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第二章(前)・冬の夜

 

 それからわたしとシンさんとの、一風変わった交流が始まった。

 勿論、一番最初に訪ねていった時にはかなり緊張したが、まるでわたしがいることが当たり前のようにふるまうシンさんに、こわばりは一瞬で溶けた。

 わたしは学校の後や休みの日など、特に規則性もなく理由もなく、足が向くままぶらりとシンさんの家に立ち寄った。

 シンさんは大抵家にいて、ひとを横にしたまま仕事をすることもあったし、仕事の手を止めお茶を飲むこともあった。煙草は何度言ってもわたしの目の前では吸わなくなり、吸う時には勝手口から長屋の裏に出て、屋根の上の物干し台に上がって吸っていた。

 そういえば一度物干し台に上がったまま、ずいぶん長いこと戻ってこなかったので見に行ってみると、キジトラ模様のころころとした猫と遊んでいた、なんてこともあった。三軒裏のお宅の猫で、テニスという名前だそうだ。名前の由来は仔猫の頃、どんなおもちゃよりもテニスボールが好きだったかららしい。

 わたしも猫好きだったがシンさんもかなりのもので、家にはテニス用のにぼしまで常備されているくらいだった。ただ、自宅でしっかりご飯を食べているせいかテニスは気まぐれで、屋根の上でにぼしを振っても道端で声をかけても知らんぷりの時もあれば、何のおやつもなくてもすりよってくることもあった。「そこがええねん」とシンさんは笑っていた。

 わたしはシンさんが仕事をしている間は、隣で本を読んだり課題をやったりしていることが多かったのだけど、ある日、急ぎの納品を出してくるから留守番しといて、と頼まれて残っていた時、部屋の片隅にあったラジオを引っ張り出して古い歌を一緒に口ずさんでいたら、知らぬ間に戻ってきて外で聴いていたらしく、それからちょいちょい、仕事中に「歌え」とリクエストされるようになった。

 歌は何でもいいらしくて、邦楽でも洋楽でも童謡でも、何だって気にならないようだった。傍で見てもはっきり判る程作業に没頭していたりかなりの音が出る仕事もあり、これはどう考えても聴こえてないだろう、と思い歌いやめると、すぐに手を止め「どうしたん、続けや」と催促された。

 時々は外にご飯も食べに行った。やはりわたしにお金は出させてくれず、「BGM代や」と、いつもさらりと全額払ってくれた。

 作業の合間には、自分が今何をやっているのか、使っている道具がどんなものなのか、ということをちょこちょことよく教えてくれた。意外なことに、シンさんは人にものを教える、ということが実に上手くて、その説明は非常に判りやすく要領を得たものだった。わたしが最初、(のみ)だと思っていたものは実は「(たがね)」で、鑿というのは木細工に使うもので、鏨は金細工に使われる、ということもシンさんに教わって初めて知った。

 けれどシンさんは決して、鏨を触らせてくれることはなかった。自分の手に取って目の前に出して見せてくれても決して触れさせようとはしなかったし、その気配が敏感に感じ取れたので、わたしも自分から「触らせて」と口にすることはしなかった。

 それが単に、刃物が危険だから、という理由ではないことは、仕事をしているシンさんを見ていればよく判った。

 鏨はその殆どが、シンさんの「センセイ」やシンさんが自ら手作業で研ぎ上げてつくったものだった。それはきっとシンさんにとって自分の手や指の一部に等しいのだ。そしてシンさんは「彫金」という芸術そのものを深く尊敬していて、だからその芯の道具である鏨は、自分以外の誰かに触らせていいものではないのだ。大事に、尊く扱うべきもの。それが見ていてよく判った。

 仕事の話をする中で、ちらちらと「センセイ」の話も聞くことができた。

 野々宮(ののみや)当次郎(とうじろう)、というのが「センセイ」の名前だった。

 入学した時のシンさんの第一印象は「枯れたおじいちゃん」だったらしい。

 最初から名前を間違われてもいたし、初めは「ただの年寄り」だと思っていたのが、講義を受けて、その作品を見て息をのんだのだという。

「つくったもんも、つくってるとこも、見てたらぱっとできそうな気がすんねん。鼻歌混じりっつか、ものすご簡単そうにさらっと手を動かさはんねんけど、実際に自分がやってみると、どうしても同じようにはできひんねんな。……あと、そう、音が違うねん。鏨削るんでも、彫ってる時でも……なんつか、濁りが無いねんな。澄んだ音っちゅうか、気持ちがすうっとするような音で……あんな音、俺には一生出せへんと思うわ」

 わたしは、シンさんが「センセイ」の話をするのを聞くのが好きだった。そこには深い尊敬と思慕の念があり、その中に少年のような憧憬の思いがほの見えていて、若き日のシンさんの姿が透けて見えるような気がした。

