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Blaine out  作者: こっぴゃん
2/13

episode 1

「おいマサル、大丈夫か?」

「う、ううん?」

目を覚ますと、心配そうに俺を見てるタクが居た。

「こ、ここは?」

身体を起こし辺りを見渡すと、真っ白で質素な空間が続いていた。

「これは一体...」

状況を整理していると、突然顔のある大きな服のボタンがひとつ現れた。

「皆さん初めまして。

ボクはガイドロボットのボタン君、宜しくお願いします!」

ボタン君が自己紹介をしていると突然金髪の外国人のおっさんがボタン君に襲い掛かった。

「お前の事はいいから早く元居た場所へ返せ!!」

するとボタン君は体から機関銃を出しておっさんへ向ける。

「暴力反対です!おとなしくしてもらえないなら実力行使します!」

「わ、分かった。

言う通りにするから撃たないでくれ!」

おっさんがそういうとボタン君は機関銃をしまった。

「あ、あの、何故私達は集められたんですか?」

俺の隣に居た眼鏡の女の人が手を挙げ質問をした。

「では、説明します!

あなた方にはこれからお互いの命を奪い合ってもらいます!

皆さんにはそれぞれ武器と『能力』を渡しますのでそれらを駆使して戦ってください!

最後に生き残った人が優勝となります!」

「ふ、ふざけるな!

俺はやらないからな!」

俺は声を荒らげて言った。

「やるやらないは個人の自由だけど、やらない場合は死んじゃいますよ?」

「どういうことだ?」

迷彩服を着てマスクをした人が質問する。

「ここに居るのは今日が命日の方々、だから我々は無駄死にさせないよう強引ながら集めさせて貰ったのです。」

「う、嘘だろ?」

その場に居る全員が驚いた。

皆さっきまで以前と変わらない日常を送って居ただろうに、拉致されてしかも知らない人達と殺し合えだなんて...

「それで、参加しない人は居ますか?」

ボタン君の質問に誰も答えなかった。

「それでは、ステージに移動します!」

モモタンがそういうと辺りがまるで壊れたゲームのようにドット状に崩れ、目の前にいくつもビルが連なった街が現れる。それと同時に近くに居た人達も居なくなった様だ。


「それではまず武器と能力を渡します!」

目の前にいるボタン君は口から何かを出して拳サイズに小さくなった。

「こ、これは?」

「あなたの武器はハンドガン、能力は『透視』です!」

「透視?」

「透視は透視です!」

「なんというか、どっちもぱっとしないな...」

「そんなこと言われても、ボクはガイドですから!」

やれやれと呟いて俺はひとまずビル同士の間にある小さな路地に入った。

「くっそ、どうすりゃいいんだよ...

見ず知らずの人を殺せる訳ないだろ!」

頭を掻きむしって叫んだ、でもその声は虚しく周りに響くだけだった。

どこからか高らかな笑い声が聞こえる。それだけじゃない、妙に熱い...!

危険を感じた俺は路地を出てビルの中に避難して、窓から外を見た。

すると、路地から炎が一気に押し寄せてきた!後少し遅かったら丸焦げだった...

「おい、居るんだろ?

さっさと出てこいよぉぉ!!」

火の静まった路地から出てきたのは、さっきボタン君に襲い掛かった金髪のおっさんだった。何故か分からないが、とてもハイテンションの様に見える。

「ほら、早くしないと燃えるぜぇぇ!!」

そう叫びながらおっさんはどこかへ行った...

「あ、あんなクレイジーな奴が居るのかよ…」

でもやり過ごす事はできた、さてどうする?

外には他の参加者が沢山居ることを考えると、建物内の方がいいかな。

俺はそのままビル内で隠れる場所を探した。

上への階へ上の階へと上がってはその階を回った。しかしここはオフィスビルの様だ、どの階も机が並んでいるだけでこれといった隠れ場所は見当たらない。

どれ位上がったか分からなくなってきた、階段のプレートを見ると「十階」と書いてある。

「もうそんなに上がったのか…」

ずっと動き続けているせいで相当疲れた。

ひとまず十階へ行き扉を開いて、廊下を通りオフィスルームに入ってい手頃な椅子に座った。

でもまあ、逆に考えてこんな思いをしてまで十階(ここ)に来るような律儀な奴は居ないだろ。

俺は心の中で安心した、するとどこかで扉の開く音がする。

「え、まさか…な。」

オフィスルームから廊下への扉の横の壁に張り付いた俺はハンドガンを持って警戒をする。

壁に耳を当て澄ませると、遠くから足音が聞こえてくる。その足音は次第に大きくなり、こちらに向かっているのが分かる。

その場から離れようとするが、恐怖で身体が動かない!

ガチャ

オフィスルームの扉のノブが回された、もう相手は目の前だ…

目前でゆっくりと開くドア、俺は何も考えず恐怖心からか自分からドアを開けて廊下に向かって走る。

何か大きなものが左半身に当たったが、そんな事はお構いなしに廊下を突っ切った。

すると左上腕部に鋭い痛みが走る、腕を見ると10センチ程の長さで綿棒くらいの太さの針が刺さっていた。針は腕の一番痛みの感じる箇所を正確に射抜いている。

さらに後ろから針が飛んでくる、避けようにも走っている俺は針を目視出来なかった。針は右の横腹と右の腿裏(ももうら)に刺さる。

身体は段々と動きが鈍くなり、ついには階段に一歩届かず倒れてしまった。

後ろから近づいている足音は俺の肩を踏んで止まった。

「ごめんなさいね、生きるためですから。」

男の声はそう言って俺は死を覚悟した、するとどこからか耳を刺す様な銃声が轟く。

手を止めた男の隙をついて俺は最後の力を振り絞りハンドガンで男の脚を殴った。男は大声を出しながら脚を抱えて俺から離れる。

俺は這いながら階段へ向かった、刺さっている針は痛みを走らせ身体は次第に麻痺していきうまく動かない。

「待て!」

男は針を飛ばしてくるが脚の痛みだろうか俺の顔の横を通った、俺はそのまま扉を開いて階段を転げ落ちていった。

踊場へ落ちた俺は手すりに捕まりながら階段を降りようとする、だが膝を着いて腕で身体を引っ張る様に動いているが故一歩進むのに相当時間を食う。

上から窓が割るような音がした、外から誰か攻撃しているのか?

考えながら上を見上げた。すると男の叫び声が聞こえた。

「あ"あ"あ"あ"ぁ!!」

大きくも虚しさを感じさせる叫びは俺には何時間も聞こえている気がした、いつの間にか身体は動きを止めていた。

突然ゲームのクリアー音の様なものが流れた、するとどこからかボタン君が出てきた。

「脱落者が出ました!

残り九人!残り九人です!」

「え…脱落者?それってつまり……」

「リプレイ動画をどうぞ!」

ボタン君は身体を縦半分に割った、そこから投影機の様に壁に映像を写す。

映像はどこかビル内の廊下を上から写す、画面左から眼鏡をかけ手に針を何本も持つ男が現れた。おそらく俺が攻撃を受けた男だろう。

映像は続いていた。ガラスの割る音がして男はサッと後ろを振り向く、すると画面左から両手に剣を持った鎧が出てくる。

男は針を大量に飛ばすが鎧には全く効いていない、一気に距離を詰めた鎧は大きく剣を横に振った。すると眼鏡の男は左脇腹から噴水の様に赤い血を吹き出して叫びながら倒れる、ここで映像は終わった。

「残り九人!残り九人です!」

ボタン君は歓喜のごとく同じ言葉を繰り返した。

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