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記憶  作者: 半月
34/120

34・案内人

三人は異世界に飛ばされたことも気付かずに寝ていた。

「あのぉ・・・・・・。」

女性の声がしてはっと目が覚めた三人。

「やばっ。ここどこ!?」

「さぁ?」

「砂漠・・・・・・?」

「旅のお方ですか?」

背の小さめな布をかぶった女性・・・・・・というか。女の子?がいった。

「あなたは?」

メイアが尋ねると女の子は数回瞬きをしてから言った。

「旅先にガイドをつけないなんて、すごいですね。それにガイド自体知らないなんて・・・・・・。あ、申し遅れましたね。私、コトイオマ・モカといいます。」

にこりとモカが笑った。

「モカ・・・・・・さん?私はメイア。よければここがどこだか教えてほしいんだけど・・・・・・。」

メイアの反応にルルスとミョンハクは顔を見合わせる。

「メイアちゃんが!」

「あの状況把握ということを知らないメイアが!」

「えぇー?ちょっとぉ。二人ともひどくなぁい?」

「あ、ここはですね。国境と国境を結ぶ“止めの領域”という砂漠なんですよ。」

「へぇっ。変わった名前ですね。止めの領域というのですか。」

「あれ。クマイ語、ご存じですか?“止めの領域”というのはクマイ語でさっき言ってもらったように止めの領域という意味をもっているんです。」

三人はどこの国の言葉も翻訳されることを思い出した。

モカは話を続ける。

「止めの領域という名の由来は、北の王。セートル・ジャルマと南の王、カルギア・ポタムスが争っていたことが始まりです。ですが、何度争っても一考に勝敗がつかず、最後に戦った地がここ、北と南の真ん中の領地。最後の決戦でも勝敗がつかなかった場合はお互い領地を乗っ取ることをきらめると約束した最後の決戦の地だったんですよ。そして、両国王は我こそはと止めの地と名付けたなごりでついたようです。」

「へえ。まるで西洋と東洋みたい。」

メイアがつぶやいた。

「で?どっちが何なんだか分からないんだが・・・・・・教えてもらえるか?」

すると今度はルルスとメイアが顔を見合わせ、同じことを口にした。

「ミョンハク君が下手に出てる!」

「ミョンハクが下手にでてますっ!」

それはほとんど同時。

「っ。なんだよ。」

「え?方向も分からずに旅なさってるんですか?無茶なさるんですね。」

ぽけっとモカが言う。

「あー。まぁ。いろいろあって。」

ぱりぱりっとミョンハクは首の後をかく。

「とりあえず・・・・・・私たちが今むいている方向をずっと行くと南。後は北です。砂漠は北と南を片道三日は必要としますよ?」

「ありがとう。」

「それより、ここは日差しが照りつけます。よければ一緒に旅案内しましょうか?」

よく見ると、先の方にはバスらしきものがあった。

「あのぉ。お金もってないんですよ。」

「そうですか。でしたら、車内清掃などに手伝っていただけたら幸いなのですけど。」

「雑用か。」

「でも、いい案かも!乗ろうよ。」

四人を乗せ、バスは出発。

「私は観光バス案内人であるとともに皆さんの安全を確保するための存在ですので、何かあったら言ってくださいね。」

「あの。モカさん?」

ルルスがモカを呼び止める。

「このバス。人がいらっしゃらないご様子ですけど?」

「ええ。車庫から出たばかりですから。」

「あ、そうだ。町までは何分でつくんだ?」

「ええ。あと三日ほどでしょうか。」

「ええっ!じゃあその間は!?」

「最新型バスで寝泊りしていただきます。防御せいにすぐれ、タイヤではなく、宙にある線路上を走っているためゆれる心配もありません。」

三人は頭にハテナを浮かべた。

「ええっと、モカさん?もし、徒歩であるいたら何日かかるのかしら。」

「徒歩では不可能だと思いますよ。」

「あっ。そーだ!ねぇ、不思議な事件や歴史ってない?」

「・・・・・・そうですね。ここからまた離れてしまいますが・・・・・・トゥルハスと言う国とミナカという国で、二つは世界最弱にして最小の国だったのですけど・・・・・・その国がいきなり盛んな貿易国になり、今や最大にして最強の国になったことが変わったことでしょうか。どのようにしてそのような強大な力を二つもの国が手に入れたのか。なぞは深まるばかりで一考に解明されてはいません。」

