39・同じ世界での異世界
四人が出たときはもう外は真っ暗だったのだ。
「あーあ。暗くなっちゃった。今何時?」
メイアが腕に丸を書くとそこに時計らしき光が浮かび上がり時刻を知らせる。
「あら、もー九時。どっか寝場所さがそっか。」
するとメイアはただじっと前を見る。
ただそれだけなのに目の前に画面が繰り広げられ、最終的に検索結果はありませんでしたと表示される。
メイアが肩を落とすのと同時にその画面はすべて消えた。
「あーあ。なしかよぅ。野宿できる場所でもさがそっか。」
「にしてもこれすごいよな。思っただけでこの国のこととか調べられるんだぜ?」
ミョンハクが検索しながら話す。
「なんかのってる?」
メイアが覗き込んだ。
「詳しい情報はあまり。」
ガサッ。
『誰!?』
四人が一斉に振り向いた先は・・・・・・。
「まだこの町にいたんだ・・・・・・。」
「あ。さっきの・・・・・・。」
ルミアに出会った四人。
お互いの面識ができたところで四人は歪みについて教えてもらい、そこから生まれるウイルスを結晶かさせたものがお金になると知った。
さっそくミョンハクが勝手に切り払ったのがまた不思議なことに半透明の石。
しかも上級ランクだったらしいのだが、そんなのお構いなしにミョンハクはまだ剣を振り回していた。
「信じられない・・・・・・アイテムなしに私物でいきなり上級ランクをなくすなんて。しかも、こんな石見たことない。大体は外れだっていうのに・・・・・・あなた達は何者なんですか?」
ルミアが振り向いたときにメイアは石の種類について検索を、ルルスは歴史や歪みについての検索を行なっていて残っていたのはセタだけだった。
「あ、あぁ。ただの旅人。」
「でも。」
「その石は乗ってないなぁ。検索不可能だよ。」
何か言い掛けたルミアをメイアがさえぎる。
「おかしいですね。なぜ歴史や石を関連づけて調べると事故ばかり出るのでしょう?」
「・・・・・・昔、事故があったんですよ。歪みによる事故が。ウイルスをため続けたある人はほんの出来心で自分がもっていたすべてのウイルスを歪みとしてかえした。そこにあらわれたのは一つの別世界。分かるでしょう?こっちにも歪みが深くなれば危険な死の生物がやってくる。つまり向こうも生命体が存在する別世界だったんだ。その生命体は開かれたと同時に国中の子供たちを巻き込もうとした。何人もの大人によって無理矢理削除され、なんとか命はとりとめたものの・・・・・・数人の子供たちの命は戻ってはこなかった。その後も何度か勝手に別世界は開き、子供を数人つれていった。歪みが生じたことによる事故死もあったんだ。でも、実証は難しい。だって歪みは消えてしまうから。僕は・・・・・・悔しい。何で僕の大事なものは歪みに消えてしまったんだろうって。みんなの大切なものは帰ってはこないんだろうって。」
こぶしをかたく握り締めるルミア。
「ずっと・・・・・・そばにいるはずだったんだ。」
下を向いてしまう。
「もしかしてその事件はこれですか?」
映し出された画面には正体不明。謎の事故死?と見出しが踊っていた。
また、記憶を失った子供たちの体験をつづったものも。
「あれ!?なんで見れるんですか!?その情報は情報局保管課の保管書物で勝手に情報取得、閲覧はできないようにパスワードまでついてるはずなのに!」
「え?そうなんですか?」
「もしかして・・・・・・ハッキングのプロですか?」
「はい?」
「すごいんですよ。ハッキングのプロは・・・・・・情報は何でも解読しちゃうし。ウイルスは集めちゃうし。ウイルス対策が始まったのはここ最近です。年齢制限もでき、表上は子供の安全のため危険なところは近付けないようにとしていますが。おそらく真のねらいはウイルスを集めださないようにというのが狙いだと思います。」
「なのにあなたはウイルスを集めようとしているんですね?」
「・・・・・・はい。」
「何で・・・・・・?ルミ君まで死んじゃうかもしれないのに。」
「僕が死んでもかまわないんです。別世界と死の生物の実証ができれば・・・・・・あの事件を暗やみのなかに放置しておいてほしくない。あんな、あんな本人の不注意みたいなっ!ちがうのに。ななは違うのに!」
「ナノカ・イツナさんですね?」
ルルスは事件の記事を横目に見た。
「ナナは・・・・・・幼なじみだったんです。」
えーっと今回の世界が終わったら前回紹介した『悲しき魔女』番外編を書こうと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。