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異世界任侠伝、魔王がなんぼのもんじゃい!   作者: にゃんこめん
第一章 勇者と五人の仲間がやってくる
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第六話 手榴弾? あるに決まってんだろう

 異世界だからって俺の仕事(しのぎ)は変わらねえ。

 ブツを欲しがる奴がいれば、ブツを買い付けて売りさばく。

 客が欲しがるブツを入手できない商人は、俺に言わせれば三流だね。

 異世界(こっち)の商人はシャバ憎ばかりで、俺が携帯電話を売ってくれと言っても『そんなもの用意できない』なんて、泣き言ばかりで仕事する気がありゃしねえんだ。

 異世界で携帯電話、こんな古くせえ街並みを見りゃあるわけねえだろうよ。

 でもよ、無ければ作りゃ良いんだよ。

 客が携帯電話欲しいって言ってんだからさ、無けりゃ一から作れば良いじゃねえか。

 それが手広い商いで儲けてきた鰐島(わにじま)さんの仕事(しのぎ)の流儀ってやつだ。


「もしもしトルちゃん? そうそう、この前頼んでた『I』の付く方のパットとスマホなんけどさ、あれの受注は受けちゃって良いのかな? うん、うん……あ、そう。そしたらさ、そこら辺りのカマボコの板に『Iなんちゃら』って書いて、適当にリンゴのマーク描いてさ……そうそう、わかりゃしないから大丈夫だって。中つ国の大連? へえ異世界にも大連あるの? 知らなかったなあ。うん、あ、また後でかけ直すわ。それじゃ、大連の手配よろしく」


 俺は二つ折りの携帯を音を立てて閉じると、目の前に座っている小松組のサブに冷コーを注文してやった。

 客の少ない喫茶店、人通りの少ない通りが見渡せる窓際の席、ヤクザとの取引は慎重過ぎて過ぎることがねえ。

 サブは小松組の若頭補佐だった富田寅吉の舎弟で、あっちの世界では組の使いパシリをしていた三下だ。


「鰐島さん、その携帯電話マジで誰かと繋がっているんですか?」

「あ、携帯(これ)? なになにサブちゃんも、携帯電話が欲しくなっちゃったわけ? そりゃ携帯ないと不便だもんねえ、携帯(これ)、異世界に一台しかないレアモノなんだけどさ。サブちゃんが欲しければ、特別に500万(ゲニー)で譲っちゃうよ」

「いや、世界に一台しかない携帯なんて要らねえっす」

「あらま、携帯(これ)持ってたら女の子にモテモテなのにねえ」

「マジで要らねえっす……そんな偽物(パッチモン)より、お願いしてたトカレフの弾どうなってます? おいらは剣やら魔法やら使えないんですから、トカレフ(こいつ)だけが命綱なんですよ」

「はい、トカレフの弾ね。このとおり、鍛冶屋に頼んで作ってもらいましたよ」


 サブのやつ、俺がテーブルに鉄砲弾置いたら『すげえぜ鰐島さん!』と、勝手に持っていこうとするから、その手を押さえつけた。

 キョトンとしているが、出すモノ出さないと、こっちも慈善事業してるわけじゃないからね。


「あ、ああ、金ですね。手持ちは少ないんですが、十発1千Gで良いですか?」

「だめだよお、サブちゃあん、はあい、ばぶう、ちゃあん。おじさん、赤ちゃんになっちゃうよお。おじさん、子供の使いじゃあないんだからねえ」

「え……ああ、安すぎですか? 異世界に来てから日が浅くて、どうも相場がわからないんですよね。おいくら?」

「ま、オマケして一発1万Gかな」

「ボッタクリじゃないですか!?」

「サブちゃんさ、せっかく異世界で銃士なんかやってんだからね。そこら辺のモンスターでも、ちょちょっと狩って稼げばいいじゃねえのよ」

「鰐島さん、おいらが倒そせうなスライムの相場は一匹100Gですよ。弾一発買うのに、百匹倒さなきゃならんじゃないですか」


 俺は肩をすくめると、なめたこと抜かしたサブに言ってやったのよ。

 オークなら一匹3万Gだろう。

 ってね。

 そしたらサブはその気になったらしくて、神妙な顔で後払い(ツケ)で十発ほど手にして喫茶店を出ていった。


「ヤクザって人種は、ちょろいねえ。鍛冶屋に頼めば、一発5Gだって言うのにさ」


 俺は携帯電話を耳に当てると、商売仲間のトルを呼び出した。


「ああ、トルちゃん? さっきはごめんね、急ぎの客をまたせててさあ。で、『I』のつくパットとスマホなんだけど……あ、そう? 大連で作れるって? いやあ、今どきは通話しかできねえ、携帯なんかよりスマホでしょう」

『鰐島さんの考案した魔法の使えない客と、遠距離で通話できる魔法道具(携帯電話)は便利なんですがね』

「今の客に『売ってやる』と言っても、ぜんぜん欲しがらねえんだわ。やっぱ時代はスマホなんだろうねえ」


 俺は異世界の商人、客の注文さえあれば何でも入手して売りさばく男だぜ。

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学校丸ごと異世界にドン!もよろしくお願いいたします!
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