20・三つは一つ
「えっと・・・・・・この町について教えてほしいことがあるんですけど。」
恐る恐るメイアが口にするとさらに刃先はメイアの首元に近づく。
「ダメだ!外人には一切教えられん!」
いかつく頑固で長身の高い男は大声でしゃべりながら見下ろしてくるため、かなりの迫力。
ミョンハクの身長は175〜180くらいのはずなのにゆうゆう頭一個半や二個ぐらいの違いの背丈がある。
「まあまあ。いいですよ。我が国の何を知りたいんですか?やはり、カードですか?」
出てきたのは細身な男。ガードマンとはまったく別の体系をしていて背丈は165ほど。メイアは160辺りなので少し見上げる形だがミョンハクは少し下を見る形になった。
「し、しかしっ!」
「もちろん。ただでとは行きませんが・・・・・・。」
「なんでしょう。」
ルルスがずいっと体を乗り出す。
「あなた方は今、宙を歩いていらっしゃいましたね?」
「はい。」
「この都市にも個人が宙を自由に歩き回れる文明はまだ開発されていません。その宙を歩ける技術を私たちいえ、この国に教えてほしいのです。もし、のんでいただけるようでしたらこちらもお見せしますよ。」
「どうしよう?ルルスちゃん。私たち・・・・・・。」
宙を歩く技術なんてないよと言い掛けたのを察したらしくルルスは、笑った。
「大丈夫ですよ。分かりました。その取引、受けましょう。」
ポカンとしているメイア、ミョンハクの二人をよそにルルスは、どんどん話を進めていく。
「では、目を閉じてくださいね。」
「これでいいのかな?」
「はい。構いませんよ。」
指で空中に小さな文字を書いた。
「目を明けて、見えない階段をのぼるようしにしてください。ちゃんとゆっくり上ってくださいね。」
するとふわっと体がバランスをとりながら一歩また一歩と進んで上にあがっていく。
「これだけっ!?すばらしい!すばらしいよ!我が文明は宇宙を越えるっ!」
「はい。そんなことより、ちゃんとイメージトレーニングしてくださいね。ついでに言うと、カードについて教えていただける予定では?」
「本当にこれだけで飛べるのか?」
「いいえ。そこに時空の歪みを作らないとあるけませんよ。」
演技でにこっと笑ってみる。
「それを作るためには!?」
「簡単です。私たちがカードの力を応用していけばいい。そのために私たちはカードについて知りたいのです。ちなみに私たちの力は血をついで行われる魔法ですのであなた方のような一般人には作り出せないかもしれませんね。」
嘘のような誠のようなことを言う。
この世界は強力なカードの力で空間がねじ曲がっている。
その曲がった部分に物が乗り、浮いているように見えるということだけ。
「・・・・・・にわかには信じられませんが・・・・・・分かりました。我が国も教えるとしましょう。」
色々な部屋を移り、移されくるくるまわる。
そして最後の部屋。
誰もはいることは許されなかった部屋。
カードの色は薄紫色で、どちらかというと藤色のような紫。
模様には太陽と月も、龍も翼も描かれていて自分達の記憶とはまったく違うものに見える。
人が説明してるときにルルスがカードに触れる。
すると、カードは赤、青、白の三色の光となって飛び散った。
とたんにすべてが崩れ始める。
.♪・゜。.・。゜♪.
三つは一つ・・・・・・一つは三つ。
♪゜.。・。゜・♪.゜
三つの力が合わさったカード。
かなりの魔力に支えられこの国は文明を築いた。
なのにそのカードがなくなったら、間違いなくこの国は消滅する。
光は主人、つまり、三人の所へは帰ってこなかった。
崩れる世界だけを残し、三人は強制的に異世界へと移された。