「センセイ」については、伯母からも少し話を聞くことができた。

 昔、自分と同じ彫金の道に進んでいた息子さんを奥さんと一緒に交通事故で失ってしまって以来、学校で生徒に教えたりインターンの面倒を見ることはあっても、正式に「弟子」を取ることはなかったのだという――シンさんに、逢うまでは。

 学生時代、というか中高からずっとらしいが、まあ一言で言えばシンさんはずいぶんと「荒れて」いたらしい。夜の街をうろついては補導され、学生も大人も相手問わずにしょっちゅう喧嘩をして、停学くらったことも一度や二度ではなかったそうだ。

 卒業して「センセイ」の工房入りしてからも、シンさんの無茶はしばらくは続いていたそうだが、薄皮をはぐようにだんだん落ち着いてきたのだと伯母はわたしに教えてくれた。

 そういえば伯母はわたしとシンさんが親しくなったことをずいぶん喜んでいるようだったが、あれ以来本当に一度も「依頼」をしてこなくなった。

 結局こうしてちょくちょく通うようになったのだから、別にもうお使いくらい構わないんだけど、そう何度か言ってはみたのだが毎回「あれはもういいのよ」と、さっといなされてしまった。

 けれどシンさんが宅配をまるで受け取らない、ということではないのは一緒にいて判った。仕事の材料や取引先からの依頼関係の資料、そういうものは事前にきちんと到着日と時間を指定しておいて、その時に来たものだけには応対をするらしい。でもそれ以外のものについてはまるで無視だ。

 だからもしかしたら、伯母が直接シンさんに連絡して依頼を送っているのかな、とも思ったのだが、どうもそういう気配もない。

 いいのかな、と気にはなったが、伯母がいいというものをこちらではどうしようもないので、わたしも気にしないことにした。そもそもシンさん自身がやりたいと思っていることではないのだし。

 そんな風にして、ふた月程が過ぎた。



 恋人からはあれから全く、連絡が無い。

 連絡が無いということは、あの時の面接もきっと駄目だったのだろうな、と推察された。

 自分から連絡を取る勇気は出なかった。

 わたしは電話が恐ろしく苦手なのだ。

 携帯を持たない最大の理由は、シンさんにも話した「いつでもどこでも電話をかけられるのが嫌だから」だ。それに間違いはない。

 ただ、言わなかったもうひとつの理由は……わたしは極端なまでに、人に電話をかけること、が苦手なのだ。いや、「苦手」なんてレベルではない、殆ど「恐怖」に近いものがある。正直、これは病気と呼んでいいレベルだと自分でも思っている。電話の前に立つと、涙が出そうになる程足がすくむのだ。

 何がこんなに怖いのだろう、ということが自分でも不思議で、よく考えてみて……人からかかってくる電話は怖くないのに、自分から相手にかけるのはたまらなく怖い、ということに気がついた。

 また、自分からかけても、一度相手に繋がってしまい、会話が始まればその恐怖はほぼ消えたし話が興に乗れば長電話だってした。つまりわたしは、「電話で会話することが怖い」のではなく、ただ「電話をかける」という行為のみが純粋に苦手なのだ。

 しかもそれは、相手問わずだった。「この人はダメだけどこの人はOK」ということではないのだ。知人とのレベル差はあれ、宅配の不在票に電話することさえ苦痛を伴った。

 どうしてだろう、と何年も考え続けてだんだんと判ってきた。

 自分はおそらく、「相手の生活に自分が突然割り込むこと」が、怖いのだ。

 自分が電話をかける時、その相手が電話の向こうでどんな状態なのかは、全く判らない。そんなところに自分が電話でその邪魔をしてしまって大丈夫なのか。相手の生活を崩すことになりはしないか。それで相手が自分を嫌になったりはしないだろうか。

 ……ごく冷静になって考えてみれば、逆を思えばそんな大仰なことはない、ということはあっさり判るのだ。しつこいセールス電話ならともかく、知った人間、それも別段仲が悪い訳でもない相手から電話がかかってきて、「かかってきた」、そのこと自体が不快だったり邪魔だと思うことは普通ない。外出直前だったりお風呂だったりしても、「ああ困ったな」レベルが関の山だ。ということは、わたしが誰かにかけたところで、相手もそれくらいにしか感じていないのだろう。

 それがはっきり頭では判っていて、それでもやはり理屈抜きにわたしは電話が怖かった。

 友達からかかってくれば普通に無駄話もする。けれど自分からかけるのは、サークルの連絡とか、ノートの貸し借りなどの事務的な連絡がある時だけだった。それでさえ、電話の前に立っていざ相手の番号を押すのに何度もためらい、押しては切り、ひどい時には「明日にしよう」と諦めることさえあった。

