あの日、交わした約束
やばい、モンスターと目が合った!
逃げなきゃ!
「え?…足が動かない……。や、やめて!」
次の瞬間、船が崩れ落ちて私は海に落ちていった。
Episode2 日常
「おぃ、起きろ!大丈夫か!?」
うぅ…。誰だろこの声…知らない声だ。
「起きろって!」
「うぅ…ここはど……うわっ!ななななんですか!そのアヒルの口は!」ようやく目を覚ました私の目に映ったのは、アヒルの口をした男の人だった。
「失敬な!人は見かけによらないんだぞ!僕の名前はグット。君はどうしてここにいるんだい?」
「え?私は…いゃ!そんなことより!!!ふ、船はどこですか?パパは?ママは?ニアは?」
「落ち着きなさい…ここに船なんてありゃしないよ…。君に何があったんだい?」とグットはゆっくりとした口調でいった。
「わ、私は…家族で船に乗ってました。そしたら急に船が火事になって!みんなを探さなきゃって探してたらモンスターに出くわして…気づいた時にはあなたのアヒル口が…。」
「アヒルアヒルって君は本当に失礼だね!船で事故かぁ…ちょっと待ってね!」とグットは海岸のほうを見ていた。
そこにはもう一人、髭を生やした男の人が立っていた。
「おぉーい、ジー!ちょっとこっち来てくれ!」と声をかけていた。
「髭はいかなる時もロマンが詰まってるのさ!」と髭の人が独り言を言っている。
あの人は大丈夫なのだろうか…。多分、聞いちゃいないだろうな。なんか変な髭の人だなぁ…。
「おい!ジー!来てくれ!」強い口調でグットが言った。
「聞こえてるよ!で?なんだい、グット。あぁこの子、目を覚ましたのね。」と私の顔をジロジロ見ている。
人に顔をジロジロ見られるのは慣れない…ましてやこの髭…。
「私の名前はジー。君、船の事故にあったんだよね?」険しい顔でジーが言った。
「はい…いきなりモンスターに襲われて…」と私が話してる途中に
「それはリーフロードからオルビスへの便かい?」いきなりジーが言ってきた。
「え!?はい!その船です!!知ってるんですか!?」
「知ってるも何も1週間も前にモンスター…いゃ、バルログに襲われて墜落したとメイプルニュースで言っていたよ。」とジーは言った。
そして、ジーの次の言葉に私はひどく胸を痛めた。
「まさか生きてる者がいたとわね…。あの船での生存者はいないって聞いたよ。」
グットとジーは私を一人にするため少し席をはずしてくれた。
生存者がいない…?
パパは?それに・・・ママも、ニアは・・・?
私は泣き崩れた…。
あの楽しかった日常がもう二度と帰ってこない。
パパとの会話も、ママの料理も、ニアの笑顔も…
すべてが崩れていった……。
私は今日この日に…今までの日常が壊れ……
かけがえのないものを失ってしまった…。
~つづく~