38・四人
新しく仲間が増えるとまた、それまでの関係がギクシャクし始めるとはまさしくこの四人のことだ。
ズザッ。
ついた先はまた最先端都市であったが、どこか庶民的。
つまり、平民が平民の生活のための平和維持による科学進歩が行なわれた町のはずなのだ。
そのためか、空間に歪みができるらしく、それを処理する機械があっちこっちに飛び回っている。
実際異次元や異空間から飛んできた四人の上は、空間の歪みができていた。
四人に近づいてくる何か。
それは人。
とたんにその人はじろじろと四人を見渡した。
「変だなぁ。端末をもってないのか、捨てた?それとも旅人だからわからないとか?」
少年は首を傾げる。
「旅人です。」
ルルスが答えるが少年の耳には入らず。
「怪しい人間かもしれない。」
少年は自分の手をいじくると空中に画像が映し出され、大人の男性が浮かび上がった。
「どうした?」
「怪しい人たち四人発見です。」
「あ、怪しくなんかないです!」
「でもっ。」
「はははっ。またか。おまえは早とちりが多いからな。今回も早とちりだろ。じゃっ。」
ぶちっと画像が消える。
「あ、ちょっ!早とちりだろってそんなぁっ・・・・・・。」
嘆くように肩を落とした少年。
「ねぇ、今どうやって会話したの?」
好奇心旺盛なメイアは目を輝かせる。
「ホントに知らないんですか?端末は?」
「なにそれ。」
「生まれたとき埋め込まれるマイクロチップのことですよ。」
「まいくろちっぷ?」
「えぇ、マイクロチップは外部情報を取得、閲覧可能でこちら側も情報提供が可能です。」
空中にいきなり四角を書き出した少年。
そこに画面があらわれ、少年は何もしないでじっとたっていた。
すると次々と新しい画面が映し出され、検索されていく。
消えたり出たりを繰り返す。
「と、まあ。体内の一部化されるのでまったくもって外部に負担はないわけです。」
「こら!ルミア。何をしているの?早く帰ってらっしゃい。じき、ご飯よ。」
母親と思われる女性が少年を呼んだ。
「はーい。」
「あら、はじめてみる顔ね。」
じろじろと少年のように四人を見渡す母親。
「あら・・・・・・あなた達は情報未公開にしているの?それにしても何才かも出ないなんて。」
「違うよ母さん。この人たちには端末がないんだ。」
「まっ!なに知ったようなこといってるの!」
「なにってぇ・・・・・・。」
まったく会話についていけない四人をよそに親子は話を繰り広げていく。
「わかったわ!お姉ちゃんね!?まったく。余計なことを教えて!」
「余計なんかじゃないよ。」
「余計です!」
「はぃ・・・・・・。」
「えっと。すみません。よければこの国のことを教えていただきたいんですが・・・・・・。」
「外人よね。外人はあまり好かないけど・・・・・・まぁいいでしょう。ここは科学最先端都市。未来には宇宙に住みかを立てる予定。そしてこの星は滅びという危機に貧している。科学は市民のために発達し、この国は平和維持を保つためあまり外国との関わりはない。あったとしても科学発展についての情報交換だけね。さ、これでいいでしょう?」
「あの。」
「まだ何か?」
すこしばかりすごむ。
「詳しくこの国の情報を教えてもらえるところってありますか?」
「じゃあそこの坂のしたの警察で聞くのね。」
近くにある坂の方を指差す。
「ケイサツ?ですか。ありがとうございました。」
少なくとも三人はケイサツを知らなかった。
セタは知っているかは謎だったが。
四人はさっそく警察を尋ねる。
しばらく坂の下で迷ったが、まわりは家だったので家ではなさそうなところに飛び込んだ。
「ここが・・・・・・警察ですよねっ!?」
メイアがそこにいた男性に尋ねる。
「あ、はい。見かけない顔だなぁ。」
どこの人も四人を見て口々に同じことを言うが、四人は特に気にしなかった。
「あの、この町や文化について教えてください!」
「端末非公開ですね?」
「はい?」
「端末非公開の方はここに名前を書いてください。皆さん一人一人の名前ですよ。」
「はぁ。」
みんな名前を書く。
「あれ。いないな。この町の出身ではありませんよね?」
「違いますけど・・・・・・。」
「では、端末取り付けから。端末はそちらで取り付けられますのでどうぞあちらへ。」
話は勝手に進み、四人に端末が埋め込まれた。
といっても引っ掻いたような傷にマイクロチップを落とし、自然治癒と一緒に異物として出されないように多少細工されたテープを貼られただけだった。
痛くもなければ、何も感じない。
チップの使い方は送金制度や端末登録個人情報を非公開にしたりなど、いろいろと教えてもらった。
つまり、四人がそこを出るまでに長い時間がたっていた。
はい、今回は前回の予告通り、ルルス=東洋の歴史を書かせていただきたいと思います。
はじめは亀裂が生まれても多少は西洋側のことは気にしてこなかったが、だんだんと差別がひどくなり、さすがに我慢ならなくなった長は西洋をだんだんと無視し始めるようになった。
それだけならばまだ良かったのだろうが、『魔女事件』が起こってしまう。
魔女は普通の一般人。チィ・モルキリア。
チィは西洋側の相手と少し話しただけだった。
チィは彼が西洋の人間と知らず、彼もチィが東洋側だということを知らずにいた。
そんなチィは日に日に思いを募らせていく。
そしてチィは彼が西洋側の人間だと知った。
それでも自分に気づいてほしくて、自分を見てほしくて、ある日、チィは禁断の魔法を使った。
自分を振り向かせたい一身で・・・・・・。
でも、その魔法には時には後遺症をもたらすことを知らなかった。
後に彼は高熱を出し、チィの名を呼んだ。
それを聞いた両親はチィが東洋側だと知って、彼女を死刑にしようとした。
だが、チィは知らなかった、分からなかった。
拷問されている間にチィは気が狂い、長の名を知ったチィは長をかつてない闇の魔法で呪い殺してしまった。
そうして悲しき魔女は死刑となった。
西洋側が侵犯した過ちは、
・東洋側の長の息子の寝首を書いたこと。
・長同士がかつてないといわれる巨獣で争いあったこと。
そして東洋が犯した過ちは、
・使ってはいけない魔法を使ったこと、長を殺してしまったこと。
・巨獣で戦いあったことである。
悲しき魔女は東洋の言い伝えでもあり、西洋はそれをいやみったらしく覚えている人が多い。
・・・・・・実はですね・・・・・・チィのお話しも書きたいんです。旅とかではなく、四人は関係なしに。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。