 この傾向は自分ではいかんともしがたく、相手が伯母でさえこうだった。自分から伯母に電話をかけるのは、何か送ってもらって「届いたよ」連絡をする時くらいで、それでさえ本当に勇気がいった。

 つきあい始めた頃、恋人には自分のこの「電話の恐怖」を話したのだけれど、相手はそれを「千晴も意外に内気なとこあるよな」で片づけ、ごく浅いレベルとしか受け取っていないようだった。

 まあ自分もこれを他人に判ってもらえるとは思っていなかったし、別段判ってくれなくても、単に「こっちからはあまり電話をかけられない」ということさえ理解してくれればそれで構わなかった。そして恋人はそれを理解してくれ、学校で会わなかった時には割とこまめに自分から電話をしてくれた。

 そのことがわたしは嬉しくて、自分からも努力をしたくて、数度に一度は頑張って自分から電話をかけた。何度やってもそれは本当に泣きたくなる程辛いことだったけれど、繋がった相手が「へえ、千晴から電話か。珍しいなあ」と嬉しそうにしてくれる、それだけでカチカチにこわばった心が一瞬で緩んで、安堵で涙が出そうになった。

 わたしは恋人とつきあい出して初めて、「何の用事もなくてもただ『逢いたい』というだけで誰かと逢ってもいい」ということを知ったのだ。

 それまでずっと、友人でさえ、買い物とか映画とか食事とか遊園地とか、人と会うのは何らか具体的な「用事」がある時だけだった。ただ「会う為に会う」ということはしたことがなかった、いや、そんなことがこの世にあるなんて思いつきもしなかったのだ。そんなことの為に誰かが自分に時間を割いてくれるだなんて、思ってもみなかった。

 別に用事はないけれど、ただ逢いたいから逢おう、そんなことを言ってくれたのは恋人が初めてだったのだ。

 驚いた。本当に、衝撃的なことだった。ショックの後には、たまらない嬉しさがわきあがった。

 このひとを離したくない。一緒にいたい。

 そう、強く思った瞬間だった。

 けれど、本を返す連絡をしてきたあの日からずっと、電話は鳴らない。

 わたしからはかけられない。

 かけたことはあるのだ。あの日より前、確か八月も終わりの頃だった。

 電話に出た相手は、ひどく不機嫌だった。

「……なんや、千晴か……何の用?」と言われて、わたしは言葉を失った。

 用は無かった。でも、声が聞きたかった。そう言いたくて、でも言葉にはならなかった。

 用は無くても、逢いたいから会おう、そう言われたあの日のことが一瞬で遠ざかった。

 口から出任せにサークルの話をして、すぐに電話を切った。

 あれから、かけられない。

 たった一回のことだ。あの時は本当に、電話の向こうで、何か不都合な状態が発生していたのかもしれない。電話の前に何か嫌なことがあって、その気持ちをひきずっていただけかもしれない。

 それは判ってる。

 そんなこと皆判っていて、でもどうしてもできない。もう一度自分から電話をする、ただそれだけのことがどうしてもできない。だってまた相手のそんな時にかかってしまって、そしてまたあの声で「何の用」と言われたら、きっとわたしは立ち直ることができなくなってしまう。

 だから、できない。

 そして電話は、ずっと沈黙を守ったままだった。



 その日もわたしは、シンさんの家に向かっていた。二コマ入っていた午後の講義が、偶然どちらも休講になったのだ。

 こうしてわたしがちょくちょくシンさんの家に行くのは、自分の家にいたくない、という気持ちも実はあった。家にいるとどうしても電話が気になってしまって、結局は鳴らないそれに気持ちが煮詰まってしまうのだ。

 そういえば、「何の用事もなくても会うひと」は、シンさんが二人目だ。

 そう思うと、何だか胸の奥があったかくなった。恋人のことで気持ちがささくれている今、そのあたたかみは実に心にしみた。

 何となく口元に浮かぶ笑みを押さえて、いつもの辻を曲り、家の前に進み――と。

「あほかお前、何やってんねん!」

 と、ものすごい早口の大声が響いた。

 わたしは度肝を抜かれて立ち止まる。

 声は、シンさんの工房の窓から聞こえていた。

「先刻も言うたやろうが、何遍同じミスしたら気が済むねや!」

 シンさんの声だ。

「やる気あんのか自分、そんなんやったらいらん、やめてまえ!」

「……まあまあ、森谷」

 怒鳴り声の合間に知らない男の人の声がして、わたしは改めて驚いて目の前の扉を見つめた。

「練習用の材料やからってなめてんちゃうぞ。そんな姿勢で仕事する奴なんかウチにはいらんねや。帰れ!」

「だから森谷……あ、あっ、おいこら」

 それはわたしが初めて聞いた、シンさんの「本気で怒った声」だった。

 それは本当に、足がすくんでしまう程激しく、けれどその一方、心のどこかでわたしはひどく感動していた。その怒りに、純粋に「彫金を愛しているシンさんの心」がはっきり具現していたから。

