15・新たな問題
とんでもない国に降り立ってしまった三人。
人助けをしたはずなのに・・・・・・?
「あの旅人達は魔法使いだろう!?」
「魔法使いなら今すぐ追い出せ!」
「現にあいつらが来てから変なことばっかりだ!」
地震が相次ぐせいで十分な睡眠をとれなかったストレスと家族を亡くした人たちの悲しみや憎しみの行き先が目新しい旅人、つまり、メイアやルルスやミョンハクに向かった。
「まぁ待て。彼らはこの町の英雄だぞ?」
「でも俺の妻は土砂の中だ!帰せ!妻の命を帰せ!」
朝、少しぼーっとメイアは考えていた。
いかなることがあろうとも、人の命は一度失ったら帰っては来ないのですよ。
誰かの言葉だったか。今や忘れたがそう聞いた。
「そーだそーだ!出ていけ疫病神!」
疫病神その言葉に勝手に体が反応したミョンハク。
・・・・・・俺の記憶が力となって暴れた。
それが結果。
町の人たちを危険に犯した。
考え込むミョンハクとは別にルルスは冷静に考えた。
何故、力はひとりでに暴れたのでしょう?
力は力の根源となる器がないと成り立たないのでしょうか?
私の場合はもともとがカードでしたし、シンボルも荒々しい力ではない月と太陽ですから、荒々しい力の西洋は、単体で動けるだけの力があるということでしょうか。
考え事をしながら部屋を出ると誰かにぶつかりそうになった。
「きゃっ。」
「うわっ!あ。おはよう。ルルスちゃん。」
相手は・・・・・・メイアだった。
「おはようございます。次に旅立つ準備をなされてるんですか?」
「ここも危ないし・・・・・・明日もいたらきっと私たちの命なくなっちゃうよ!」
笑いながら首を切るジェスチャーを加える。
「アハハ・・・・・・確かに。でも、笑い事じゃないんですよね。こういう声を聞くとついつい考えてしまいます。たまたま魔力を持ち合わせただけのどこにでもいるただの17歳だったはずなのにって。」
「その通りだね。けど、その“たまたま”が普通じゃないから差別され続けるんだよ。」
ミョンハクの部屋のドアをノックしながら言う。
声にかすかな寂しさが交ざる。
ガチャッ。
「・・・・・・なんだ?」
「旅のしたくは?」
「した。」
「じゃ下にきて。」
「わかった。」
階段を下るとき、聞こえた声。
「この疫病神!」
「彼らは違う!昔のようなことはない!」
「何の騒ぎですか?ルーナさん。」
「メイア!今すぐ逃げろ!ルルスやミョンハクもつれて!ここは危ない!」
「逃げませんわ。」
「みんな誤解してるみたいだしな。」
三人が下に揃うと辺りは一瞬静まり返る。
「出てきたぞ!とらえろ!」
「俺らを捕まえてどうする気ですか?」
「町を守るんだ!」
「いいえ。あなた達のは復讐。単なる復讐です。争いの種でしかない戦争を町を守ると称して魔法使い対町人で始める気ですか?戦争をしたことがあるものなら解るはずです。飛び散るたくさんの血、失わずにすんだかもしれないたくさんの生命またそれを復活させる気ですか?」
辺りが再び静まり返る。
「それに、安心してください。私たちは争いをしにきたのではありません。捜し物を探しにきただけです。それと、もう、すごい地震はありませんよ。」
メイアが身振り手振り一生懸命話すが、手振りは何を表しているのか謎だ。
「出ていけというなら出ていきます。でも、俺たちに死ねというのなら。俺たちはまだ死ぬわけにはいきません。としか言えません・・・・・・お騒がせして、申し訳ありませんでした。」
丁寧にミョンハクがあやまり、深めのお辞儀をする。
「ま。まて。」
バタバタと階段を駆け上がり、扉が閉まる。
ルーナは二回の廊下で一人、取り残されてしまった。
「おまえ達、本当に出ていく気か?」
するとバタバタと異国の衣装をきたメイア達が部屋から次々と出てくる。
「はい。今までお世話になりました。」
「何のお礼もできなくて、申し訳ありませんわ。」
「ええ。俺たちにはやるべきことがありますし、ここですべき事はおわりましたから。」
「そう・・・・・・か。断つ鳥後を濁さずだなっ。」
無理矢理消し飛ばれる感覚が三人の体中に走りわたる。
「ありがとうございました。」
「もう時間がありません。」
「え!ちょ。もういっちゃうのか!?」
「はい。ありがとうございました。」
「本当に時間がないみたいです。」
続いてルルスが口を開こうとするがその前に姿は消えてしまった。
だから、ルーナが最後に。
「またな。きっと、また会えるよな。不思議な旅人達・・・・・・。」
と言ったことは誰にもわからなかった。
ルーナの前にはただいつも通りの広い部屋や廊下が広がるだけだった。
別れは辛いけど、このあとどうなってしまうのか・・・・・・!?