人の話を聞け
その後は飯を食べてすぐに寝た。
簡素ながらも美味しい夕飯だった。
イレイサーも喜んで食べていたが、俺が食べさせなければいけないのが少々面倒だった。他の客が一人いて不思議そうな様子で見られていたが、まあ致し方ないことだろう。
俺もイレイサーの心が分かっていないならこんな態度取ると思うし。
そして翌日。
「あんたこの魔物私に売る気ないかしら」
「…………は?」
食事中に変な女に絡まれた。
昨日は気にも留めていなかったが恐らく昨日俺らを不思議そうに見ていた客だろう。特徴的な短めの金髪に貴族のような顔立ち。美形の金髪と言うだけで人生勝ち組な気がする。
そんな奴がイレイサーを買いたいと言ってきた。
いやこいつは味方、いや仲間だから無理だ。
「ないけど」
「金貨百枚。それぐらいでいいかしら」
「いや、だから売る気はないよ」
こいつ人の話を聞かない奴だな。
自分の都合のいいことしか聞こえないタイプ。
「…………」
「あら、友愛の表現かしら? 可愛いわね」
イレイサーにも俺の気持ちが伝わったようでふるふると金髪を威嚇している。そんなこととは知らず友愛等と何か勘違いしている。
馬鹿だ。