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記憶  作者: 半月
109/120

109・仲間の最後

SMCは一瞬にしてミョンハクの目の前から消えて、剣を構えるとミョンハクに突進してきた。

だが、ミョンハクには見えていた。

不思議だ。

痛みはあんまり感じないし、剣の重さもあまり感じない。

全身が神経になったみたいにメイアの動きを見切ることができる。

ガキィィィイン!

ギィイイイ!

鉄と鉄がこすれるような音がする。

ミョンハクが剣をクロスにしてメイアの剣業を避ける一方でアイテムだった剣はミョンハクの意志によって短剣に変わり、SMCの剣を跳ねとばすと短剣を持ちかえ、振りかざした。

ピッとSMCの頬に傷が入る。

SMCとミョンハクは同時に後ろに下がるとSMCはミョンハクに接近戦は不利だと感じ、攻撃力は弱まると知っていても剣を下げると弓矢に形を変えた。

その間にもミョンハクが走り込んでくるため、飛んで横に避け、連続で矢をいくつか放つ。

いくつかはミョンハクの剣に振り落とされ、またいくつかはミョンハクの腕や足を擦り、血が流れた。

「くそ・・・・・・全部見切ったと思ったのに。」

悔しそうにミョンハクがつぶやく。

「お前、体ボロボロ、立ってることがやっと。なのに、なんでまだ戦う?なのに、なんであたしのスピードについてこれる?」

「うるせえな!俺は世界を守るなんてカッコいいこと思ってねえんだよ!ただ自分が生きたい。ただお前達を助けだしたい、そればっかの欲望人間なんだ!お前達みたいに自分の命を懸けてまで運命とか使命とかに没頭できるようなできた奴じゃねえんだよ!」

そして剣を勢い良く振り回した。

「ッ!!」

ザシュッ!

パラパラ・・・・・・。

SMCが後ろに反り返り、飛んで攻撃は避けたはずなのに髪の毛が少し切られた。

「お前が・・・・・・こんなに早いはずない。なのに・・・・・・あたしに・・・・・・攻撃して・・・・・・傷つけていく・・・・・・?」

空中に舞っている間につぶやく。

「言っただろ。自分が生きていたいだけの人間だって。」

ニッとミョンハクが笑うと何かをつぶやき、剣を地面に突き刺し、SMCが着地する地点に業を仕掛け、SMCは着地し、すぐよけたが避け切れずに攻撃が背中にもろにあたり、吹っ飛ばされた。

「・・・・・・な・・・・・・ぜ。理解できない。何故生きたい。」

何事もなかったように立ち上がったSMCの背中は大きな火傷の後がついた。

「俺達の記憶(こと)を・・・・・・俺達の存在をはじめから何もかもなかったことにしたくないからだ。」

その瞬間、SMCは出てきた元審判者に襲い掛かるようにしてかじりついた。

「させるか!」

ミョンハクが元審判者を切り倒した。

それはSMCの体に飛び散り、傷が治っていくのをミョンハクは見た。

「なっ!」

「血は付着だけでも治る。飲んでたのは、いちいち切り殺すのがめんどくさいからだ。」

そういうとSMCはLLSのところへ一瞬で移動。

LLSと目を合わせると何かを納得したらしく、背中合わせになった。

そして二人は上をむいたと思うと超音波のような声で歌いだした。

歌・・・・・・超音波・・・・・・いや、確かに歌だ。

リズムは取っているが、声の高さが人間の領域をこえている。

「グアッ!」

「ウワッ!」

ミョンハクとセタは険しい顔をして耳を塞ぐ。

頭が割れそうだ・・・・・・それに・・・・・・体の臓器という臓器すべてが内部爆発しそうだ。

この歌を聞き続ければ確実に負ける。

ミョンハクはセタをひっつかむとSMCのような早さでSMCとLLSのそばから離れた。

「早いな!メイアとお前が戦ってるときも思ったけど、目に留まんないし。」

「うっ。」

お腹を押さえてミョンハクは膝を就いた。

「大丈夫か!?」

「膝が・・・・・・笑ってる。多分、肋骨も胃も足も相当壊れてるんだろうな。」

「無茶してんじゃねえよ!」

「するに決まってんだろ!あいつらが・・・・・・俺等と・・・・・・戦い続けるなら・・・・・・。」

「だけど。このままならこっちは確実に死ぬ。それでも無茶するってんなら、俺と組め。」

「何・・・・・・命令してんだよ。」

ミョンハクが顔を上げると真剣に無茶するなら維持でも止めると顔に出てきているセタを目にした。

「無茶するなら、俺がお前を止める。」

「んなの戦いになんねえだろ!だからバリア使わなかったんだよ。」

咳き込みながらミョンハクの術はスピードとパワーが命の体力を削る魔法だとセタに説明した。

「知らねえよ!おまえも俺も、あいつらも!誰一人かけちゃいけないんだろ!なのにお前だけ無茶して犠牲になって、後は俺に頼んだってか!?そりゃすげえな!お前はどこの英雄だよ!何のヒーローだよ!」

セタは今までになく怒鳴り散らした。

セタの記憶が過去とつながっていく。

今のミョンハクが昔の父親とかぶるのだ。

「後は頼んだって無責任じゃないか!お前に残された奴の気持ちが分かるのかよ!人を失って傷ついても自分は英雄なんだからって目で見られる奴の気持ちが!解んねえくせに・・・・・・無責任なこと言うな!!」