「詳しいのですね。モカさんのお国は?」

「そうですね・・・・・・平凡な・・・・・・国。でしょうか。」

「特色は?」

「いや。ちょっと。外国ばかりに興味があるので。自分の国はあんまり。」

「そうなんですか。」

すると、モカは今まできていたベールをするりと脱いだ。

モカの顔はきれいな白肌の大きめな目が特徴的な可愛らしい女の子だった。

黒い髪は少し短めで肩に少しだけついている程度。

身長はルルスが150〜155で、モカもルルスとたいして変わらないのでそれくらいだろう。

モカとルルスが並んでいるのを見て、たぶんほとんどの人が友達や親友で、お似合いだと思うか、姉妹ですか?くらいは間違えるだろう。

二人の外見は結構似ているのだ。

ただ、モカは自分の考えはさらっと言うさっぱり系美人なので、ルルスとは少しまた変わってくるのだが。

モカは着ている制服らしき服の脇腹部分のマークをルルスに見せる。

「これが旅先案内人としてのマークなんです。多少その国の言葉が分からなくても、これと、翻訳器でなんとかなっちゃうんですよ。」

「確かに何ヵ国語も覚えるのは大変ですからね。」

「これでも10ヵ国語は覚えたんですけど。話せないお客さんもまだ数多くいます。旅先案内人は資格を取れば国、年齢一切関係なく、大体の国と地域で必要とされますから忙しいけど、やりがいのある仕事です。」

ニッと笑ったモカ。

「お仕事がお好きなんですね。」

「ええ。」

「あの。トゥルハスとミナカっていう国にいきたいんですけど。」

メイアが切り出してみる。

「では一度、近くで旅に必要なものを・・・・・・買えないんでしたっけ?」

「ええ。」

「なら。何か売れるものは?」

「特に・・・・・・。」

三人で顔を見合わせるが、何もないのは当然の話。

カサッ・・・・・・。

手にあたったのは。

あの時、ミョンハクが最高に機嫌の悪かった国でもらったガムだった。

「いや・・・・・・でも、これは・・・・・・どうだろう?」

「まずいんだよね。」

「あぁ、まずいな。」

「ですが、ここも異国なことですし、平気かもしれませんよ?」

「バスが発車しますご注意ください。」

モカの声が三人の会話をさえぎる。

モカはマイクを持つと話し始めた。

「バスのご利用ありがとうございます。車内の説明につきまして注意点がいくつかございますのでよく聞いてくださいねまず、夜はバスが止まりますのでご了承ください。また、防御性に優れておりますから、暴走族などに襲われても車内でパニックを起こさないようお願い申し上げます。トイレ、シャワー等は一番奥、突き当たりまして右がトイレ、左がシャワー室となっておりますが、車内に積んである水の量に限りがございますので、節水にご協力ください。また、車内の奥だけ一階と二階に別れていますが、二階はフロアになっております。それ以外に分からないことがございましたらわたくし、モカに聞いてくださいね。」

ぷつりと音が切れる冷暖房装備でテレビ、トイレ、シャワー、フロアつきの大型バス。

正直、信じられないと驚くばかりだった。

ここでちょっとしたお話しです。

今回は作者だけでお届けしたいと思います。名前も決まっていない?コーナーです。

コトイオマ・モカさんという新登場人物を登場させていただきましたが、彼女はじつは実在している人物がモデルとなっている初キャラなのです。

実は“旅先案内人”という設定も、今回のストーリも彼女から出来上がりました。

ですから、今までとはだいぶ違った感じのお話しになっているかもしれません。

実は彼女は嬉しいことに私のこの“記憶”の読者でもあり、リアルに感想をくれる貴重な方でもあります。

ほんと、彼女には感謝感謝です。

そして、私がココにくるきっかけを作ってくれたのも彼女です。

私にとってとても大きな存在であるわけですが、その彼女を今回、小説に登場させていただきました。

もしも面白いなと思ってくれた方や、記憶をよんでくれた方、そして、記憶を読まなくても気にとめてくださった方がいらっしゃったら嬉しいです。

彼女含め、皆様に感謝します。

こんな未熟者ですが、読んでいただき、ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。

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