 ……とは言え、正面からこんな言葉を浴びせかけられている人はかなりキツいだろうなぁ。

 扉の前に立ったまま、わたしはひとりごち――中の状況はさっぱりだったが、どう見たってこれは取り込み中だし今日は引き上げよう、そう思った瞬間、引き戸がガラリと目の前で開いた。

「…………」

 わたしと相手は、互いに面食らって見つめ合った。

 おそらく一つ二つ年上の、学生らしき、長髪に黒縁眼鏡の男の子。胸に「立石」と書かれて「タテイシ」とルビのふられた名札がとめてある。

 そしてその頬は真っ赤に紅潮していて、目には、うっすら涙。

 ああ、シンさん、やっちゃったなぁ……。

 後から考えるとずいぶん呑気だが、その時わたしは、そんなことを考えていた。厳しくするのもいいけど、今時の若い子はそんなの慣れてないんだからもう少し手加減しないと、みたいな。

「立石?」

 奥から知らない男性の声がまたして、ひょい、と彼の後ろから頭が覗いた。

「……あれ?」

 シンさんと同じくらいの背がありそうな、けれど体はずいぶんとがっしりとして、鼻の下からもみあげにかけて一面に髭を伸ばした、くっきりとした二重の目がぐっと奥に引っ込んだ彫りの深い顔立ちをした男の人が、きょとんとした顔でわたしを見る。

「あ、え……お客さん?」

 慌てたように呟くと、わたしが違う、と言う前に振り返って「森谷、なんかお客さん来てるぞ」と声を上げてしまった。

「は? 客?」

 奥の方から、凄まじく不機嫌なシンさんの声がして――男の子、立石君? の後ろから、ちらりとシンさんの目が覗いた。

「ああ、なんや、お前か……入り」

 とあっさり言って、また奥に引っ込んでしまって。え、でも、いいのか、この状況にわたしが入ってしまって?

「あ、別に、取り込み中なら帰るし」

「ええから早よ入れ」

 しどろもどろに言うと、またも不機嫌最高潮の声で即座に言われて、わたしは覚悟を決めた。多分これ、帰る方が更に機嫌を損ねる。

「ええと……失礼します」

 だらりと両腕を下げてうつむいて玄関に立ち尽くしたままの立石君に、どうにもできずにとりあえずぺこりと頭を下げて、その脇を通って中に入った。

 途端、むうっとした熱気が全身を襲う。

 真ん中のテーブルに、他にも三人、学生らしき人が座って不思議そうにこちらを見ていた。女の子が一人、男の子が二人。皆、胸に名札をつけていて、それぞれに彫刻台を前にして、バーナーや鏨や小槌を手にしている。

 その中のひとりの女の子が、やはり目に涙を溜めて、口惜しそうにこちらを睨んでいた。

 ええと、別にこれ、わたしが睨まれるような筋合いはないと思うんだけど……。

 実に居心地の悪い思いで、わたしは目をそらした。ひとに入れ、と言っときながら、シンさんは完全に怒りゲージをぶっち切った目つきで、ふい、と奥を向き腕組みして立っている。

