episode 4
遅くなってすいません^^;
やっとepisode4が出来ました
風がそよぐ森の中、俺はただ呆然と立ち尽くしていた。
俺はブレザーの男についてよく知っているつもりだった。彼は意思が強く行動力もある、少し喧嘩っ早いところもあるが友達思いで正義感溢れる人物だった。
しかし今まで見てきた映像ではそのイメージを全て覆してきた、正直どれが本来の彼か分からなくなってきた。
だが考えている暇はない、彼を見つけて全部聞き出してやる。そんな決意を胸に俺は森を進む。
体に響くほどの戦闘音はいつの間にか消え、森は静けさを取り戻していた。
「そういえば、俺の能力はどこまで見ることが出来るんだ?」
ふと疑問に思った事を呟いた。
"透視能力"、最初に使った時はすぐに敵を見つけたから焦っていたけどよくよく考えると能力の性能を把握してなかった。
目を瞑り能力が発動するイメージをする。
「発動!」
そう呟き目を開くと辺りの草木は赤い半透明になりそれらを跨いで先が見えるようになった。
見渡して敵が居ないか確認したがどうやら居ないようだ、確認と同時に能力は目の届く範囲で使うことが出来る事を認識した。
「んー、まあこれで視力が上がったりしたらチートになるかな、うん。」
独り言を言い能力を発動したまま先へ向かった。
進めば進むほど森は活き活きしていた。
風になびかれる木々は葉や枝を当て合い音を立てながら揺れている、足元の花は陽の光を求めて空に向かって咲いていた。目の前を色鮮やかな蝶がヒラヒラと羽ばたく姿は何とも美しかった。
「何だろう、殺し合いをしているなんて嘘みたいだな。
静か…本当に静かだ……」
意味の無い事をポツリとつぶやいた、誰かが聞いている訳でもないがふと声に出してしまった。
平和な森をゆったりと進んでいくと遠くに何かがあることに気づく、気になり近づくと段々形がはっきりし車椅子であることが分かった。
「ん?なんでこんな所に?」
車椅子をつついて考えていると、どこからか物凄い音が聞こえた。
それはバタバタと走るのに慣れていないような音、しかもその音は次第に大きくなっている。
「え、こっちに…向かってる?」
恐怖にかられた俺は音のする方を見ると向こうから白髪のじいさんがこちらに走っているのが見えた。じいさんの手にあまり見慣れない物があるのに気づく、それは弓と銃を合体させたかのような物である。
少したってようやく気づいた、あれは武器であると。
恐ろしくなった俺はその場を離れ全力で走った、しかしじいさんの脚は異常なほど速かった。
若い俺の方が速いはずなのにじいさんとの距離がどんどん縮まる、走りながら銃弾を三発放ち牽制するがじいさんは手に持つ武器でそれらを跳ね返す。
「無駄だ!そんな武器で殺られるほど老いさびれてはないわ!」
後ろで叫ぶじいさん、走りながらその顔を見るとおぞましい笑顔をしていた。
じいさんは走りながら武器をこちらに向ける、まずい!
銃弾を放ち武器を破壊しようと試みるが走ながら撃っているせいか当てることが出来ない、じいさんはさらに笑って武器から矢を放った。
矢は俺の左脇腹に刺さり貫通した、抜けることなく脇腹に残って。
「あ"あ"ぁ"!」
あまりの激痛に叫んだ、激痛のせいで走る速度は落ちていく。
「まだだ!」
じいさんはそう言いながら更に矢を放ち、俺の右の脹脛に命中させる。
「があ"あ"っ!」
痛みに耐えきれずその場にうつ伏せに倒れてしまった、老人は速度を緩めて俺の横に来た。
「ふふふ、なんということだろうか。車椅子なしでは動くどころか体を起こす事さえできなかったワシが、ここでは歩ける!走れるぞ!」
空に両手を伸ばし叫ぶじいさん、俺の意識は段々と薄れていた。
「さあ、終わりだ!」
武器を俺の顔に向けるじいさん、死を覚悟した。
突然じいさんが武器を落とした、それに何やら液体の滴る音が聞こえる。
「なぁぁぁ!?
あ、痛い…痛い!!」
なんと武器を持つじいさんの手が血を流しながら切断されていたのだ。
尻餅をつくじいさん、何かと不思議に思うと反対から聞き慣れた声が聞こえる。
「おい、こいつは俺の獲物だ。」
その言葉を最後に俺は気を失った。