119・それでもなお
「同情ならここにいない。」
少しメイアが顔を上げる。
ミョンハクのワインレッドの瞳が月に照らされ、薄紫色の光を放っている。
メイアは鼻をすすりながら視線を剃らした。
「俺、旅はじめてからずっとお前を気にしてきたよ。」
「でも今は違う。」
「なんで決め付けるんだよ?」
「私はなんでもルルスちゃんにはかなわないもん!ミョンハク君だって昔私にそういった!」
「昔の話だろ!俺は・・・・・・少なくとも今の俺はルルスよりおまえのが大事だよ・・・・・・あぁ、くそっ。こんなこっぱずかしい台詞、自分が言うはめになるなんて!」
メイアはミョンハクの顔を見ると赤くなっている。
「本当に・・・・・・?」
「ああ本当だよ!ちくしょー!じゃなきゃこんなめんどくせえやつの隣にいるわけねえだろ!大体、今までの事が全部俺の善意ってんなら、俺はどんだけいい人なんだよ!」
ミョンハクはムキになっていた。
一度もメイアと目をあわせようとしない。
「ミョンハク君・・・・・・。」
「あ?」
ミョンハクがメイアを見るとメイアはミョンハクにキスをした。
「なっ!」
ミョンハクは驚いて体を仰け反らせる。
その顔はさらに赤面し、口を押さえている。
「ありがとう。」
メイアの頬には涙がつたった後が光っていた。
あとはそよ風がすぎるばかり。
ラストが近いので無理やり短くしました。
すみません。
上のタイトルはいままでのものと変わっていると思いますが、それはメイアの気持ちを優先させたタイトルだからです。
「仲間と離れることになっても、自分の居場所が無くても、それでもなお、追い続けることしか私には出来ないから……。」
でした。
次回、ラストです。
あ、ちなみに何故次回が存在するかというとですね、まだ、残ってるんですよ……“本”が。
以上次回予告でした。
ここまで読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。