「まあまあまあ、立石、お前も落ち着け」

 髭の男の人が場を変えるように明るい声を出して、後ろから立石君の肩を抱くようにしてぽんぽん、と叩いた。

 そのままひきずるように、中に連れ戻す。

「よし、ちょっと休憩しよか。ハタナカ、なんかアイスとか飲みもんとか買ってきてよ」

 女の子の隣の空いている椅子にぐいぐいと無理に座らせると、ジャケットの内ポケットから財布を取り出して。

「あ、はい」

 女の子の逆隣の、気が弱そうな小柄な男の子が直立に立ち上がった。名札には「畑中」と書かれている。

「よし、皆なんか希望は?」

 ぱん、と手を叩いて明るく言うが、皆うつむき気味に押し黙っていて……あああ、空気が重い。

「ああ、ええと……ああ、君は? 何がいい?」

 困ったように頭をかいていたと思うと、いきなりぐい、とこちらを見られて面食らった。いや、わたしにふられても。

「え、いえ、別にわたしは、いいです」

「そう言わずに。せっかくだから」

「そんなこと言われても……」

 わたしは途方に暮れてシンさんの方を見やったが、シンさんはすっかりそっぽを向いたままだ。もう、腹立てたままでいるならひとを呼び込まないでよう。

「いいからいいから。俺のおごりだし。ほら、何でも言って」

「ええと、じゃ、あの、オレンジとかレモンとか、柑橘系のシャーベット」

 もう答えないと埒があかない気がして、やけになってそう言うと、髭の人は嬉しそうに手を打ち合わせた。

「よし、シャーベットね。俺コーラ。畑中、後適当に見繕って買ってきてよ」

「あ、はい、判りました」

「おい、森谷、お前は」

 髭の男性が首を伸ばして聞いたが、シンさんは相変わらずよそを向いたままだ。

「森谷」

「……コーヒー。ブラック」

 辛抱強い声で男性が呼ぶと、シンさんはぼそりと一言言って、完全にくるりと後ろを向いてしまった。

「だとさ。頼むわ、畑中」

 おどけた声で言って、ひょい、と肩をすくめてみせると、畑中君は「はい」と生真面目に頭を下げて、開いたままだった扉をガラガラと閉めて出ていった。

 後に、何となく白々しい沈黙が満ちる。

「……ええっと」

 髭の男性は軽く頭をかいて、くるっと首をまわすとはたとわたしに目を止めた。

「あ、そういえば……」

 そして大きく瞬くと、奥のシンさんに歩み寄る。

「森谷、あの子誰よ? レイコちゃんいない隙に、若い子引っぱり込んで」

 ……レイコちゃん?

 初めて聞く名前に、わたしの耳がぴくりと立った。

「あの」

 レイコさんって、と聞こうとした瞬間、シンさんがぼそっと「姪っ子」と答えて男性が目をむいた。

「ええええ? 姪っ子?」

 こっちがひっくり返りそうな大声を上げて、

「え、て、なんで? そんなん初めて聞いた。大体姪ってたって、この子もうえらく大きくない?」

 と、矢継ぎ早にまくしたてるので、わたしは尋ねる機会を失った。

「知るか。姪は姪や」

 愛想ゼロの声で答えると、シンさんは腕組みをほどいてジーパンのポケットを探りかけ、はたと我に返ったような顔で手を止める。

「……上で吸うてくるわ。ちょっと、頭冷やしてくる」

 誰に言うともなくぼそぼそっと言うとシンさんは大股に勝手口の扉に歩み寄り、扉を開いてそのまま出ていくのかと思うと、動きを止めてこちらを振り返った。

「いらん話すんなよ。ええな」

 明らかにわたしに目を向けてそう言うと、こっちが何か言う前に姿を消してしまって。何と言うか、もう、大人げない、シンさん。

「何だよあいつ、もう……」

 残された男性はぼやきながら顔をめぐらせ、もう一度わたしを見る。

「君、あいつの?」

 親指で屋根の上を指すのに、わたしは急いでうなずいた。

「はい、姪です。あの、叔父とわたしの父とが、大分年が離れてまして」

「へえー……」

 まだ半信半疑の声で言うと、男性は顎髭を手の平でこすった。

「あいつの親戚って、オバさんだけだと思ってた」

 口の中で呟くのに、わたしはああ、と声を上げた。

「それ多分、わたしの伯母です」

「へっ?」

「わたしの父の姉。だから、叔父にとっても姉です」

「え、ああ、そうなの。あ、じゃあ、そうか、あれが姉さんなら、そりゃ大分年が離れてるなあ。こんな大きな姪っ子がいる訳だ、そうか」

 感心したように言うと、男性は我に返ったように急に愛想よく笑って、ぺこりと頭を下げてくる。

「そういや、名乗ってなかった。タガミサワタケノリ。森谷とは同期、つっても俺、藝大二浪してるんで二個上だけど。ここにいるのはウチの学生達。初めまして」

 言葉と共に男性は内ポケットから名刺を取り出して、こちらに差し出した。

 わたしは慌てて頭を下げて、両手でそれを受け取る。

 田上沢竹則、と書かれた名刺の肩書きは、シンさんの出身校の准教授だった。

「あ、初めまして。篠崎、千晴です」

 わたしが名乗ると、田上沢さんの質問攻めが始まった。大学はどこか、専攻は何か、何回生か、家はどこか、出身地はどこか、就職は決まったのか、決まったのならそれはどこか、エトセトラ、エトセトラ。

