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記憶  作者: 半月
117/120

117・分かれ道

二人から離れるとミョンハクは口を開いた。

「メイア?」

「はっ!ごめんなさい!つい!」

メイアはあわててミョンハクの手を離す。

その手に骨折したあとはもうない。

「どうしたんだよ?」

「ルルスちゃん達が・・・・・・凄く・・・・・・きれいに見えたから。」

雨で濡れた髪の毛は光り、痛みを分かち合う統べを知る奥深くの美しさ。

「あーゆーのを神々しいっていうのかな・・・・・・。」

メイアはかすかに笑うように目を細めた。

「何言ってんだバーカ。」

「またバカゆったなあ!?」

「バカはバカだろ。」

ミョンハクはふっと目を細めてルルス達を眺めると笑った。

やがてセタは落ち着き、四人はもてなされ、四人が離れる日がきていた。

メイアとルルスの体内に声が響く。

〔酷なことを言うようかもしれませんが、あなた達二人の帰る特定の場所・・・・・・あなた達は故郷と呼んでいましたね。あなた達の故郷はどこにもありません。でも、それは同時にどこでもはじめからやり直せるという事です。セタやミョンハク・・・・・・でしたね、彼らのように掟にしばられることもありません。彼らは自らの故郷に帰らなければなりませんが、あなた達はどうしますか?ここ、エデネ=ティクオに残りますか?それとも亜賺喃に行きますか?〕

それぞれに行く場所を二人は決めた。

そして別れがやってくる。

さまざな人が駆け付けてくれた。

「お前達ともさよならだな。」

「そうですね。」

ルルスが頷く。

「寂しいな。」

メイアがしゅん・・・・・・とする。

「まあ、生きてるんだし、いいんじゃねえか?」

「そうだけど・・・・・・。」

そういってメイアはルルスに抱きついた。

「さよならんてやっぱり・・・寂しいよっ!」

「そうですね。でも、仕方のないこと。これが私達が選んだ道ですから。」

ルルスがメイアの肩に顔を突けると微笑んでから瞳を閉じた。

「そろそろ時間だな。」

本が光りはじめたのでミョンハクがつぶやいた。

「ルルス!」

「はい。」

「俺・・・・・・その。・・・・・・おまえの事・・・・・・好きだったよ!」

真っ赤になったセタを見てルルスも顔を赤く染め、まわりでは歓声があがった。

「私もです。セタ・・・・・・ですから、さよなら。」

「さよなら。よかったね。ルルスちゃん。」

「え?え?」

「なんだそりゃあ!」

セタは驚き、ミョンハクは叫んでミョンハクとメイアは消えた。

周りの人たちは歓声をあげ、さらに盛大に騒ぎ立てた。

「おまえ・・・・・・どうして。」

「私はライランから来たガルディッアーノさんの分身ですから。帰る場所はありません。ですから辛かったのですが、お二人よりセタを選んだのです。」

そして亜賺喃についたミョンハクはまだわけがわからずにいた。

「なんで、ルルス。」

「落ち着いて、ミョンハク君。」

そして光との会話をミョンハクに話した。

「ふーん。それで。で?お前はよかったのかよ。」

「何が?」

「セタと・・・・・・本当は残りたかったんじゃないのか?」

「ううん。私はこっちがいいって。例え・・・・・・ミョンハク君がルルスちゃんを好きでも・・・・・・私・・・・・・わ・・・・・・たし、は・・・・・・。」

メイアが何か言い掛けて誰かにミョンハクが呼び止められた。

「おお!ミョンハクじゃないか!」

「長老?」

「なんだ。長老の顔も忘れるとは薄情者め!でもそうか。こちらもいろいろあったが、お前が帰ってきたって事は世界は無事守られたのだな!おや?そちらのお嬢さんは?」

「何言ってるんですか?メイアですよ。この国にいた。」

「メイア?聞き覚えないな。」

まだ何か言いたげなミョンハクを止めてメイアは前に出た。

「“はじめまして”長老、あなたの噂は彼から聞いていてよく知っています。そんなセイ家のご長老にお目にかかれて光栄です。私は“玖波已”という国から来ました。“メイア”と言います。」

いつになく丁寧に言っておじぎをすると二人はすぐに祝われた。

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