクが叫ぶと今まであった明るい世界は消えた。
「逃げて。ルミア。」
ナナはその場から動こうとしない。
「嫌だ。嫌だ!ナナを置いて逃げるなんてできない!」
「何してるんだ!早くしろ!」
ミョンハクが叫ぶ。
すると、ルミアはナナの腕をつかみ、走りだした。
「ちょっ!ルミアっ!?」
「ナナを置いて逃げるなんてそんな卑怯なことできない!それに・・・・・・やっと会えたんだ。やっと。」
「放して。離してよルミア。」
「やだ。僕はもう、あの頃とは違うんだ。ナナより力だってあるんだ!」
「まってよ!あたし、ルミア達とは違うんだよ!?現実に戻っても、おそらくあたしの肉体はないんだよ!?だから、あたしをつれて逃げるなんて不利なんだよ。」
「知らない。そんなの知らない!僕はナナにあいたかったんだ。ナナは・・・・・・僕に、会いたくなかったの?」
「あいた・・・・・・。」
そこでナナは黙り込んでしまった。
正直、複雑だったのだ。
あいたかったよ。ルミア。
あたしだってあいたかった。
ルミアを忘れた日なんてなかったよ。
でも、この世界ではあいたくなかったよ。
こんなことになるならあいたくなかったよ。
あたしは別世界と呼ばれるこっち側の世界の住人。
知ってる?死の生物は本当は悲しさからくるの。
だから仲間がほしくて。
それでも足りなくて。
そうやって悲しみが蓄積されるたびにね?
死の生物として体をむしばまれていくんだよ。
こうやって追い掛けてくる影もね?悲しみ以外の感情を忘れて魂ごと汚れていってしまった人たちなんだよ?
あたしだってもう体の半分は死の生物なんだよ。
だから・・・・・・一緒にはいけないよっ!
振り払おうとしたルミアの手は振りほどけなかった。
「ルミアっ!いい加減にしなさいっ!手を離すの!こっち側の住人にはあたしが説得するから。ね?」
にこっと笑った。
「説得して通じる相手じゃない!それくらいわかってるでしょ!僕達は情報収集したなかなんだから!」
でも、ナナはほほえみ続けた。
懇親の笑顔だった。
その笑顔は・・・・・・ナナとルミアの永遠の別れを意味していた。
ナナはただ、微笑んだ。
「・・・・・・ナ・・・・・・ナ。わかった、わかったよ。だから・・・・・・また会えるよね?」
するりと手が離される。
「うん・・・・・・きっと。」
きっとあなたの心の中で。
そしてあたしの心の中で会えるよ。
だから、今手を離したことを後悔しないで。
悲しみにあなたの心を曇らせないで・・・・・・。
「あたしは、ルミアを守るために戦うよ?だからルミアもあたしを離したことを誇りに思って?」
ナナはそれだけ言うと走り出した。
・・・・・・出口とは間逆の方向に。
「みんな!そっちじゃなくてもっと右側に走って!出口は時間によって変わってしまうから!!」
走りながらナナは指差した。
そして五人は出口に向かって走り出した。
でも、ルミアは何度も何度も後ろを振り返った。
「ナナッ!ナナッ!!」
「おいっ!何してる!早く来い!」
たちまちナナは黒い影に飲み込まれてしまった。
彼女は分かっていた。
自分の存在がなくなること。
そしてそれは時間稼ぎ程度にしかならないこと。
「ナナァァァァアアアア!!!」
冷静さを失ったルミアは叫ぶ。
無理やりルミアをセタが押さえ込み、出口へむかって走ったが、いつまでたっても出口が見えない・・・・・・。
「ナナ・・・・・・ナナ・・・・・・。」
影を切り倒していく音、ブーメランを投げる音。
嘆く声、狂ったような闇。
・・・・・・悲しみの上の勇者。
「どうなってるんだ!出口が見当たらない!!」
「ナナがいなければ僕が生きる意味はない。ナナがいると信じてきたから僕は今まで生きてきたんだ・・・・・・なのに、ナナ・・・・・・なんで自ら自殺行為のようなことしたんだよ・・・・・・。」
「だまれ!!」