 これは別段「いらん話」ではないよな、と自分に言い聞かせつつ、わたしはそれにひとつひとつ答えて、田上沢さんはそれにひとつひとつ、いちいち感心したような声を上げた。

 先刻から押し黙って会話ひとつしない、重苦しい空気の学生さん達の前で、その陽気っぷりは特筆に値するもので、何と言うか、実に明るい。

「へえ、そうなんだ……あ、そういえば、今日はどうしたの? なんかあいつに、用事あって来たんじゃないの? 悪かったね、なんか」

「あ、いえ、別に」

 わたしは大きく首を振った。

「特に用事ってことではなくって。家が近いんで、時々遊びに来るだけで」

 純粋に言うと別に「遊んで」もいない訳で、本当にただ「来て一緒にいる」だけなのだけど、とりあえずそう言うと田上沢さんは目を丸くした。

「あいつに寄りつく女の子なんて、レイコちゃんくらいかと思ってた。いや、驚いたよ」

 ……また、「レイコちゃん」だ。

「あの、誰ですかそれ」

 この機を逃すとまた聞くチャンスを失う、と思い急いで言うと、田上沢さんが不思議そうに目を丸くした。

「え、知らないの?」

「はい」

「ふうん? なんで……森谷の彼女」

「――かのじょ⁉」

 わたしは心底度肝を抜かれて、つい大声を上げてしまった。こんなに驚いたのは、伯母さんに「アンタには叔父さんがいるのよ」と聞かされた時以来かもしれない。だって、彼女って。

 先刻の苦虫噛み潰したようなシンさんの顔が目の前に浮かぶ。いや、あんな愛想無しの仏頂面で、どうやって女なんか口説いたんだ? って大体、彼女って言ったって、こんなにちょこちょこ来てて、なんで一度もバッティングしないんだ? え、もしかして、うまくいってないとか? それでわたしには存在内緒にしてたとか?

 頭の中でいろんなことが一度にぐるぐるとまわって、その一方で田上沢さんは、わたしが「彼女」の存在を知らなかった方に驚いているようだった。

「知らないの? なんで?」

 心底不思議そうな顔つきに、やっと頭に上がった血が下がってくる。そりゃそうだよね、「よく遊びに来る姪」が「彼女」を知らないって、そりゃ変だよね。

「……ええと、あの、近くに越して来たの最近なので、遊びに来出したのもここ最近だから」

 息を大きく吸って適当なことを言うと、田上沢さんは納得したようにうなずいた。

「ああ、それで。レイコちゃんはさ、今アメリカなんだよね」

「あめりか?」

「うん」

 言いながら、田上沢さんはテーブルのまわりで余っていたパイプ椅子を開いてわたしに勧めると、自分も椅子の背を前に向けてまたぐように腰を下ろした。

「レイコちゃんが卒業後にずっと弟子入りしてたドイツの陶芸家さんが、夏から秋にかけてかなり大規模な個展をアメリカで開いててさ。その手伝いで、夏からずっとアメリカ。多分、来月くらいに帰国じゃなかったかなぁ」

「……レイコさんって、陶芸家なんですか」

 陶芸、という単語に、シンさんがいつも使っているクリーム色のカップと、最初に借りた青色のカップが浮かんだ。

 そして、あの時わたしがカップを褒めた瞬間にシンさんの顔をよぎった、嬉し気な表情と、やさしい目の奥の光。

 棚の奥に大事にしまわれた、青いカップ。

 それを思い出した瞬間、わたしはああ、大丈夫だ、と突然深く安堵した。

 シンさんがわたしに黙っていた理由は謎だ。まあ大方、ただ単に自分から話すのが照れくさい、レベルなんだろうけど。けれど、そのひと、レイコさん、間違いない、きっとシンさんにぴったり合ったひとで、そしてシンさんは、そのひとがとても大事なのだ。