ほとんど父親への不満だった。

言いたかったこと。

言えなかったこと。

すべて吐き出したセタは息を荒く吐き出していた。

「一人で興奮してんじゃねえよ。」

ふっとミョンハクは笑った。

「お前がこんなに無茶しなきゃ・・・・・・何笑ってんだよ。」

「お前がいつになく怒ってるからさ。いつもあんま怒んねえじゃん。」

「ずいぶんと余裕じゃんか。」

ゴスッとセタがミョンハクの頭をこぶしで殴る。

「って!」

すると、傷が回復したSMCとLLSがセタやミョンハクのもとに着た。

ミョンハクがセタにつぶやく。

「あいつらは“審判者”の血で傷を回復させる。」

「審判者?」

「おまえが以前、殺されかけてはじめて俺の剣を貸したときだ。」

「ああ・・・・・・あの達の悪い。」

二人を見るなり、SMCとLLSは再び顔を見合わせ、何かを納得したようにうなずくとSMCは直接攻撃、LLSは風魔法をつかう。

あわててセタが決壊をはり、自分達を囲った。

「そう言えば・・・・・・ミョンハク、ルルスの格好だけじゃない。タトゥーも消えてる。ルルスはずいぶん強くなったし、何より厄介な事に魔力が増してる。あれに当たれば首くらい簡単に飛んじまうだろうな・・・・・・。」

「メイアは体術の威力が増してる。気を付けねえと・・・・・・この(ざま)になるぜ。」

そういってミョンハクは腕を広げた。

だんだん攻撃を受けてばかりの決壊にヒビがはいる。

「おいおい・・・・・・そうだ、俺はメイアを狙うからミョンハクはそのスピードを生かしてルルスを切ってくれ。一発で仕留められればいいけど、これってすでにかなり折れたち側が危機に瀕してるよな。」

セタもLLSの毒づき短剣が何度か擦っているため、悟られないようにわざと明るい声を出していたが、限界が近づいているようだ。

足が棒のようになり、重くなって動かない。

視界が霞む。

ミョンハクのようにあちこちちまみれではないものの、セタ毒で青白くなり、冷や汗をかきはじめていた。

「すげえ汗だな・・・・・・おい、大丈夫か!?」

「問題ない。」

毒に犯されていくセタと様々な臓器や箇所を破壊されたミョンハク。

二人での攻撃チャンスは残り一回、あるかないか。

普通に話すことさえ本来ままならない二人は攻撃されたらそれこそ一貫の終わりだった。

今、立つのも話すのもすべて精神力。

「行くぞ。」

「おう。」

決壊は消え、ミョンハクはすごいスピードでLLSに向かい、それを感じたSMCが先回りをするが、それを銃で撃って止めたのはセタ。

「おまえの相手はこっちだ!」

LLSは短剣をチェーンから持ち手の方に切り替え、ミョンハクの攻撃をふさいだが、懇親の一撃でアイテムだった剣を振り下ろし、LLSは真っ二つに。

SMCの方は決壊からのびてきた何かに縛られ、動きを封じられるとセタは薄れゆく景色のなか、銃でSMCを撃った。

そしてミョンハクもセタも倒れ、術から解放されたSMCは下に落ち、床に打ち付けられ、LLSだけがただ呆然と立ち尽くしていた。

体が機能しないのに使命を全うしようとするLLSとルルスの戦いだった。

光は闇におり、闇は嘆き、光を忌み嫌い、半分正気に戻ったメイアとルルスはセタとミョンハクの治療に向かった。

『ん。』

二人が同時に目覚めた。

「ルルス!」

「メイア!?」

セタとミョンハクはそれぞれに驚きの声をあげ、起き上がる。

「うっ。」

「いてっ。」

セタはめまいを起こし、ミョンハクは腹部を押さえた。

「まだ起き上がっちゃ・・・・・・抹殺・・・・・・ダメだよ・・・・・・主は・・・・・・。」

メイアの声なのに時折SMC2995の感情がない声が交じる。

「セタも寝・・・・・・世界はすべて・・・・・・ていなければなりません・・・・・・主のために・・・・・・よ。」

それはルルスも同じだった。

「ルルス?メイア?何でだ?奴らは死んだはずだろ!?なのに。何で・・・・・・何故戻らない!」

メイアの右半分は硬直し、頑なに動かない。

ルルスの左半分は光に覆われ、透けている。

メイアの左側だけは笑いながらも涙を流した。

「私達を・・・・・・助けて・・・・・・抹殺すべき・・・・・・くれてありがと・・・・・・邪魔な存在・・・・・・う・・・・・・私達を信じてくれて・・・・・・すべては闇に・・・・・・ありがとう・・・・・・でもごめんね。私たちはもう、そっちには帰れない。」

メイアの右と左は別々に動き、それぞれの言葉をしゃべったため、聞き取れなかった。

とくに最後は聞き取りたくなかった。

「貴方・・・・・・殺せ・・・・・・達は生き・・・・・・光を排除・・・・・・てください・・・・・・私達がいなくなって・・・・・・存在さえ消え・・・・・・闇は永遠なり・・・・・・ても。」

そういってメイアは光のつぶに、ルルスはだんだん透けるように消えた。

『ありがとう。』

ただ、二人の言葉を残して。

「メイア!?」

「ルルス・・・・・・嘘・・・・・・だろ!?」

二人はそれぞれの言葉を発したが、それはむなしく胸に残った。

...次回予告...

次回、ルルス、メイアの二人を失ったミョンハクとセタの物語が始まります。

特に今までセタは謎の多い人物でしたから、セタのことが分かってくると思います。

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