ミョンハクが叫ぶ。そして影に追い詰められ、逃げ場がなくなった。
「ナナ・・・・・・ナナ・・・・・・。」
「ミア・・・・・・ルミア・・・・・・。」
どこからか声が聞こえる。
耐え切れなくなったメイアは涙を流した。
声を出さずに・・・・・・。
「かわいそうだね。みんな大切なもの失ってて。もう元に戻れない悲しみと、お互いがお互いを求める声が・・・・・・苦しいよ・・・・・・。」
そのとき、一瞬にして闇が光に包まれていた。
メイアが自分でも気づかないうちに闇と光の魔法を使っていた。
すると影は人の形になり、今まで暗かった町、世界は光に包まれた。
ささやかに聞こえる“ありがとう”という声に再び涙を流すメイア。
「そっか・・・・・・怖がられたって・・・・・・良かったんだよね・・・・・・受け入れて・・・・・・ほしかったんだよね・・・・・・?」
すべての影は人間へと変わり、それはすべて天に昇っていった。
闇の住人の怒り狂う声、悲痛や苦しみが入り混じった声をナナが影に飲み込まれたぐらいからメイアは聞き始めていた。
町に戻ってきた五人は道路に何故か座り込んでいた。
そこにあったのはお札3枚。
「人々の悲しみにこの力が働いたというのか?」
セタが拾い上げながらつぶやく。
「消すのではなく、受け入れて・・・・・・それを光に変える力・・・・・・ですか。」
ルルスはメイアを見た。
「おまえ、ある意味じゃおっそろしいな。」
ミョンハクもメイアを見ながらつぶやく。
「しかも、カードが集まるたびに魔力も強くなっています。あれだけの魔法を使っても顔色が悪くならないのはそのせいでしょうか。」
「気づかなかった。俺もあんま疲れてねぇもんな。」
ミョンハクが自分の体を見渡す。
「ナナ・・・・・・今、怒った・・・・・・。」
ルミアが上の空でつぶやいた。
その後、ウイルス回収はなくなり、ユガミリアは歪み削除ではなく、市内パトロール専用機となった。
そしてルミアはすこしするとすぐ復活し、簡単に別れを告げると、四人は新たな世界へ旅立った。
作「悲しいお話でしたが、?コーナーはちゃんとやりますよ☆今回のゲストさんは前回も紹介しました。ナナさんです!」
ナナ(以下略:ナ)「初めましてご紹介に預かりましたナノカ・イツナです。」
作「ナナちゃんとルミ君は両思いってやつなんですよね〜・・・・・・。」
ガタガタガタガタ!!
作「なんだ!?なんだ!?」
バンッ!!
「ナナ!!」
ナ「ルミア!」
作「ちょっとぉ・・・・・・不法侵入じゃんよ?」
ル「ナナ!よかった!」
作「よくなぁい!」
ル「でも、ナナ、ナナはあの時消えたんじゃなかったの?」
ナ「消えたって・・・・・・成仏したってところ?そうだよ。今は何不自由なくやってる。」
ル「じゃぁどうしてココに?」
作「もぉやめろぉ!」
ナ「落ち着いて。ふたりとも落ち着いて?とりあえずあたしは仮でここにいる。ある一定の時間がきたらまた向こうに帰らなきゃならない。理解できた?」
ル「また・・・・・・僕の前からいなくなるの?」
ナ「あのね?強く生きてルミア。あたしは本来ここにいないんだよ?あの時も言ったよね?あたしの手を離したことを誇りに思ってほしい。あたしはいつでもルミアの近くにいるからさ。ね?力強く生きて。」
ル「相変わらずだね・・・・・・ナナ・・・・・・。」
作「わたくしの存在無視なさらないでくださらない?」
ナ「あ、もう時間だ・・・・・・行かなきゃ。」
作「ちょ、まだ話し、聞いてませんけど!?だいたい、いくってどこへ!?」
ル「ナナの体が・・・・・・透けてきてる・・・・・・!」
ナ「・・・・・・またね・・・・・・。」
作「こらぁああ!」
ゲストさんがいなくなってしまったため、強制終了させていただきます。
ありがとうございました。
ちなみに次回作は悲しき魔女事件。チィさんが主人公ですよ。お間違いなく♪