 それが判って、混乱しかかっていた頭が急速に落ち着くのを感じた。

 勧められるままに椅子に座ると、田上沢さんはうなずく。

「そ。俺等と同期。まあ卒業後はそういう訳で何年かドイツに行ってたから、あいつとつきあいだしたのはここ数年くらいなんだけど」

「そうなんですか……」

 そりゃ鉢合わせしたこともない訳だ、って、しかし、だからってずっと彼女の存在をひとに黙ってるとは。シンさん、なんかずるい。

 後でとことん聞き出してやろう、そう思っていると、ガラリと扉が開いて畑中君が帰ってきた。

「買ってきました」

 袋を上げてみせると、田上沢さんが立ち上がる。

「おう、サンキュ。……ほら、皆好きなの選べよ」

 言いながら袋の中を覗き込むと、自分のコーラと、わたしの棒アイスを取り出し、こちらに手渡してくれる。

「あ、すみません」

 わたしはぺこりと頭を下げてそれを受け取りちらりと目をやると、学生三人はまだどんよりとした雰囲気を漂わせていた。

 田上沢さんはテーブルの上に袋を置くと、中から缶コーヒーを取り出し、こんこん、とそれを顎にぶつけつつ、天井を見やる。

「さて、と……どうしたもんかな」

 口の中で呟くと、ちらっとこっちを見て。

「……まあ、もう少し放っといてもいいか」

 おどけたように言うと、小さく舌を見せた。

「あいつ、切れると手がつけられんからなぁ。まああれでも大分、マシになった方なんだぜ」

 わたしに向かってか学生さんに向かってか、軽い口調で言うと笑ってみせる。

「昔は口の前に手出てたからな。ほんと、丸くなったわ。ああやって自分から頭冷やしに行けるくらいだし」

 口の前に手……何と言うか、実に容易に想像できてしまうところが何とも言えない。

「気が済みゃ降りてくるだろ。放っとこ」

 とん、とテーブルにコーヒーを置くと、また椅子に腰掛けて、田上沢さんはプシュっと自分のコーラを開けた。

 わたしはアイスを手にしたまま、テーブルの上のコーヒーを見て、天井を見て、それからうなだれた立石君を見た。隣の女の子――名札は「笹川(ささがわ)」だ――はアイスに目をくれもせず、しきりにその背中をなでている。

「わたし、行ってきます」

 わたしは立ち上がり、コーヒーの缶を手に取った。

「え、でも」

 田上沢さんが驚いたようにこっちを見て。

 笹川さんと立石君も、同時に顔を上げてわたしを見つめる。

「って、やめときなよ。切れたあいつは、誰にも手がつけられんぜ」

「シンさん、わたしなら、大丈夫です」

 わたしが確信を持って言うと、田上沢さんの目が大きく見開かれた。

「……そう」

 しばらくわたしの顔を見つめると、ひとつうなずく。

「じゃ、任せる」

「はい」

 わたしも小さくうなずいて、勝手口へと大股に歩き出した。



「誰や」

 勝手口を開けて、物干し台へと続く鉄階段に一歩足を乗せた瞬間、上から超弩級に機嫌の悪そうな声が降ってきた。

「千晴。上がるよ」

 それだけ言って、わたしは答えを待たずにミシミシと音をたてて階段を上がった。

「なんや」

 物干し台の柵に両肘をかけ、煙草をくゆらせながら、体中から不機嫌なオーラを発したままシンさんが聞く。

「これ」

 まっすぐ缶コーヒーを差し出すと、じろりと睨むようにこちらを見て。

「はい」

 うながすように更に差し出すと、長い腕を伸ばしてひったくるようにそれを持っていった。

 わたしはすぐ横に並んで、アイスをひとかじりする。

 シンさんは柵の端でぐい、と煙草をもみ消すと、吸い殻を指にはさんだまま缶のプルトップを開いた。

 そのまま互いに黙って、シンさんはコーヒーを、わたしはアイスを口にする。

 ……ああ、何だか、こうしていると、目の前にはっきり形で、見えるみたいだ。シンさんの中にある怒りが、巨大で鋭い矢のようなかたちとなって、まっすぐに放たれていて、けれどどこにも行き先が見出せずに、自分の胸に返ってきて深々と刺さっている。

 その強さと熱さに、何だかたまらない思いがした。 

 このまっすぐな方向を何とか別の向きに変えたい、そう思った瞬間、口から勝手に言葉が出ていた。

「あのさ、わたしだって、今かなり機嫌が悪いんだけど」

「……へっ?」

 仏頂面、を通り越して殆ど凶相に近い面相になっていたシンさんが、急に面食らったようにこちらを見る。

 ああ、まず第一段階成功だ、と胸の内のどこかで思いつつ、わたしは口をはさませずに次の言葉を継いだ。

「こないだサークルの先輩のうちで、皆で昔テレビでやった犯人当てドラマのDVD見せられて」

 そう言ってそのタイトルを上げたが、シンさんは知らないようだった。まあドラマなんて見そうにないしな、シンさん。

「問題編と解答編があって、こないだ問題編見て、さて犯人を当ててみましょう、て言われてて……で、昨日解答編見たんだけど、それがもう有り得ないくらいひどくって。わたしもうほんと真剣に、行動表とかまでつくって考えたのに、そういうことぜんっぜん関係がなくて。有り得ないくらいのアンフェア」

 それからわたしは、我ながら実に熱を上げて、その有り得なさについてとうとうと語った。実のところこれは昨日の話ではなく、もう一週間くらい前のことだったのだけれど、その時の納得のいかなさは強烈だったので語れと言われれば何時間でもいける。

 相手に言葉を入れさせない勢いで語っていると、何となく目の前でシンさんが引いているような気もしたが、一度スイッチが入ってしまったものはもう自分でも止められなかった。

「フェアじゃないってね、もうね、ミステリ好きとしては致命的なのね。まあ何をもってフェアとするか、って人によって違うんだけど、でも何て言うか、万人が認めるアンフェアってあるじゃない? まさにそういうパターンで。で、もしそうであっても、それがいわゆる『犯人当て』じゃなくって、ドラマとしての物語性がきちんと確立してるんなら、それはそれでぎりぎり見逃してもいいかと思えるんだけど、『さあこれですべての条件は提示された、謎を解け』ていうのでそれは許されないと思うのね。それにそもそも、あ、……あっ」

 当初の目的を完全に忘れて熱を帯びるままにまくしたてていた瞬間、手に持ったままだった残りのアイスが棒からぽとりと木の床の上に落ちた。

「……ああっ……」

 まだ半分も食べてなかったのに……!

