小さな村
そいつの捕食が終わると、体内から骨や皮や何かの破片を吐き出した。見た目に特に変わった様子は見れないが心なし満足そうな表情をしている。
顔なんてないが。
とりあえず落とした物のを拾っておく。
稀少な物かの区別が付かないので一先ず全て保持しておく。
種類までは分からないが破片は金属のようだ。
それらを数少ない手持ちのバッグに入れていく。
そうこうしてるうちにそいつはどんどん先に進み捕食しては吐き出し捕食しては吐き出しを繰り返していく。
次第に小さなバッグに全てを入れるのは無理と感じたため、稀少そうな金属片だけ全て集め余った骨と皮はその場に放棄した。
「…………♪」
「……お前太ったな」
捕食を繰り返す内に心無し大きくなった気がする。
こいつは気に病む素振りを見せることもなく嬉しそうに歩を進める。足はないが。
そうしている内に小さな村に付いた。
辺りはやや夕日に包まれようとしている。
こいつに疲れは感じないが俺はただ歩いたり走ったりしただけだがかなり疲労が溜まっていた。
「先ずは金を手に入れないと」
「…………」
「ん、こっちか?」
こいつ、やはり俺の言ってることを理解している。
この一言だけで自分の体で俺に進むべき道を示してくれた。
こいつ本当に何者なんだ。
「あら、貴方は……魔物使いかしら? なにもない村だけどゆっくりしていってね。」
道行く御婦人に声を掛けられるも、それを一礼で交わす。
それにしても魔物使い…………こいつはやはり魔物なのか?
「…………!」
「痛っ、ちょお前」
体で殴打され少し痛い。
魔物。
そう思われると怒るのか。
あの御婦人に言われても怒らないあたり俺限定なのだろう。