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もし、私を"毒林檎"以外で殺せたなら  作者: 弥咏 優(みえい ゆう)
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«おまけ» 白雪姫の手紙

 

 私は明日、このお城から追い出されます。

 きっと、もう二度と戻ってくることはできないでしょう。

 なので、私は(ここ)に手紙……いえ、遺書を残します。

 今から書き残すことは他人から見たら信じられないことばかりでしょう。

 ですが、全て真実であることだけは頭に入れて読んでもらいたいです。



 私はこの人生(ものがたり)の結末を知っています。

 簡潔に記しておくと、私は王妃の持つ鏡に世界で一番美しいと称され、それを聞いた王妃が怒り狂って私を殺そうとします。

 最初は狩人に殺すよう命じます。

 が、彼が私の殺害に失敗すると、王妃自らが綺麗なネックレスで首を絞めたり、毒入りの櫛で髪の毛を梳かしたり、半分だけ毒の入った林檎を食べさせたりしてきます。

 私は奇跡的に助かりますが、一瞬でも私を殺した王妃を恨みます。

 恨んで、辛い処罰を下すのです。

 そして、私と隣国の王子が結ばれてHAPPY END。


 私はこれを知った時、この結末を迎えてしまうこの人生を変えたくなりました。

 特に、生きたまま隣国の王子と結ばれる結末を変えたかった。

 隣国の王子は死体愛好者(ネクロフィリア)の為、生きた私には興味がないでしょう。

 なら、彼は、いつかきっと、隙を見て私を殺すはずです。

 それだけはどうしても避けたいと思いました。

 隣国の王子に貰われる運命だというのなら、確実に殺されてから貰われたい。


 私はどうすればあの結末を迎えず、確実に死ぬことができるか考えました。

 そして思いついたのが、毒林檎を食べない、という選択肢です。

 本来は毒入りとは知らず、美味しそうな林檎を食べて、喉につまらせて私は息が止まります。

 ですが、揺れによる衝動により、詰まった林檎が喉から出てきて息を吹き返すことになります。

 そうしないためには、林檎を食べないようにしないといけません。

 そこで私は、本当は大好きな林檎を"大嫌い"だということにしました。

 食べるくらいなら死ぬという言葉と共に王妃と王子の耳に届くよう、噂話として流してもらいました。

 これでもし、王妃が林檎を差し出してきたのであれば、私は自ら命をたてばいい話。

 差し出してこなかったのならば、別の方法で王妃に殺されればいい話。

 正直、この噂が吉と出るか凶と出るかわかりませんが、どちらにせよ、死ぬ運命になるでしょう。


 私が素直にこの世から消えれば、王妃の願いは叶います。

 隣国の王子の願いも叶ってしまうのは癪ですが、王妃が人殺しと城を追い出されることがないのであれば、私の遺体なんて易いものです。


 王妃、お義母様。

 面と向かって話したことは、指で数えられるくらいしかないと記憶しておりますが、私には一つ、確かに分かることがあります。

 それは、私なんかよりもお義母様の方が美しい方であるということです。

 鏡は真実しかいわないと知っておりますが、本当に世界で一番美しいのは私ではなく、お義母様であると思うのです。

 私はまだ年も若く、美しいという言葉とはだいぶかけ離れた存在であると自分自身で思うのです。

 対してお義母様は大人の凛とした姿を纏っており、美しい。

 今は亡き母、実の母も綺麗な方だと記憶しておりますが、彼女とは違う美しさをお義母様は持っていると思うのです。

 こんなことを私がいうのはおかしいのかもしれません。

 ですが、例え私が生きていようとも、死んでいようとも、世界で一番美しいと言われるのは、私ではなく王妃でないとおかしいと思うのです。


 ですので、どうか、私を殺すことだけに執着しないでください。


 私は王妃に殺される運命にあり、王妃は私を殺す運命にあります。

 だから、この世界で貴女と私が分かち合い、仲良くなれるだなんてこれっぽっちも思っておりません。

 それなら、最後に私を殺すのは隣国の王子ではなく王妃であってほしい。

 私の最期を看取ってくれるのは王妃、貴女がいいのです。


 本当のことをいえば、私は貴女と普通に接したい。

 お父様とお義母様、そして私の三人で幸せに暮らしてみたいものでした。

 しかし、そんな贅沢なことをこの世界で叶えるのは無理そうです。

 私には運命に抗う覚悟なんてありませんから。

 なのでこの願望は来世まで取っておくことにします。

 その代わり、この世界では王妃が無事幸せになれることを望みます。

 お義母様が幸せになれれば、それは私の幸せでもあるからです。




 遺書というよりは、私の気持ちを綴ったものになってしまいましたね。



 あまり長くても、読むのが疲れちゃうと思うので、

 最後に、私の願いをまとめて書いて、この手紙(いしょ)をしめさせてもらいます。




 どうか、私の最期を看取るのがお義母さんでありますように。

 そして、お義母さんとお父さんが幸せに暮らせますように。




 親不孝な娘でごめんなさい。




 幸せになれるよう、遠くから見守っています。




 ××年×月×日 白雪。

どうも、作者の弥咏です。

まず初めに、この作品に目を通してくださりありがとうございます。


今回は、公式の企画に初めて参加させていただきました。

文章は拙いですし、言葉足らずのところが多々見受けられるかと思いますが、楽しく書くことができました。


この企画を知った当初はハッピーエンドを書くつもりでいたのですが、メリーバッドエンドが大好きなのでそっち方面でいこうとしたんです。

……どう受け取るかは読者さん次第ですが、私的にはバッドエンドよりになってしまった気が。


話が変わりますが、このお話は一応公式の設定、白雪姫が『林檎嫌い』だったら、を題材に書かせていただいたつもりです。

私自身が林檎嫌いなのもあって惹かれたのですが、結局それを活かせる場面がありませんでした。

この物語はどうだったでしょうか……?

原作とは違う白雪姫を堪能できたなら嬉しく思います。


最後に、

ここまで読んでくださり、ありがとうございましす。

また時間に余裕があり、話が書けそうだと思った企画がありましたら参加したいと思います。

今回は素敵な題材をありがとうございました。

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