 わたしはショックのあまり、他のことが全部頭からすっとんで、足元に落ちてしまった溶けかけたアイスを見つめた。

 ああ、勿体ないよう……。

「はっ……!」

 と、目の前でシンさんがいきなり体を二つに折って吹き出した。

 わたしはびっくりしてそちらを見て。

 シンさんは柵に前屈みになって、実に華々しく声を上げて笑っている。

「な……」

 わたしは二、三度瞬いてそれを見つめて。いや、ちょっと、それはないんじゃない?

「ちょっと、何笑ってんの、シンさん」

「いや、だって、お前……」

 息も絶え絶えに笑いながら、シンさんが言葉にならない声を上げる。

「全部食べたかったのに! 笑い事じゃないよ!」

 真剣に言い返すと、シンさんはますます喉をひきつらせて笑った。

「ああ、もう、頼む、勘弁して……」

「もう、そこは笑うとこじゃないよ!」

 そりゃ確かに、気分変えてもらおうとは思ってたけど、これは意図してない。これで機嫌直されるのは我ながら納得いかん。

 そう思って声を上げたが、シンさんはまるで聞いちゃいない。

「いや、だって、自分が悪いんやん、それ」

 笑いながら地面のアイスを指差して途切れ途切れに言うのに、わたしはむうっとしながらも口をつぐんだ。まあ確かにそうなんだけどさ、でも、誰の為だと思ってんのよ?

「……ああ、もう」

 何とか笑いを収めながら、シンさんは柵に背を持たせ、がくっと空を向いてみせた。

「ああ、もう、ほんま……ほんま、お前天才やわ」

 時折まだ、くっくっと喉の奥から笑いを漏らしながらシンさんは言って。どれだけ笑ったのか、目の端に涙までにじんでいる。

「何が」

 今度はわたしの方が不機嫌気味に言うと、シンさんはまたくすくす笑った。

「最高やぞ、お前……ほんま、天才や」

 もう一度言って、まだこみあげてくるらしい笑いを口元から漏らす。

「ああもう、腹筋切れそうや。何してくれてんねん、もう」

 言いながらくい、とコーヒーの残りをあおると、指にはさんだままだった吸い殻を缶の中に落として。

「さて、行くか」

「えっ?」

 突然の宣言に、わたしは虚を突かれる。

「下りるで」

 簡単に言って、シンさんはすい、とわたしの横を通り抜けた。

「え、えっ……あ、でも、これ」

 後に続こうとして、わたしは床のアイスに足を止めた。もう半分以上溶けてしまっている。

「ああ」

 ちらりとそれを見ると、シンさんは復活してくる笑いをかみ殺すように唇の端を噛んだ。

「ええよ、後で水流しとくから。放っとけ」

「でも」

 わたしはなおも言いつのったが、シンさんがどんどん階段を下りていってしまうのに仕方なく後に続いて。

 ガチャ、と勝手口の扉を開けたシンさんの後に続いて中に入ると、すぐ目の前にこちらをうかがうように、田上沢さんと畑中君と、もうひとりの男の子が立っていた。

 いきなり開いた扉に、慌てたように皆顔をそらす。

「……何してんねん、自分等」

 シンさんはちょっと呆れたような声で言うと、すたすたと奥へ入った。

 そして、まだ椅子に座ったままの立石君の隣に立つ。

 その背に手を当てたままの笹川さんがきっとシンさんを睨んだが、シンさんはまるで我関せずにまっすぐ立石君を見下ろした。

「ええか、違う間違い、新しい間違いなら何度やってもええ。でも、おんなじミスを二度繰り返すな」

「…………」

 立石君がゆっくりと顔を上げ、シンさんを見つめる。

「手が未熟で失敗すんのは間違いと違う。ただ、言うたことを守らんだけの下らんミスは二度とすな」

「……はい」

 立石君は小さな涙声で言うと、いきなりガタン、と椅子を鳴らして立ち上がった。

「僕が悪かったです。すみませんでした!」

 大声で言うと、腰から九十度に背中を曲げて深々と頭を下げる。

 笹川さんが目を丸くして、そんな立石君とシンさんとを交互に見ていた。

「――よし」

 シンさんはひとつうなずくと、くるっと背を向け、そっぽを向くように、先刻、田上沢さんが座っていたパイプ椅子に腰を下ろした。

「じゃ、休憩終わり。再開しようか」

 タイミングよく、ぱん、と田上沢さんが手を叩いた。

 

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