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3話

最初の戦い。海、次も海で行きます。

(戦艦対戦艦のガチの戦いや、航空戦などがあります)

戦艦武蔵艦橋

「赤城の淵田大佐から入電、釧路港襲撃作戦は成功し、ソ連艦隊は被害によって現在、混乱しており統率がとれないそうです!!」

そう通信士官が報告すると「浮かれるな!!」と山口中将が喝を入れる。


「ですが、航空攻撃の有用性を奴らに示したことにもなります……司令」

そう言ったのは武蔵艦長の西田正雄大佐だ。


西田の言うに他の参謀やスタッフが同意し、早急に仙台の空母部隊と合流し、由良型防空巡洋艦の3隻と秋月型を艦隊に加えるように小沢大将が命じ、対空防衛及び対潜警戒を厳重にせよと命令を下したのである。


19日、昼前。

前日に空母とともに仙台を出港した日向に乗艦する松田少将が率いる第4航空戦隊の航空戦艦伊勢から彗星を改造した2式偵察機が発艦。

ソ連艦隊が出港したのを確認すべく釧路方面へと向かっていた。


最も、2式艦偵は情報を確認した後は指定された海域へ不時着水し、伊号潜水艦によって搭乗員だけ回収し、水深が深いのを利用し機体の水没を待つだけだ。

3時間後、釧路偵察を終えた2式艦偵は指定された海域へ着水し、乗員2名を回収した伊56潜水艦は急速潜航し、その場を立ち去ってから味方制海権内に入り次第以下のような電文を送った。

”本艦及ビ航空偵察ニヨリソ連艦隊ハ釧路港ヲ午後14時ニ出港シタト確認シタ”


それと同じくして千歳飛行場の彩雲偵察機3機が釧路方面へ偵察に向かいソ連艦隊の情勢を偵察したのである。

そして俺、野田昭三大尉以下3名の乗る彩雲は室蘭湾で作戦中の第5航空戦隊の旗艦、瑞鶴に帰艦すべく襟裳岬上空を飛行していた時である。

「いかん………敵戦闘機だと!?」

俺が3時方向を見た次の瞬間だった、機銃員の山倉真一曹長が「6時の方向から敵機接近!!」と叫び、偵察員の北川正二中尉も同じ報告をする。

「北川!!”セ連送”で味方の救援を呼べ!!早くしろ!」

俺がそう言うと山倉が機銃の試射を終えると敵機の方角に機銃を向ける。

だが、機体の速度は刻々と低下し、高度も少しづつ下がっていく。

俺はエンジン出力を再び上げるべく奮闘するが、その間にもYak-3戦闘機が機銃掃射を本機に向けて容赦なく浴びせてくる。

とその時だった、山倉が大きな叫び声をあげたのである。

「山倉、大丈夫か?」俺がそう聞くと山倉は「腹部貫通銃創です……急いで下さい、私は機銃を撃てないので」と言い、俺は「山倉、北川、お前らと共に戦えた事を誇りに思う……だがな、ここで死ぬな!!帰るぞ!」

俺はそう言った次の瞬間、偵察員の北川中尉が桜のマークが多数書かれた紫電改の接近を伝えてきたのである。

(桜のマークだと?)

俺はそう思った。桜のマークが多数書かれた機体を操るパイロットは1人しかいない。岩本徹三、日ソ開戦時から三沢基地に所属し、多数のソ連機に単機で立ち向かい、17機の撃墜をわずか1週間で記録している男だ。


『こちら第343航空隊戦闘第701飛行隊第5小隊長岩本徹三、先ほどのセ連送は貴機のものか?』そう岩本中尉が言うと俺は「そうです」と答える。

すると岩本はすぐに俺らを追い回していたYak戦闘機を追い払い、その機体をあっという間に撃墜したのであった。


岩本機は俺らの彩雲を瑞鶴まで誘導すると俺らに先に瑞鶴に降りるように言い、俺らはなんとか瑞鶴へ着艦し、岩本中尉はその後に続いた。

そして俺は岩本中尉に対して航空要員食堂で話しかけ、彼に感謝の念を伝えた。


武蔵艦橋

「いよいよか………」

武蔵の艦長である西田正雄大佐がそう呟くと武蔵の主砲は仰角を天へと向けて砲撃準備を始める。そしてそれと同時に武蔵から飛び立った星雲(※1)水上偵察機が彩雲の情報を元に偵察した結果、予想通りの海域に敵がいる事が分かった。

武蔵、大和が一気に速度を上げると紀伊、信濃がそれに続く。

「西田君、覚悟はいいかね?」小沢大将がそう聞くと西田大佐は「はい、覚悟は出来ています。長官」と続くと「撃ち方始め!!」と小沢長官が叫び、武蔵の全9門の46㎝3連装砲が龍が吹く火のように射撃を開始したのである。

アルハンゲリスクやセヴェロドビンスク、スターリングラードにオデッサと言ったソ連艦隊も負けじと砲撃を開始、ソ連艦隊の巡洋艦部隊はそれに乗じて南東方面から東北地方へ接近しようとしていた。


一方、それを迎撃すべく猪口敏平少将が座乗する戦艦長門を総旗艦に山城、金剛、陸奥、霧島、榛名で構成された第2遊撃打撃部隊が重巡洋艦羽黒や足柄、鳥海、摩耶と駆逐艦数隻と合流し、帝国海軍の誇る重武装の艦艇たちにソ連海軍の誇る高速巡洋艦部隊を迎撃するように命じられ突撃命令が下ったのである。


ここに岩手沖海戦の幕が切って落とされようとしていた。

※1 星雲水上偵察機

紫雲水上偵察機の実用化バージョン。テスト中に事故が相次いだので、エンジン交換のついでに縁起の悪い命名を変えた結果良好な結果を出したので改名したもの。

紫雲は死者を迎えにくる雲と言う意味もあり、縁起の良くない名前でもある。

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