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恋敵 山中修
俺にとって、有紀は存在の大きさが顕著な女性である。
俺は越川達之、警視庁の警察官だ。
裏切りなんかもってのほかだが、何度も俺は裏切った。
彼女からは逃げることができない気もする
俺が犯人だとしたら、地獄の底まで追いかけてきそうだ。
黒いパンツスーツの刑事 新井有紀とはそんな人間だ。
気分屋だが、俺のことを一番知っている女性。
出会いは警視庁に配属されたころのこと。つまり同期の刑事である
「新井さん、世田谷署管内で事件です。」
了解。山中君、被害の状況は?
被害者の方は命に別状はありません。
有紀が話を聞いている一課の刑事は山中修、彼は俺が新井警部に惚れている
事に気づいている
「山中、新井刑事は恋人いるのか?」
知りません。けど、僕も新井さんに惚れてます。
思いがけない修の言葉だった。
「そうですか。先輩と新井さんを取り合うなんて思いませんでした。」
それは俺も同じだ。